2009年08月07日

◆スッポンは低カロリー



                  渡部 亮次郎

私は記者当時、「すっぽんのナベ」といわれた。取材相手を捕らえて離さないという意味だといわれたが、東北地方にスッポンはおらず、実感が湧かなかった。

記者を辞めた後、赤坂のスッポン屋を知り、友人を連れて連日通った。合間に料理(解体「四つほどき」)の仕方を見学したりした。但し、噛み付いて離さぬ現場を見ることはできなかった。

スッポンは韓国、中国、台湾、北朝鮮、日本、ロシア南東部、東南アジアにいる。

日本では本州以南に生息する。養殖場から逃亡した個体が群れた個体群然個体群の両方が生息するため、正確な自然分布については不明な点が多い。

日本国内に生息している群は、本州、四国、九州のものは主として在来個体に起源すると考えられているが、南西諸島の群は過去に中国など海外から人為的に持ちこまれたものが起源と考えられている。

食用するものは主に養殖され、養鼈(ようべつ)という。静岡県浜松市は嘗て鰻の養殖で有名だが、スッポンの養殖も盛んで、名物の一つである。

宗教上の理由などから4つ足動物の肉を食べなかった江戸時代までは、4つ足にして水中に生息するスッポンこそは有力な動物蛋白源として珍重されたと見られる。現代でも養殖と解体に手間が掛かる所為で超高級料理である。俗にいわれる強請作用は無い。

下顎の唇の内側にくちばし状の鋭い角質版が見える最大甲長は35cm。他の亀と異なり甲羅は軟らかい。幼体は腹甲が赤みがかり黒い斑紋がある。成体の腹甲は白やクリーム色。

噛みつく力は強いが性格は臆病。すぐ食いつこうとするのは防御のため。「雷が鳴っても離さない」という喩えがあるのは、聴覚が弱くて雷鳴を聞いても驚くということはないことによる。

噛み付いた個体を無理に引き離そうとすると余計怯えてさらに激しく食いつこうとして首を甲の内側に引っ込めるのでよりひどく傷つく羽目になる。

このことから、古くは物事をしつこく探求する者を「スッポンの何某」と呼ぶこともあった。噛み付かれても大抵の場合は水に戻せばそのまま泳いで逃げる。

生息環境はクサガメやイシガメと似通っているが、水中生活により適応しており、長時間水底で自らの体色に似た泥や砂に伏せている。これは喉の部分の毛細血管が極度に発達していてある程度水中の溶存酸素を取り入れることができることによる。

大きく発達した水かき、殺傷力の高い顎、荒い性格ともあわせ、甲羅による防御に頼らない繁栄戦略をとった彼らの特色といえる。

このため、上陸して歩行することは滅多に無いが、皮膚病に弱いため、あまり頻繁ではないものの護岸などで甲羅干しをしている姿も時折見かける。また水中だけでなく、陸上でも非常に素早い動きを見せる。

食性は動物食の強い雑食で魚類、両生類、甲殻類、貝類、稀に水草等を食べる。繁殖形態は卵生で、1回に10-50個の卵を産む。

日本国内ではスッポン鍋にして食用とされるのはスッポンの養殖個体である。一般に栄養価が高いとされているが、カロリーは低い。肉には水分が多い。蛋白質、脂質が少なくビタミンA、ビタミンB1は多い。

生血の日本酒割美味しい出汁が出るため、スッポンを使った鍋料理(まる鍋)や雑炊、吸い物は日本料理の中では高級料理とされる。甲羅、爪、膀胱、胆のう以外はすべて食べられることが特徴である。そのため「まる」ともよばれる。

解体することを「四つほどき」などとも言う。専門店や料亭では食前酒として、スッポンの血をワイン等で割ったものを供することもある。病気感染を恐れる私は生き血は敬遠。

甲羅を乾燥させたものを土鼈甲(どべっこう)といい粉末にして精力剤とされるほか、市販の栄養ドリンクや健康食品の原材料に用いられることも多い。

かつて日本ではキツネやタヌキといった動物と同様、土地によってはスッポンも妖怪視され、人間の子供をさらったり血を吸ったりするといわれていた。

月とすっぽん。ある点(丸い)では似たところがあるけど、実質的には差が非常に激しいときのたとえに使われる。

月もすっぽんも形が丸いことは似ているけど、いっぽうはおよそ醜さのようなすっぽん。もう一方は、美しさの象徴のようなお月様。そこから大きく隔たりのあるもののたとえとなった。 2009・08・03

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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