2010年01月28日

◆日本を知らないのが米国人

渡部亮次郎

「アメリカ人は日本を負かしたのだから、日本人より偉い」それが間違いだ。彼らは相当「程度が低い」。しかし首相鳩山の政治感覚は史上最低。それを晒したのが24日行われた沖縄。名護市長選挙だった。日米安保不要論が米側から出てくる。

41歳の時、NHK政治記者から外務大臣秘書官になった。日本外務大臣の主要な仕事は世界情勢の判断しながら国益を守ることだけれども、軍事的に同盟関係にあるアメリカとの関係強化が主要な仕事になる。

アメリカへ出張するたびに思い込まされたことは、アメリカの広大さと国際情勢への一般国民の認識の低さだった。同盟国日本なんて意識に無い。特に南部へ行くと、日本なんて中国のどの辺なんて聞かれた。

真夏のワシントンDCに毛皮のコートを纏った女性が出現する。ワシントンが多分初めて。まだ薄ら寒い北の洲から来たのだ。地元での生活感覚そのままで毛皮を纏ってきただけ。ワシントンってやたら暑いわね。

やはりワシントンで、カウボーイ姿そのままの青年とタクシーの相乗りをする羽目になったことがある。「首都」に「上京」したという感覚がまるでない。牧場から思い立って用足しに来たという風だった。テキサスから来た田舎者。

アメリカは広くて、国内の事を理解するのが精一杯。他国のことなんか考えなくても、アメリカだけで十分生きていけるのだから、他国のことを心配したり、国際情勢がどうだなんて事は政治家に任せておいたほうが安心だと考えるようになっている。

カリフォルニアのサンタモニカとか、サンタバーバラを走っていると石油がふんだんに涌くし、食糧は豊富だし、太平洋のこの先に日本があるなんてことは忘れてしまう。

一番驚いたのは、ニューヨーク。生の牡蠣(かき)が一年中手に入る。日本では「R」の付かない月は有毒だから食べてはいけないとされているのに、NYではセントラル駅の地下階のすべてを使った「オイスター・バー」なるレストランが年中無休で営業している。

考えてみればアメリカ大陸は四辺を海に囲まれていて、毎月、どこかの海の生牡蠣が食べて安全だということなのである。NYの男性諸氏は淑女をオイスター・バーに誘い、相手にも精力をつけてもらって口説くのだとか。

われわれは1941(昭和16)年12月8日にハワイ真珠湾を奇襲することによって、大国アメリカに戦いを挑み、4年後に無条件降伏をした。

昭和26年に講和条約を結ぶ時、世界はすでに米ソ対立の冷戦状態にあったが、時の首相吉田茂は、敢えてアメリカを同盟国に選び、軍事、防衛を同国に依存すべく、日米安全保障条約を締結し、その核の傘の下に入った。

その結果、わが国は、経済面では異常な発展を遂げ、世界2番目の経済大国となった。他方、政治、文化の面では退廃を余儀なくされているのが現実である。

事実上、日本国土を基地とするアメリカの防衛体制は、戦勝国として沖縄を占有したアメリカの恣意的な計画によって軍事基地化が進められ、それがそのまま、日本に返還された状態である。

私が政治記者として那覇に滞在した時代は、ヴェトナム戦争真っ只中に在って、爆弾満載の爆撃機が昼夜を分かたず飛び立つ一方、戦死者のバラバラ死体が沖縄基地に運び込まれ、縫合して棺に納められた後、本国に送られていた。

つまり沖縄は領土としては返還されたが、実態は完璧なアメリカ軍基地として整備された後、政治家同士の判断で、政治的に日本に返還されたために、基地のあり方に関しては軍の意向が優先するのが実態である。

普天間飛行場の移設問題は移設先である名護市の市民の意向を聞くと鳩山首相は言ったが、アメリカ政府としては、移設反対の軍首脳を20年がかり、説得に次ぐ説得で呑ませたのが名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設案受諾だったのだ。

だから、市長選挙で移設反対派が勝利したからと言っても、アメリカ政府は聞く耳持たずだ。しかもこうなる事は私でも始めから分かっていた話だ。沖縄へ行って基地反対といえば殆どが反対という。それなのに鳩山はわざと「寝た子を起こし、自らの首を絞めた」。

まして行き場を失った本土の左翼分子が大挙して名護に押しかけ、反対運動を煽る事は目に見えていた。それにも拘わらず、オバマ大統領に向かって「おれを信頼しろ」といった鳩山はとんだ恥さらしを演じたものだ。

国際認識ゼロ、政治感覚ゼロ。日本人としてこんな人物を総理大臣に戴いているのは世界的な恥である、恥辱である。こんな民主党を第一党にでっちあげたのだから、小澤の剛腕とは目くらましの手品だったのだ。

アメリカ人は1年経って、オバマを大統領にしたことを悔やんではいるが、その大統領が日本の首相から騙されたり、侮辱されたりした事を知ったなら、オバマの肩を持ち、日本への怒りを露にする。
米日安保解消論だって出てくる。文中敬称略 2010・1・25




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