2010年04月02日

◆「条」から「條」に戻らぬ悩み

毛馬 一三

自治体名の正しい表記の書き換え要請に、中々応じてくれない公的交通機関があるという、珍しい話題を耳にした。

話題の自治体とは、本誌3月8日刊の「百家争鳴」欄で「古代の馬の渡来地」として取り上げた大阪府の四條畷市のことだ。

四條畷市は、南北朝時代の武将・楠木正成の息子正行(南朝)が自決した「四條畷の戦い」の有名な所で、そこには「四條畷神社」があり、楠木正行を主祭神とし、一族将士24人を祀っており、休日になると大勢の観光客が訪れている。いわば四條畷市の観光拠点のひとつだ。

このため四條畷市では、古くから受け継がれてきたこの「伝統的な地名」を継承すべきだとして、同市の施設表示には一貫して「條」の字を使ってきたが、警察や府立高校、国道の道路標識、そしてJR駅などでは、「條」の字を使用せず、常用漢字の「条」を使ってきていた。

これでは市のイメージに混乱を期たすとして四條畷市は、平成16年に大阪府に要請し、市名を「四條畷市」の表記を正式に使用する条例を制定させた。これによりそれまで「条」を使ってきた警察署、保健所、国道標識、公立高校など民間も含め公的機関のほとんどが、「条」から「條」に改めた。

ところが、ここにきてひとつの壁に当たった。

というのは四條畷市の交通機関の主要駅で「玄関口」ともいえるJR片町線の「四条畷駅」の看板等が依然として「条」のままで、「條」に改まらない。それだけではなく、JR各駅で発売される乗車券や列車運行表内等に表示される駅名も、「条」のままだ。

府条例がJRには及ばないにしても、何とか協力して貰えないかと先頃、四條畷市の首脳がJR西日本を訪ね、「四條畷」駅名などの変更の応じて貰えない理由を訊ねた。

これに対してJR側は、切符発売システムや運行表の手直しなどJRコンピュータシステム全体の改編に手を付けなければならず、そのためには数億単位の費用が掛かる。ただ、JRのダイヤ改正時に併せれば、約8000万円で済むということだった。

しかもJR西日本は、「條」への変更要請への協力は、8000万円を市当局が全額負担してくれることが条件で、それが実現すればJRとしての対応も可能という、いわば「条件付きの回答」だった訳だ。

これを聞いて困惑したのは四條畷市。22年度一般会計予算が176億円の四條畷市にとって、これに8000万円もの金を支出しければならないとなれば、市財政運営上大変な支障となるのは明らか。

とはいうものの、観光客が訪れる表看板駅名や当市までの切符までもが、市の「條」名前と違うままで継続するという事態も、安穏に見過ごせる問題でもない。

四條畷市では妙案がないものかと、今悩んでいる。(了)

■本稿は全国版メルマガ4月2日刊「頂門の一針」1869号に掲載されました。
<1869号・目次>
・理想のNHK会長を探そう:「NHK110番」
・NHK毛虱物語(再掲):渡部亮次郎
・普天間問題に首相「腹案ある」:古澤 襄
・「条」から「條」に戻らぬ悩み:毛馬一三
・ドイツは「マルク」に復帰するのか?:宮崎正弘
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

■「頂門の一針」の購読(無料)御希望の方は
下記のホームページで手続きして下さい。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

普天間 腹案
Excerpt: 普天間移設、「腹案にのっとって動いている」 首相 ‎1 時間前‎ 鳩山由紀夫首相は2日午前、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設問題に関し..
Weblog: 今日の報道特集サイト
Tracked: 2010-04-02 13:53