2009年06月26日

◆“支持政党”で揺さぶる大阪府知事



                     毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1588号(6月27日発刊)に掲載されました>
                            
「地方分権」を求めている大阪府の橋下徹知事が、「支持政党を表明する首長連合」を結成する方針を打ち出した。同連合には話題 騒然の東国原宮崎県知事も参加の意思を示している。衆院選挙を控え、地方からの自民党揺さぶり作戦に他ならない。

今回のこの橋下知事の行動は、実は第2弾。第1弾は本欄<6月6日>で筆者が書いた「自民党の尻叩く大阪府知事」に記述している。

早い話、自民党議員の勉強会で、「国直轄事業地方負担金の廃止を放置すれば、地方無視に繋がり、自公は今回の総選挙では負ける」とまで言い切って地方の勢いを誇示したのだ。「霞ヶ関」の無軌道政策を黙認しているとして、自民党にこれほどまで強烈に“喧嘩を仕掛けた知事”は、過去に無い。

案の定自民内部では、時期が時期だけにこの地方の意向に度肝を抜かれた格好だった。

橋下知事は、知事就任以来、国に対する「挑戦状」を矢継ぎ早に打ち出し、これに闘う強烈な姿勢と破天荒な発言を繰り返してきている。その「挑戦状の目玉」が、地方に無定形に負担させる国直轄事業地方負担金の廃止を柱とする「地方分権」の要求だ。

この要求の根底には、地方が最大案件としている「地方分権」を獲得するには、麻生政権の下で苦戦が予想される今回の総選挙時に、政府与党に同要求を飲ませる最高の好機だと踏んでいる、橋下知事のしたたかさが潜んでいる。

そこで、今回の第2弾となる「支持政党を表明する」首長連合とは、橋下徹知事と横浜市の中田宏市長らが24日夜東京都内で会談して決めたものだ。次期衆院選で支持政党を表明するための自治体の首長で構成する連合を立ち上げるという。

<橋下知事は会談後、「地方分権に向けて、自治体の長が覚悟を決めて立ち上がろうということになった。既存の知事会や市長会の枠組みを超え、自治体の長で連携を取って動いていく」と強調。

「態度表明の判断材料として、地方分権に絞り政党に迫る。これは闘いになる」と決意を示した。グループは数十人規模になる見通しで、どの政党を支持するかを表明するという。>(共同通信)

たしかに、地方自治体の首長にとってタブーだった国政選挙への介入に突っ走っている大阪府知事の行動に、「不況に喘ぐ大阪府を活性化させるため、緊急課題として「地方分権」を強硬に国に要求する知事の姿勢は、評価できる」というのが、地元大阪府民や府議会の意向だ。

しかも、一自治体では実現不可能な「霞ヶ関の改善要求」を全国知事会や市町村首長会と結束して、やり抜こうという橋下知事の発想と行動力には全国から注目が集まっている。

橋下知事によると、自民党から次期衆院選で立候補要請を受けた宮崎県の東国原英夫知事に対して連携を呼びかけたところ、東国原知事から「了解」という内容のメールの返事があったという。

また、松山市の中村時広市長と、神奈川県開成町の露木順一町長のほか、大阪府内の3市町村長賛同しているという。(共同通信)

だが、この「首長連合」が立ち上がるまでには、まだ課題がありそうだ。事実、橋下知事と「首長連合」結成に合意した中田横浜市長は、その後の記者会見で「選挙での支援ではなく政策の提言だ。先走ってはいけない」と説明したという。

また、連携を深めている平松大阪市長も、同「連合」参加には消極的だ。
となると、支持政党表明を目指す橋下知事の構想とは、この点では若干意見を異にする。橋下知事は、政治手法として「地方分権」要求の手段として、「支持政党を表明」して政党に恩を売らなければ、効果的な極め付きのテクニックとはならないと考えているからだ。

「支持政党」を表明する「首長連合」でなければ、自公・民主にインパクトを与えることは不可能に近く、しかもこの手法を放棄すれば、「地方分権」奪取の絶好の機会を失うことになるとしている。

したがって、こうした手法で「地方パワー」を獲得できなくなれば、この先「地方分権」要求は、萎むことになっていくと、橋下知事は苦慮している。

これから参加首長の少ない「連合」であっても、政治と絡めた「支持政党」表明方針を最後まで貫くのか、それとも、選挙での支援ではなく政策の提言する「首長連合」を立ち上げ、地方の意思を汲み取らせる組織にするのか。橋下知事は決断を迫られることになる。(了)
2009.06.26

◆本稿掲載の全国版メルマガ「頂門の一針」1588号(6月27日発刊)の
 <目次>は、下記の通りです。

・“支持政党”で揺さぶる大阪府知事:毛馬一三
・新聞が世界から消える日:宮崎正弘
・勝ち残るための外交(2):岡崎溪子
・重なる金正雲氏と蒋経国氏:古澤 襄
・キンチョーの夏がやってくる:平井修一
・白い花の咲く頃:渡部亮次郎

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