2009年08月25日
◆橋下大阪府知事のタイ訪問
毛馬一三
<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」1650号(8月26日刊)に掲載されました。有名著者卓見満載の同メルマガをご覧ください>
大阪府の橋下知事が、24日昼前、関西空港からバンコクに向けて出発した。タイ訪問は初めて。訪問の理由を、タイで行われる経済交流セミナーへの出席としているが、本音は別のところにある。
橋下知事は、総選挙が始まる直前に、自民・民主のマニフェストを検証した結果、衆院選挙では民主党支持を明らかにした。その上で、選挙中は「与党自公の応援マイクは握らない。といって、民主党のマイクも握らない」と述べ、18日の総選挙告示日からは総選挙には関りをもたず、ひたすら山積する府政課題に傾注している。
とはいえ、府議会与党の自公両党からは、「知事選応援の恩義を忘れ、勝ち馬に乗ろうとする意思が伺える卑劣な行為」と、橋下知事に対する反発は一向に収まる気配を見せていない。
こうしたことから橋下知事としては、総選挙の生々しい情勢下の大阪を離れ、アジア各国との関係強化のテーマに専従する事の方が、府議会与党の神経を些かなりとも和らげることに繋がり、同時に民主党を有利に導くとの見方からも回避出来るという、橋下流の本音の判断がここにある。
橋下知事は、今月27日までバンコクに滞在し、25日は、大阪とタイの経済交流を促進するためのセミナーに出席し、大阪の企業の製品や技術力をアピールするほか、26日は、タイの通商代表らと会談し、経済や観光交流の促進に向けて意見を交わすことになっている。
タイ滞在は27日までで、27日に現地の公立高校や、舟の上から物を売り買いする水上マーケットを視察したあと帰国する。
従って、知事の執務は28日からで、総選挙には実質的な関りはないことを貫くことになる。
ということは、この知事の巧みな戦略で、府議会与党が改めて「民主支持」を打ち上げた橋下知事との与党関係の見直しを迫る舞台は、総選挙の結果とも絡んで急遽バトル化する可能性は薄い。
ところで橋下知事にからむ余談だが、総選挙後に開かれる大阪府議会9月定例議会で、橋下知事が「知事辞職」を匂わせながら府議会と対決する意向を固めている案件があるということだ。このほうが今から懸念される。
その案件とは、「府庁舎を大阪南港のWTCビルへ移転する議案」を再提出することだ。同案は、先の府議会で否決されたが、再び否決された場合、府民に是非を問うため知事を辞職し、知事選挙に再立候補する可能性もあることを記者会見で示唆したのである。
もともと知事は、将来大阪港を臨む南港地帯を副都心とし、海外との輸出入を拡大する新しい港の整備や、周辺地域に関連企業、金融機関などを集約して、低迷する大阪経済の突破口にしたい考えで、大阪市との連携も視野にいれた協議会つくりを急いでいる。
だから、議案が再び否決された場合、「前回は、出直しの選挙はやらないと言ったが、今回は、やらないとは言わない」と記者団に述べ、府民に是非を問うため知事を辞職し、再び知事選挙に立候補する可能性を示唆したわけだ。
府議会の各党では、従来は知事案に一部が賛成しているものの、大多数は反対の意向だ。しかし今度の総選挙の結果が、知事の「背水の陣」の気構えにどのような動きをみせるのか不透明。再び知事をめぐり大騒動になることだけは間違いなさそうだ。(了)2008.08.24
■「頂門の一針」1650号(8月26日刊)
<目次>
・橋下大阪府知事のタイ訪問:毛馬一三
・米国は「バナナ共和国」に:宮崎正弘
・お土産を持って北にいらっしゃい:古澤 襄
・福澤桃介と大井ダム:永冶ベックマン啓子
・「極東ロシア見てある記(1):粕谷哲夫
・話 の 福 袋
・反 響
・身 辺 雑 記
◆購読(無料)申し込み御希望の方は
下記のホームページで手続きして下さい。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック