2009年06月02日

◆中国は米国を抜けない



            OJIN(在中国日本人)

三大投資家は、口をそろえて「これからは中国が世界経済の中心
になる」と言い、中でもジム・ロジャーズ氏は、「20年後、中国はアメリカを抜き世界最大の経済大国になる」と断言する。

私は中国の江蘇省南通市に在住しているが、これらは中国の実態を知らぬ机上の「空論」である。

07年、中国のGDPは300兆円強ではある。だが、アメリカは1400兆円で、ざっと5倍弱。仮に中国が、毎年10%弱の経済成長を20年間持続できたとすればそれは可能だが、10%弱の経済成長20年間継続という根拠は捜しても無い。

市井に暮らす庶民の目線から眺めた、「何故中国が、米・露・EU・日などに及び得ないのか」を述べる。

(1)少子化・高齢化が重い足枷。1980年から始めた所謂「1人っ子政策」の歪によって、日本と同じように少子化・高齢化問題を抱えている。しかも人口抑制という国の政策として厳格に実施されてきただけに、日本よりもはるかに深刻な歪をもたらしている。

全く同じではないが、中国のそういう統計が見当たらないので、日本の約10倍、という大雑把なモノサシで比較計算してみる。

1人の女性が、生涯で何人子供を産むかを示す合計特殊出生率に、ありそうな仮定を入れて計算された日本の約40年後の2050年のデータでは、総人口1億200万人。2100年には4700万人になる。日本は、2100年には、現在人口の60%減の国になる。

さて、では中国、2050年11億500万人、2100年5億700万人ということになる。問題は、生産年齢人口の割合がどれぐらいか、ということだ。

片やアメリカは?多分これからも、世界中から移民の流入が続き、人口は減少することなく増え続けていくだろう。しかも移民の大多数は、直ぐに使いものになる成年層。

国の人口が減るということは普通、生産に従事する人口が減り、非生産人口の高齢者人口比率が増えるということだ。つまり「少なくなっていく生産年齢層に社会負担が圧し掛かっていく」ということであり、社会が縮小するから経済活動も縮小し、非生産高齢者の扶養負担だけが増え続ける、という流れになる。

(2)中国にはなんにも無い‥‥

・ロシアには石油と天然ガスがある。

・アメリカには石油と豊かな穀倉地帯がある。

・EUには‥‥何もないから団結してなんとかしようというスピリッツがある。

・日本には世界最高水準の加工技術・・・1%2%の改良を積み重ねて20% 30%の結果にまでもっていく職人根性がある。

しからば中国には、いったい何があるのか?石油と天然ガスは既に自国産では足らずに、なりふり構わず世界中から漁りまくってる。

穀倉地帯?含毒食料を生産する穀倉地帯?ーーー皮肉はともかく、若者はほとんど都市部へ流れてしまって、次代の担い手がいない。

1%2%の改良を積み上げる精神・・・カケラもなし=差不多精神。

団結?オレがワレがで、中央政府のチカラが弱まれば即分裂、群雄割拠。覇権国家でもない日本を敵役にして反日教育でまとめなければ、国内をまとめることもできない散砂の民の国である。

旧ソ連は崩壊して分裂したが、あれは元々違う民族を支配していたわけだから当たり前の結果だ。だが中国は同一民族なのに強権=今は共産党)の下でなければまとまることができない民族だ。

こんなふうに何もなくて、アメリカの覇権が揺らいで成長率が下がれば中国の輸出も激減。外国企業の対中直接投資もますます減っていく。含毒食料だろうがなんだろうが、農業後継者がいないから食糧生産も落ちていく。

かつて、アメリカがクシャミをすれば日本は風邪をひくといわれた時代があったが、いま中国は「米国の成長率が1%落ちると中国の輸出は5%減るとの試算がある」。では、米国の成長率が「10%落ちたら中国の輸出は50%減る」ということになりはしないか?

更にかつて「日本がアメリカを買い占める」とかいわれた時期もあった。でも結局、日本はアメリカと並んで鼎立する‥‥ことすら出来なかった。

では、いまの中国に、その当時の日本の勢いの何分の一かでもあるか? 日本は対$360円から120円になっても技術改良と経費節減でなんとか凌ぎきった。

ならば中国に、同じことが可能か?もしも今の中国が、当時の日本と同じような状況になったとしたら、輸出産業は壊滅、瓦礫の山、輸出が壊滅したら、今の中国に何が残るだろう?

