2009年07月09日

◆衆院選行方を左右する?「首長連合」


                  
                   毛馬一三

<本稿はメルマガ全国版「頂門の一針」1601号7月9日(木)「夕刊」に掲載されました>

大阪府の橋本徹知事や横浜市の中田宏市長らが、地方分権推進を掲げて結成を目指す政治グループの「首長連合」の動きが、際立ってきた。8日夜、東京都杉並区の山田宏区長が参加決定するなど、参加の波は規模を広げる様相を見せている。

山田区長は会合終了後、同連合への参加について「日本が大きく変われるチャンスに、われわれが立ち上がるしかないと考えた」と語っている。山田氏は平成5年の衆院選で旧日本新党から初当選、旧新進党を経て平成11年に杉並区長に転進、現在3期目。

「首長連合結成」の動きは、6月末、東京で橋下知事と中田市長、中村時広松山市長・露木順一神奈川県開成町長が会合し合意したのがきっかけで、地方分権を推進するための自治体首長らによる政治グループの結成を目指すことになったもの。

「全国知事会や全国市長会といった既存組織とは違う、政治グループ」という認識で一致し、次期衆院選で各政党が示すマニフェストに地方分権への方針を盛り込ませることを求めることで一致した。

中田市長によると、<「日本の政治を良くするにはまず官僚支配を打破し、地方分権を進める必要があり、そのための動きを首長連合で広げていきたい。その後は『よい国日本』を実現するため、新党を結成することも視野に入れている」としている。

改革派首長による新党結成が実現すれば、それぞれが高い行政能力をもっているうえ、国民的な人気を集めると予想される。国政で一定の勢力を確保できれば、政界再編の起爆剤になる可能性がある>という。(産経ニュース)

となれば改革派と称する首長が、各政党が示すマニフェストを見極めた上で、「連合」に馳せ参じ、支持政党表明をする動きにまで発展すれば、迫る衆院選では過去には無かった「地方分権」が大きな争点になることは必至、自民・公明、民主もこれを座視出来る筈が無い。

こうした中、橋下知事の動きは素早い。8日に民主幹部・公明幹事長と会ったのに続いて、9日午前には自民党の古賀誠選対委員長と会談している。

一連の会談で橋下知事は、国と地方自治体が対等に協議する場を設けることなど地方分権について要請、とりわけ「地方に拒否権、議決権」を求めている。これに対し、民主・公明は前向きな対応を示し、古賀氏も「検討してもいい」と応じている。

<自民との会談で橋下氏は、「地方分権の中心が財源と権限の移譲になっているが、その前に国が大きな国家戦略を描くべきだ」と強調。古賀氏も同様の認識を示したという。

会談後、橋下氏は自民党マニフェストプロジェクトチィームの菅義偉座長と、電話で同党マニフェストの内容について意見交換した>ことを明らかにしている。

余談だが、<全国知事会の政権公約評価特別委員会が8日、自民、公明、民主党のマニフェストの策定状況に関する中間評価をまとめた。委員を務める橋下知事によると、国と地方が対等な立場で政策を協議する場を設ける方針を打ち出した民主党に61.3点が付いた。自民党は45.8点、公明党は55.7点だった。>(日経ネット)

つまり、知事会ですら「地方分権」に取り組む各党の評価は今のところまだ低い。ただ、「首長連合」結成を目指す橋下知事の各党への対応以前に作成されたマニフェストだけに、この中間評価の段階で、低い評価となったのは仕方が無いかも知れない。

さて、改革派首長で構成される「首長連合」の参加規模は未定といわれるが、数十人に上る可能性もあると言われる。

肝腎の参加首長メンバーについては、「人数より理念、政策での一致が重要」として厳選する方針。橋下知事、中田市長らの会談では、東国原英夫知事とのとの関係も議題になったが、「理念や政策が相いれない」として、一線を画すことになったという。

橋下知事や中田市長らは次々衆院選を念頭に新党結成も視野に入れているというが、内部には「新党となれば、単に地方分権だけではなく、外交や安全保障など国策の理念、政策の一致が必要で、そう簡単ではない」と、「首長連合」のあり方に懸念する向きがないではない。

しかし、国と地方自治体が対等に協議する場を設けようという発想や主張は、過去の自治体から発信されたことはなく、しかも衆院選を前にこれを求める「首長連合」結成の動きが活発になることよって、「地方分権」に対する有権者の関心が一挙に高まることは間違いない。

となれば、衆院選で与野党がこの「首長連合」の主張と動向を無視できないことは必定で、これからの「首長連合」の結成に向けた動きに、ますます注目が集まっていきそうだ。(了)
2009.07.09

■本稿が掲載されたメルマガ全国版「頂門の一針」1601号
平成21年7月9日(木)「夕刊」の内容は、下記の通りです。

<同夕刊目次>
・ウィグル騒擾、王楽泉書記を更迭か?:宮崎正弘
・ウイグル族を擁護するわけじゃないのだが:福島香織
・衆院選行方を左右する?「首長連合」:毛馬一三
・世界大収縮金銭哲学の要諦:佐藤ライザ

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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