2009年09月14日

◆異様な様相の大阪堺市長選

毛馬一三

<本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」(9月15日・1670号)に掲載されました。同号のご案内は、本稿のあとに掲載。ご高覧の程を>


◆民主党が圧勝した衆院選挙から僅か2週間後に、今度は近畿で初めての政令市長選となる大阪府堺市長選が、異様な選挙戦の様相を展開し出した。

13日に告示された堺市長選には、3選を目指す現職に対して、3人の新人候補が立候補した。現職VS新人の対決という選挙戦は、まことに異常なことはない。だが今回の堺市長選ばかりは、その対決構造に複雑さと異様さが交じり合って、27日の投票日に向け激戦となりそうだ。

というのは、3選を目指す現職の木原敬介市長(自公推薦・民主、社民支援)に対して、新人で元大阪府政策企画部長の竹山修身氏が有力対抗馬として挑む。ところが橋下知事が新人の竹山修身氏を応援したことから、選挙戦の異様な様相が激化してきた。

早い話、知事与党である自公推薦の現職に対抗して、知事は自ら無所属新人の竹山氏を公然と支援し、11日の「決起集会」演壇で、竹山氏を自ら肩車に担ぎ上げて支援を求める派手なポーズを取るほどの熱の入れようだった。

これに対して知事与党の自公両党は、先の衆院選で「民主支持」を表明した知事への「しこり」は依然燻ぶり続けたままだが、今回の堺市長選で再び「信義違反」を繰り返し、「対抗馬」の支援に回ったことから、反発どころかあからさまに憤激の様相を示している。

更に選挙構造を複雑にしているには、先の衆院選で「政権奪取」を果たした民主・社民会派の府議や市議が、「現職」の木原氏を支援していることだ。

つまり現職木原氏には、民主・社民・自民・公明の各党が相乗りした形となっている。もっと付け加えると、民主が現職支援すれば、これに当然知事は同意するだろうと読んでいた。それが見事に外れたわけだ。

だから民主市議の中からは、「知事は自分の意に沿わない者を潰そうとする。独裁者、ファッショだ」と過激な批判を放つ声も出る始末。

ところで、橋下知事は実は08年11月の木原市長のパーティーに出席し、木原氏を「自治体の神様」と讃えて一旦は支持を打ち上げものの、今夏突如「僕はもっと素晴らしい神様を見つけた」と橋下流の言い回しをして、「竹山支持」に鞍替えして仕舞ったのである。

しかも「国政で激烈な選挙をしたばかりなのに、自公民の相乗りはわかりづらい」と相乗り選挙に批判を繰り返した。つまり木原現職不支持を鮮明にしたのだ。

まず大阪での過去の府下の市長選挙で、知事が特定候補者の支持を打ち出し、街頭で支援を呼びかけるなど事例はない。それどころか、今回の支持表明も初めての事だが、知事自身が市長候補者の竹下氏とツーショットポスターを堺市内に張り出したことも、異例なことだった。

そんな厳しい環境に敢えて身を投じていく橋下知事の腹積もりは一体何なのだろうか。見方にはいろいろあるようだが、こうした行動に出る知事には、したたか政治判断と老練さが伺えるような気がする。

知事が政治生命を賭けて目指しているのは「地方分権」であり、これを支持構成団体の「首長連合」の組織強化だ。

知事が支援する竹山氏は、知事の側近中の側近として府政改革を支えてきた人物であり、とりわけ「地方分権」推進の強力な支援者だ。だとすれば、竹山氏に政令市の市長になってもらい、その上で「首長連合」強化の核になってもらいたいという願いが、今回の支援に繋がっていると思える。

その意味では、府行政改革に些か隔絶感のある現職の木原氏より、知事自身と連携強化を図りながら常に共同歩調を確実に取ってくれる竹山氏支持に打って出たことが、自然な成り行きであり、知事の判断の上では合理性がありそうだ。

こうしたことから政令市移行後、初の市長選挙は自公推薦、民主・民社支援の現職VS無所属新人・知事支援の激戦となることは必至で、知事の知名度をバッックにする強力対抗馬の動向が、有権者の関心の的になりそうだ。(了)2009.9.13

◆本稿が掲載された「頂門の一針」(9月15日・1670号)の目次は下記の通りです。どうぞご拝読ください。

<目次>
・代表的保守論客からアフガン撤退論:宮崎正弘
・文字通り捨て石?の谷垣禎一氏:古沢 襄
・異様な様相の大阪堺市長選:毛馬一三
・静岡空港の悲惨と滑稽:平井修一
・ノースウエスト最低の記憶:前田正晶

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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  http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
    

この記事へのコメント
こんにちはお邪魔します
以前小泉さんが言っていた道州制を言い方を変えて地方分権って言うようになったんでは?
その提唱者は堺○太一だったと記憶していますが…。
この一連の行動はまだまだ先があるようですね。
シナリオはもっとつづきそうです。

今回ガチャガチャにかき回された堺在住のもとしては
今度の市長は選挙に勝つだけが目的の人としか思えないのは私だけでしょうか?
誰にお礼と決心を真先にを述べないといけないかが解っていない。
こんな人に4年も市制をまかせられないです。
Posted by nono at 2009年09月28日 13:32
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