2009年10月17日

◆政 権 交 代(1)

久保 成行


§対米外交

経済は一流、科学、ものづくり技術にいたっては超一流。しかし、政治は超三流。

自民は次代の日本が世界にあるべき姿を、国民に提示できぬまゝ今日にいたり、オハチが民主に転がりこんできた。されば、民主は確たるそれを国民に示しているか。答えはあとさき考えず、大衆受けだけをねらった、お粗末きわまるそれである。

時代の流れは不思議なものだ。結果はわかっていても「やらしてみるか?」的、一票が民主に流れるのは確実である。民主党にとってこれはまさしく天佑でなくてなんであろうか。

自民の議席数は303、公明31 とあわせて334。定数480 の過半数241を超え2/3 をも超える勢力であった。この数字は小泉が郵政改革の決着を国民に問うた彼の度胸に、国民が酔った結果であった。

しかし今回はどうか。安倍、福田、麻生と、三人に共有するリーダシップ、信を問う決断力の無さに対する政治不信が、国民に自民離れを引き起こし、さらに、終盤の麻生おろし内紛劇がそれを加速させた。これは民主にとっては二重のラッキーだった。

太平洋の完全掌握はアメリカの基本的国防戦略である。その基本線上に中国、朝鮮半島、そして日米同盟がある。「気候変動から北朝鮮問題にいたるまで、山積する難題にかんして中国と渡り合っていく上でアメリカがアジアにおける影響力を増大させておく必要性から、日本重視は計算し尽くされた戦略の一環なのだ。

オバマ政権は日本重視の姿勢を明確にしてきた。ヒラリー国務長官は就任後初の公式訪問国に日本を選んだ。オバマ大統領が真っ先にホワイトハウスに招いた外国首脳も麻生首相だった」( マイケル・グリーン・米戦略国際問題研究所日本部長)

世界はG8 からG20 さらに米中G2と、変わりつゝあると言うより、「昨日の敵は今日の友」関係が複雑化し読みにくゝなってきた。

チベット、新疆ウイグル両自治区での相次ぐ暴動、武力鎮圧による多数の民間人の死傷者続出。アメリカ民主党の旗印はリベラル。それゆえ人権問題にはとりわけ敏感、かつ、声が高くなる。

そのオバマ政権下にあって、代表者は自他共にゆるすペロシー下院議長、ヒラリー国務長官。両女傑の中国政府にカミツキ、ホエマクルを期待したが、案にタガッテ全然声がない。むしろ猫なで声で中国にすりよっているではないか。まさしく「貧すりゃ鈍す」である。

未曾有の経済悪化、一刻をあらそう国をあげての財政・金融支援。そのためジャンジャン国債( 借金)を発行。以前は日本が大のお得意先、今は中国だ。4 月現在中国が保有する米国債残高は7635 億ドル、1 ドル96 円として73 兆2960 億円。

かっての日本と違い、核保有国であり大国意識の強い中国の機嫌をそこねないために、「人権問題」はなかったことにし、ペロシーもヒラリーも、ガイトナー財務長官といった主要閣僚なども、入れ替わり立ち替わり訪中、政府首脳との会談。見てきたような嘘言いではないが、会談内容はおそらく「いつまでも財政赤字の垂れ流しはつづけない。

国際通貨としての価値を保つためドル価下落は絶対阻止する。それは、外貨準備として中国が保有する米国債の目減りを防ぐことである。引き続き購入をお願いしたい」であろう。

だからといって、米中G2 と騒ぐことはない。アメリカから見て東アジアにおける「コーナストン要石」は日本であることは変わらない。政権交代のあかつきには、鳩山首相はオバマ大統領にここのところをしっかり確認すべきである。

我部政明琉球大教授「民主党政権は日米2 国間関係だけに頼らない新たな多国間の枠組みを作り、外交安保政策の選択肢を広げる必要がある」。( 7月18 日付新聞)

きわめて当たり前のように聞こえるが、この期に及んでまだ「多国間」なのか。覇権主義を隠さない中国とは、到底組める相手ではないではないか。

民主党はこのテの口当たりのよい迷説をプロパガンダーとしてすぐとりあげる。国民もテもなく賛同する。外交・安保は政権交代によっても変わることのない国策の基本戦略でなければならないのにである。(つづく)
(神戸「行雲誌・主宰」)


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