2010年06月01日

◆醤油の無くなった時代

渡部 亮次郎

今はどうか知らないが、30年ぐらい前のニューヨークではカレーの匂いはご法度だった。それを知らずにアパートでカレーライスを作り、管理組合の理事会決定で追放された日本人家庭がある、という話を聞いた。

同時に、日本人なら「香ばしい」と感じる人の多い「醤油の焦げた」匂いもノー。それを面白がって、友人はニューヨークからオタワ(カナダ)への上空で、するめをライターで焦がした末に、小瓶に入れた醤油をつけたからたまらない。

米人女性の客室乗務員が慌てて来たが、友人は口に入れてしまって知らんぷり。この頃は、アメリカ人全体が醤油の美味しさを余り知らない頃だった。

今では健康食として日本食が世界各地で好まれるようになってから、醤油を世界各地で手にいれることが出来るようになった。

事実、醤油は現在100カ国以上の国に輸出されており、生産は年14万キロリットルにも達する。キッコウマンなど大手メーカでは現地生産も行っている。

アメリカ大陸にはじめて足を踏み入れたのは昭和53(1978)年2月。 NHKの政治記者から外務大臣秘書官になったところに、永年の友人加瀬英明氏がやってきて「外相秘書官がアメリカを知らないでは話にならない」と、旧知である大臣を口説いて連れ出してくれた。42歳だった。

ロスアンジェルスへ降りて、本場のステーキなるものを注文したら、固いの固くないの話ではない。それにパサパサして喉を通らない。加瀬氏はアメリカは留学で知り尽くしているから、諦めている。このとき「醤油があったらなぁ」とつくづく思った。

そこで翌日は海岸べりのレストランに入って白身の魚をボイルしたものを頼んだが、これまた塩味が不足。いや、マヨネーズかチリソースにまぶして食べろと言うものだった。これで私はアメリカへ来たら、食い物は諦める、と決めた。

そこで、千葉県の有名な醤油メーカーにこの話をしたら、既(1957年)に醸造のアメリカ進出を決定したとのことだった。

<現在業界最大手のキッコーマン社がアメリカに続いてシンガポールに工場を設けて生産しているように,近年とみに世界の注目を浴び,販路を拡大するようになっている。> (平凡社:世界百科事典)

<日本人海外渡航者数の増加や、海外における日本食のヘルシーイメージの浸透など受け、醤油の輸出量が徐々に増加していった。これに目をつけたキッコーマンがアメリカ合衆国に海外工場新設を決断。

その後も海外での醤油消費量は伸び続け、現在では色々なメーカーが海外に拠点を設けている。米国において醤油の一般名詞が「キッコーマン」となっている。>(ウィキペディア)

アメリカに対して日本は1941(昭和16)年12月8日に戦争を挑み、結局は原爆2発を食らって降参。国民は塗炭の苦しみを強いられた。農村でも食糧難を体験したが、子供心にショックだったのが、醤油が売ってなくなったことだった。

調べてみると、あの頃の醤油の危機的状況とは、戦中戦後の食糧難に伴い主原料である大豆の醤油製造への配給が滞り、醸造元が本来の醤油を作ることが出来なくなったからある。

また、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が醤油の重要性を理解せず、大豆を酸で加水分解した方が効率良く製造できると指導してきたという逸話も残っている。

しかし、1952年の独立回復とともに正しい製造方法による醤油作りの復活が大手メーカーを中心に芽吹き始め、景気回復と共に本来の美味しい醤油が食卓に戻ってきている。ただ、日本人の洋食化・核家族化が進むと共に和食が調理される機会が少しずつ減少し、醤油の消費量も伸び悩み始めている。

醤油は長い歴史の間でそれぞれの地域ごとに独自の風味を持った醤油を開発してきた。このため、日本人は自分の出身地域の醤油の味を好むといわれており、業界の最大手クラスの業者といえども全国規模で商品を出荷する事は極めて困難であると言われている。

例えば九州では、こいくちでも関東のものに比べ甘みが多い。また、刺身醤油に必ず「さいしこみ」を使うことで「九州の醤油は甘口が好まれる」と言われる。NHK時代,九州へ転勤した江戸っ子が東京の醤油確保に苦労していた。

実際に、ごく一部の醤油に砂糖、甘草、ステビアなどの甘味料が添加されているものがある。九州ではこいくちでも「うまくち」と呼称して区別する場合が多い。カルビー製のポテトチップスにも甘口の醤油の味の「九州しょうゆ」味がある。

また、醤油の味によって、料理の基本となる出汁の味や色も変わるので醤油の違いが料理の地域性にも少なからぬ影響を与えている。さらに料理人に至っては複数の地方色のある醤油を混ぜるなどし、独特の味を作り出す者もいる。出典: ウィキペディア)

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