2010年03月31日

◆患者を脅す医者が悪い

渡部 亮次郎

<「血糖値を抑える」カイコ粉末に薬効と宣伝して売る カイコの粉末に薬効があると宣伝して健康食品を販売したとして、大阪府警警備部などは2007年3月22日、薬事法違反(承認前の医薬品広告など)の疑いでボンビックス薬品(大阪市中央区)と社長(48)ら2人を書類送検した。

社長らは容疑を認め、1998年11月ごろから15万個以上、約15億2000万円分を売り上げたと供述しているという。  

調べでは、2006年8―11月、カイコの粉末入り錠剤「ボスリン」など2
種類の健康食品を、血糖値を抑えるなどの薬効があるとホームページや
チラシで宣伝。山形県酒田市の女性(58)ら8人に270錠入りを計17個
(20万3700円)販売した疑い。>ZAKZAK=夕刊フジ 2007/02/23

これが、要するに「糖尿病怖い」に付け込んだ犯罪なのである。今後も
似たような事件が多発すること 間違いない。

なぜならば、糖尿病は今のところ一旦かかったら絶対に治らず、一生付
き合わなければならない病気。最後はインシュリンの注射を朝夕打たな
ければならなくなる。痛い!いやだ!其処を悪が狙う。

<日本国内の糖尿病患者数は、この40年間で約3万人から700万人程度に
まで膨れ上がってきており、230倍以上という異常な数値を示している。予備軍を含めると2000万人に及ぶとも言われる、現代の日本人が抱える難病の一つである。

糖尿病(とうにょうびょう、Diabetes Mellitus: DM)は、糖代謝の異常によって起こるとされ、血液中のブドウ糖濃度が病的に高まることによって、様々な特徴的な合併症をきたすか、きたす危険性のある病気である。

一定以上の高血糖では尿中にもブドウ糖が漏出し尿が甘くなる(尿糖)
ため糖尿病の名が付けられた(Diabetes=尿、Mellitus=甘い)。腎臓の
再吸収障害のため尿糖の出る腎性糖尿は別の疾患である。(出典: フリ
ー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

2006年12月24日、親戚の主婦(61)が腎不全のため死去した。永年に亘って糖尿病を放置したため、2006年になって突如、人工透析を開始しなければ命にかかわると宣告されてそうしたが、1年も経たないうちに死去となった。糖尿病の知識を本人も家族も持たなかったからである。

昭和55年9月19日、鈴木善幸内閣の厚生大臣に園田直(そのだ すなお)さんが発令され、その秘書官に私が就任した。園田さんにとって厚生大臣はそれ以前十数年前の佐藤栄作内閣以来、2度目だった。

就任して間もなく、糖尿病患者団体から永年に亘って陳情のあった「自
己注射」を許可する「省令」改正を裁可した。糖尿病の治療薬(注射のみ)が発見されt1923年のノーベル医学賞が与えられた。欧米では直ちに自己注射が許可されたが、日本では「注射は医者がするもの」との判断で許可されないできた。

1978年、ボン(当時の西ドイツの首都)で開かれたサミット(先進国首脳
会議)に随行した際、大阪選出の参院議員森下泰さんと一緒になった。
言わずとしれた仁丹の社長である。かねて衛生器材会社「テルモ」の経
営者でもあった。

その森下さんがふと「わが国では糖尿病患者が自分でインスリン注射が
できないので患者が困っておりまんね」と言う話。「自己注射が可能に
成れば衛生器材会社は競争して針を細くして痛みを和らげることがでけ
るんだが」。

その時は外務大臣園田直の秘書官だったから、悪いが話はそのまま忘れ
てしまったのだが、あれから2年経って厚生大臣。ご本人は隠していたが、若い頃からの糖尿病患者。既にインスリン注射を開始しなければいけな
いのに、注射きらいで医師から逃げている。

ボンでの森下さんの「陳情」もあり、自己注射は大正12年(1923)年以来、57年目にして園田厚生大臣によって許可された。酷い例では1日、4回も医者に通わなければならなかった患者も、通わないで済むようになった。

触れたくも無いが、日本医師会の傲慢と厚生官僚の怠慢が、わが国にお
ける糖尿病患者を病気と通院の2重の苦しみに目をつぶってってきたので
ある。

昭和59(1984)年4月2日、園田さんは既に全盲になっていて、腎不全で死
んだ。まだ70歳だった。若いときからインスリン注射の痛みと闘ってい
れば、あと10年は確実に長生きできたし、盲目にもならずに済んだものを。
まさに紺屋の白袴だった。(2010年3月27日、芝の増上寺で27回忌法要が
営まれる)。

園田さんが自己注射を許可してから、国内外の衛生器材メーカーは、拡
大し続ける糖尿病患者市場を目前に切磋琢磨。まず、ほぼ20日分のイン
スリンを1本のボールペン型注射器に詰め込むことに成功。

一方、注射針を細くすることにも日夜取り組み、2007年3月現在、注射針
の外径(先端部)は僅か0.23ミリ。近くは0.2ミリになろうとしている。当
に手先の器用な日本人を象徴するように世界一の細さ。全く痛みが無く
なった。

ところが医者は患者を脅す。「あんた、食欲を抑え、散歩を沢山しない
と、注射に頼ることになるよ、痛い目に遭うよ」。

食欲を押さえ、運動もしながら、どうしても血糖値上昇に悩む、悩める
子羊の足元を見透かして、効き目のない怪しげな薬もどきを売りつける
業者。売るほうも悪いが、患者を脅しつける医者がもっと悪い。

なお、インスリンは胃酸に混じると効き目が無くなる。そのために今の
ところは皮下注射で体内に入れるしかない。アメリカでは鼻から吸入す
る方法も開発されたと言うニュースを聞いたが、日本ではまだだ。(再掲)
。2007.03.20
■(本稿は、「頂門の一針」(1853号)に掲載されました。
  購読(無料)申し込みは下記ホームページから。
  http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm )


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