2010年02月08日

◆脂に載る橋下府政の3年目

毛馬一三

大阪府の橋下徹知事が2008年2月6日に就任して、丁度任期の折り返しを迎えた。橋下知事の府政運営は、逼迫状態の府財政緊急建て直しを軸に、府庁の財政健全化と国に地方分権を求める内外二面改革を進めてきた。

知事の際立った特徴は、独自発想の施策構想を真っ先にメディアに公表し、その反応を伺いながら運営の実現を図るという手法で、この積極的なやり方が府民から「大阪府のため、何かをやってくれる知事」という印象をうけている。

つまり、「役所機構主導型」の歴代府知事とは異なり、「知事主導型」に180度切り替えて、役所機構を自らの方針に牽引しながら、施策実現に向けて推進させるというやり方が効を奏して入る。内部統制も職員ごとに管理する厳しい手法が取られている。

とは言うものの、一度打ち上げた構想が宙に浮いたり反対機運が高まり出すと、間髪を入れず撤回、あるいは次善の策をとるなどの変わり身の速さを見せる。その切り替えは、まさに知事固有の感性と政治感覚に基づくものと見ても的外れではない。

事実、朝日新聞が1月末に行った「世論調査」によると、橋下知事の支持率は79%と非常に高く、全国では09年の東国原英夫宮崎県知事の92%に次ぐ高さだ。しかも支持の理由として、やはり指摘した「改革の姿勢や手法」を挙げていることが注目される。

中でも橋下知事が渾身の力を振り絞って立ち向かったのは、府庁舎を大阪港近くのWTC(大阪ワールドトレードセンタービル)に移転し「新都心」の構築を図る構想だった。だが、府議会の全面反対を受けて、一時は挫折を余儀なくされる事態に陥った。

そこで打ち出した奇策が、府議会を含め本庁部局は移転しないものの、別館などの8部局を移転させる譲歩議案を再提出し、これに賛成の議決を受け、構想実現へ向けて夢をつなぐ一歩を踏み出したのだ。

また、関西空港の活性化を図るため、近畿3空港のうち伊丹空港を廃止するという案を打ち出し兵庫県からは猛反発を浴びたが、矛先を変えて折衝した国土交通省から「前向きに検討する」という回答を引き出し、関西経済界等から評価を受けた。

さらには、「市立高の実質無料化制度の拡大」を図る意向をブチ上げたことで、直ちに2010年度の私立高入試の競争率が過去最高の3.44倍に跳ね上がる効果を生み出すなど、とりわけ受験生を持つ府民からの支持を受ける結果に繋がっている(2月6日・朝日新聞)。

特に注目されるのは府経済活性化。万博記念公園に民間投資を呼び込む環境を整え、内外から年間1000万人が訪れる、にぎわいと魅力溢れる一大アミューズメント(約130ha)等の近々設立構想も視野に入れて動き出していることだ。知事の意欲は止まる所が無い。

とは言え、総てが知事の手のひらの中で動いているわけでもない。知事は、「府が歳入を確保して自立的な運営をするには、国と地方の関係を変えて、地方に課税自主権を完全に与える形にしないと無理」として、「道州制」を就任当初から主張し続けている。

ところが、橋下知事が最近「大阪府と大阪市の合併」を大阪市に提案したのに対し、大阪市は直ちに、大阪市には何のメリットもなく、市民生活を阻害する要点が多くて提案自体に理解ができないと反発し、同意する気配を全く示していない。

考えようによっては、悲願の「道州制」構想が足元から崩れた格好だ。

これは一例に過ぎないが、これに挫ける知事ではないようだ。これに関してもおそらく府市共通の行政部門を統合させる方向で再提案を試み、「道州制」確立の機運が醸成されるような手を打つに違いない。

任期前半の橋下知事は、話題が豊富で、曲折に立ち向かう日々の連続だったが、府政運営のリズムはしっかりと掴んでいる。それだけにこれからの3年目の任期後半は、益々脂に載り、勢いを受けた様々な挑戦に取り組むに違いない(了)  2010.02.06


 





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