産経ニュースによれば、
<インフレや労賃、人民元の上昇を嫌って、外国企業の対中直接投資が減り始めた。昨年の日本・米国・欧州連合からの投資は、それぞれ25%、13%、29%減った。この間に、広東省の製靴業者(5千−6千社)のうち1千社が工場を閉鎖した。>

これは昨年の記事だが、25%って、四分の一ですよ!四分の一!

(3)中国にも豊富なものがあります!人口!‥‥しかし、人口が多過ぎて、産み出すものが糞となって消えてしまう。

現代では、人口が多過ぎるということは重い足枷である。その糞の
基になる食料生産の現場、農村の現況はどうなっているのか。

今の中国の農村は、かーちゃんだけの1ちゃん農業。

息子や娘は、当たり前で農村に残ろうとせず、みんな都市部へ行ってしまって居ない。専業農家ではやっていかれないので、とーちゃんも都市部へ出稼ぎ=民工)に出ている。

だいたいそのとーちゃんかーちゃんの年齢が、もう50代60代、どんなに若くても40代。この人たちが働けなくなったら誰が農業を担うのか。

(4)その一人っ子世代の実態は‥‥

小皇帝小公主という言葉はご存知だと思う。1人っ子政策の下で生まれ、両親とその両方の祖父母から蝶よ花よと大事に甘やかされて育ち、何の苦労をすることなく成長した若者。

それがもう既に親になる年代に至っていて、今産まれてきている子供達も同じく小皇帝小公主として育てられている。中国は基本的に夫婦共稼ぎだからこうした子供達は、たいてい父方の祖父母に預けられて生活している。

全部とは言わないが、爺っ子婆っ子がどういう人間に成長するか、容易に想像できる。次代を担う人間がこんな有様で、さて??

(5)もうひとつ豊富なものは軍事力!

中国は、空母艦隊を常備してハワイから東をアメリカ、西を中国で分割する?という計画で進んでいるようだが、空母?ーーーロシアとオーストラリアから鉄屑並みのスクラップ空母4隻を買い入れて、3隻はそのとおり鉄屑になり1隻だけが辛うじて使いものになりそうとか。

そんなことよりなにより、

今でも激減している人民解放軍の入隊志願者が、1人っ子世代の爺っ子婆っ子でさらに志願者が減り、ーーー高齢者と爺っ子婆っ子ばかりの軍隊では、ものの役に立つんだろか?? 仮に役に立つとしても、しかし、軍隊というのは何も生産しない、ただの金食い虫なんだよね。

旧ソ連が崩壊したのも、アメリカとの軍拡競争に引き込まれて国家経済が破綻したのが大きな要因だった。中国の軍拡の先にあるものは??

「特に金食い虫の空母艦隊」なんぞを持とうものなら、国家経済に足枷をかける以外のなにものでもないだろう。

(6)器だけ見栄えが良くなっても中味は旧態依然のまま。

いま、中国のそこそこの都市へ行くと、高層ビルが林立し、いかにも近代的なたたずまいになっているのに驚かされる。しかし、その高層ビルのどれか一つに昇って地上を眺めてみると、一つの街区の、道路に面している場所にはビルが連なっているが、そのビルの裏側、街区の広い中心部は、昔ながらの平屋のボロ家屋ばかりという状況に驚かれる。「張子の虎」だ。

沿海部や、内陸部でも、都市はまあ張子の虎ではあっても近代的な装いの堂々たる威容を見せているが、ちょっと農村部へ足を踏み入れてみれば、清朝の時代からほとんど変わっていない。

そんな生活風景が延々と連なっている。

そんな農村が、中国の7割近くを占めているのだ。中国はそういう国だ。

その他にも、いちいち上げていけばキリがないほどの、様々なものを内包している。内側から眺めるとこんな感じで、とても「中国も
一極論」には肯くことはできない。

ただ、だからといってわたしたち日本人が安閑としていたのでは、いずれは超されるときがくる「かも」知ない。

私は、1990年代の早い時期から、中国の改革開放の揺り戻しがあるのではないか、とする日本国内の中国未来論に対して、改革開放の流れが後戻りすることは絶対にあり得ない、と主張してきた。

美味しいご飯が食べられてきれいな衣服が着られるようになった庶民の意識の変化は、どんな権力を以ってしても、もう止めることはできないーーー国民の支持が得られない政権は潰える、と、中国庶民の姿を見ながら主張してきた。

それは現実となって、いま、世界中の人々が目の当たりにしている現在の情景になった。

あと何年後になるか、世界は四極鼎立となっているか三極なのか、或いはもっと違う形になっているのか。

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