2010年03月08日

◆「馬」の渡来終着地は四條畷市

毛馬一三

<◆本稿は、全国版メルマガ「頂門の一針」・3月9日刊1842号に
  掲載されました。>

わが国古代王朝の威光を軍事面で支えた「馬」の渡来先が、なんと大阪府四条畷市であると聞かされ、ビックリした。

大阪湾(古代は難波津)に接している大阪柏原市に鉄技術、堺市に土器焼成技術が古代に朝鮮半島から渡来していたことは知っていたが、まさか生駒山系が迫り、大阪湾に些かも面していない四条畷市が「馬」の渡来終着地だったとは夢にも思っていなかった。

ところが、先ごろの会合で四條畷市の大井俊道副市長から、古代王朝や豪族たちの権力の象徴となる「馬」の渡来先が四条畷市で、これを証明する「蔀屋北遺跡(しとみやきたいせきあと)」が、四條畷市にあることを知らされたのだ。

調べてみると、四條畷市の西にある現在の寝屋川が、古代には難波津に繋がる海路ルートとなっていた。しかもこの海路の条件と、清い水と牧草に恵まれた肥沃大地の馬飼いの環境が見事に合致したことから、ここが朝鮮半島からの渡来先の終着地になったらしい。

しかも、四條畷を南北に横たわる生駒山系を越えれば、比較的なだらか下り坂となり、「馬」に負担を掛けず「大和」へ供給できた立地の良さが王朝・豪族に認められ、四條畷(当時・讃良)を「馬」の機動力を軍事制度に組み入れる「馬飼いの里」として定着させられたという。

朝鮮半島からは、比較的穏やかな初夏の海に「馬」を乗せた丸木船を2ヶ月かけて、玄界灘から筑紫(福岡)・豊浦(下関)・瀬戸内海、そして大阪湾(難波津)を経て、河内湖から寝屋川を上り、「蔀屋北遺跡」に辿り着いている。「馬」に同伴してきた渡来人もここに定住したそうだ。

そんな折、3月6日の読売新聞に「国内最古 馬の乳歯 四條畷」という記事が出た。

<四條畷市の「蔀屋北遺跡」で、国内最古となる5世紀中頃の馬の乳歯が2頭分、大阪府教委の調査で出土した。2〜2歳半とみられ、同時期の遺跡で、若い馬の存在が確認されたのは初めて。

同遺跡は、国内で初めて馬を本格的に飼った牧場とされ、府教委は「朝鮮半島から子馬を船に乗せて連れてきたか、生まれた子馬を飼育し、軍馬として増産したとみられ、国内最初期の馬生産の実態がわかる」としている。


3世紀の中国の史書「魏志倭人伝」に、日本に馬はいないと記されており、5世紀頃、朝鮮半島から馬と乗馬の風習が伝わったとされる。(略)

松井章・奈良文化財研究所埋蔵文化財センター長(動物考古学)は「乳歯はもろく、「蔀屋北遺跡」からの出土は珍しい。馬飼が、大規模に馬を生産していた様子がうかがえる」と話している>。

たしかに「蔀屋北遺跡」とその周辺から、これまでに丁寧に埋葬された馬の骨(性別は不明)や永久歯計約500点、それにアブミ、鹿角製のハミ、鞍などの馬具も出土している。総数26基の井戸も発掘されており、このうち7基は、「馬」運びに使った舟を転用して、井戸枠を作っているのが分かっている。

その船は、西都原式といわれる準構造船で、日本で初めてその実物がこの「蔀屋北遺跡」から発掘されている。

復元船は、全長10b、幅1b、10人乗りの船。航海は2ノットぐらいの速度の船団だったと専門家は説明しているが、果たして1隻の船に一体何頭乗せて来たかは明らかではない。

四條畷市の「馬飼いの里」で繁殖された「馬」は、王朝や豪族の間で軍事・通信・運輸に重用され、いわゆる権力誇示の証とされた。それだけに四條畷市の「馬渡来の終着地」の意義と「馬飼いの里」からの「馬」の供給価値は、権力側から高く受け入れられていた。

しかし文武4年(700年)になると、天皇に献上する公の牧場が諸国に作られ始められるようになり、そののち平城京遷都の時には、騎兵500人が威儀を正して行進し、「馬」が国家の資としての威容をみせつける時代に移っていく。

こうした時代の変遷のともない、平城京遷都の頃には、四條畷市の「馬渡来の終着地」の役割は終焉し、「馬飼いの里」も姿を消したという。

四條畷市は、今年からJR駅前を中心に市街地の活性化に熱を入れると大井副市長はその決意を語っていたが、名所旧跡の多い四條畷市では、こうした知られていない歴史も積極的に宣伝広報し、まちの集客へ繋げる「観光政策」にも力を入れるべきではないかと痛感した次第。(了)
 参考―四條畷市立歴史民族資料館刊「馬は船にのって」                               20010.03.07

◆全国版メルマガ「頂門の一針」(3月9日刊)は下記の通り。

<目次>
・スパイからの領収書:渡部亮次郎
・内閣支持率36%に急落 共同調査:古澤 襄
・小沢一郎氏がアメリカからの招待状を必死で求める :古森義
・記者は命賭けけで「1日1本」:平井修一
・「馬」の渡来終着地は四條畷:毛馬一三
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
◆「頂門の一針」を是非ご拝読下さい。購読(無料)申し込み御希望の方は、下記のホームページで手続きして下さい。
 http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm



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