2009年08月15日

◆橋下知事の民主支持で広がる衝撃


               毛馬一三

<本稿は全国版メルマガ「頂門の一針」8月15日刊1639号に掲載されました。卓見満載の「頂門の一針」もご拝読ください>

大阪府の橋下徹知事が、総選挙で民主党支持を鮮明にしたことで、地元大阪では激震が広がり、選挙直前のこの週末に向けて大きな騒動となりそうだ。

発端は橋下知事が、自民・民主の政権公約を検証した結果、民主党が「政権交代というエネルギーを活用して国のあり方をけることに踏み込もうとしている」と評価、「首長連合」として衆院選挙では民主党を支持すると、中田横浜市長とともに表明したことがキッカケ。

民主支持を明らかにした橋下知事は、「自公応援のマイクは握らない。といって民主のマイクを握ることまではしない」と与党自公への配慮を覗かせているが、知事が野党民主党支持に転じた予想外の行動に有権者の間では、反発と賛意が激しく交錯し出している。

しかも総選挙直前の知事の行動は、総選挙の趨勢を知事なりに見極めた上でのことではないかとの受け止め方も多く、府民の投票行動にも影響を与えそうだ。

橋下知事は、どうして野党民主党支持に転じたのか。

橋下知事が就任以来掲げてきた最大の政治テーマが「地方分権」だ。地方は「霞ヶ関の奴隷」だと槍玉に挙げ、「霞ヶ関の解体」こそが地方救済の秘策だとし、全国5首長を結集して「首長連合」を立ち上げた。

ということは、地方に任せるべき財源まで搾取同様の政策を強行する「霞ヶ関」を解体する以外に、破綻寸前の地方財政を救済する道は無いという理屈だ。

そこで今回の衆院選挙を絶好機と考え、自民・民主両党本部から「地方分権改革への熱意」を聞き質し、詳細に検証した。その結果、自民には期待できないと判断。ついに民主党支持を打ち出したのだ。

知事にしてみれば、悲願の「地方分権の実現」を民主党が公約してくれた以上、府民優先を考えた末に決断した「知事選択」を、府民は十分に理解・納得して呉れると言う筈との判断に至ったものだ。

案の定、府議会野党ながら知事から支持を受けた民主党府連では「自公を応援しないことだけでも、選挙にはプラスになる」と大歓迎。街宣車でマイクを握らなくても、知事が民主党を支持している政治効果は絶大だとして、総選挙本番に向けての活動でこの宣伝に力を入れる方針。

だが、知事選、議会運営で与党役割を果たしてきた自公両党は、それでは収まらない。「裏切り行為だ」として一斉に反発。与党幹部の一人は「勝ち馬に乗ろうという算段で動いている。与党貢献を省みない、言語道断の信義則違反だ」と切り捨てる。

正直、今回の総選挙が民主有利に動いているとの情勢を踏まえ、これを跳ね返す極め付きの戦術を模索していた矢先だけに、想定を覆す意外な知事の行動には大きな衝撃を受けているのが事実だ。

とはいえ、来週早々に迫った総選挙を控え、いまさら知事の意思を覆すことに時間を費やすことも実効なしと判断、この際この週末からの総選挙対策を「知事抜き」で組み立てなおす緊急対応策を協議するなど、火が付いた慌ただしさを見せている。

従って与党自公両党は、「知事離反行為の是非」は、総選挙後の9月議会で決着付けることにし、今は徒に騒ぎ立て過ぎて不利な選挙情勢として跳ね返ってこないよう、事態の沈静化を図ることに躍起となっている。

当の知事は、こうした情勢を見守りながら「政党に対する恩よりも、府民がどう理解してくれるかに今も軸足を置いている」と依然「民主支持」のスタンスを堅持する意向を崩しておらず、となれば知事の民主党支援が大阪での総選挙の影の舞台で、少なからず影響を与えることは間違いなさそうだ。(了)2009.08.14 

◆本稿掲載の「頂門の一針」(8月15日刊)1639号
<同号目次>
・中国経済は空前の破裂が近い?:宮崎正弘
・橋下知事の民主支持で広がる衝撃:毛馬一三
・国会議事録の危機:綾野 幸
・米国市民の日本政治認識:前田正晶
・繰り返すインフルエンザ蔓延の歴史:石岡荘十

・話 の 耳 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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