2010年06月12日

◆勘違いするな「民意」殿

渡部亮次郎

<菅氏が首相に就任した。鳩山首相が辞意を表明してから僅か2日間という、全く民意を無視した形での交代劇である>との説が
私のもとに到来した。

べつには「大使人事を国会の外務委員会で予め審査しないのは民意
の反映に背く」という投稿もあった。

<日本の特命全権大使は原則として大使館または政府代表部の在外公館の長(在外公館長)であるが、国連政府代表部など複数名の特命全権大使を擁する在外公館がある。

その場合は上位者が館長に、次席が次席館員となる。在外公館に勤務しない大使は待命大使と呼ばれる。

特命全権大使は特別職の国家公務員かつ外務公務員であり、その任免は、外務大臣の申出により内閣が行い、天皇がこれを認証する。また、特命全権大使の信任状及び解任状は、天皇がこれを認証する。>(「ウィキペディア」)

憲法や現行法令上では、国会と雖も大使人事に容喙する事は不可能である。民意を反映させる事はできない。どうしても民意の反映を求めるなら法令を改正するしかない。現行法令下で「大使人事に民意を反映させろ」は所謂「無い物ねだり」であり、悪く言えば悪態に過ぎない。

<現在の日本では慣例的に外務省職員(特にキャリア官僚)からの任命が多くを占めているが、他省庁の職員が退官後に各国の大使に任命される例も多い。

外務省職員にとって大使ポストは出世のキャリアに組み込まれているが、とりわけ外務省においては事務次官をつとめた後、サミット国や近隣の大国の大使に転出する慣例が続いてきた。

この点において事務次官が最高ポストである他省庁と一線を画す。他方、相対的に日本との関係で重要性が低いと見られる国の大使には、しばしば本省の課長相当職すら経験していない人物が赴任するケースがあったため、外務省改革の一環としてその運用が見直された。

その外務省改革では主要国以外の大使のポストに民間の人材が多く登用された。例として、猪口邦子・国連軍縮会議代表部大使(前職は上智大学教授)、石弘之・ザンビア大使(東京大学教養学部教授)、近藤剛・バーレーン大使(伊藤忠商事)、松山良一・ボツワナ大使兼南部アフリカ開発共同体日本政府代表(三井物産)、杉浦勉・初代ブルキナファソ大使(丸紅)、竹田恒治・ブルガリア大使(伊藤忠商事)、小川元・チリ大使(元衆議院議員)、北岡伸一・国際連合代表部次席大使(東京大学法学部教授)、浅井和子・ガーナ大使(弁護士)などが挙げられる。

ほかに戦後、外務省外から大使に登用された例としては、新木栄吉・アメリカ合衆国特命全権大使(日本銀行)、西山勉・初代インド大使(横浜正金銀行)、荒川昌二・ベルギー大使(横浜正金銀行)、二宮謙・パナマ大使(横浜正金銀行)、林不二雄・エルサルバドル大使(三井物産)、古垣鉄郎・フランス大使(日本放送協会)、

大隈信幸・コロンビア大使(参議院議員)、高原須美子・フィンランド大使(経済評論家)、糠沢和夫・ハンガリー大使(経団連)、那須皓・インド特命全権大使(東京大学農学部教授)、山本鎮彦・ベルギー特命全権大使(警察庁)、横尾和子・アイルランド大使(厚生省)、

赤松良子・ウルグアイ大使(労働省)、松原亘子・イタリア大使(労働省)、藤原武平太・ブルガリア大使(通商産業省)、遠山敦子・トルコ大使(文部省)、>(同)中山恭子ウズベキスタン共和国特命全権大使兼タジキスタン共和国特命全権大使(財務省)などがある。

一方、政権交代が「民意」を無視して行なわれたとはどういう意味か。鳩山総理が総辞職したので衆参両院はそれぞれ憲法や法令に従って投票の結果、菅直人を新たに総理大臣に指名したまでである。

衆参両院は選挙による民意の意向に沿って構成されている以上、新しい総理大臣の指名ほど民意を反映したものは無い。わが国の憲法は両院を通じて民意が反映される制度を布いている。総辞職があれば、すかさず後任の総理大臣を指名するのは国会の義務であって
民意の無視ではない。

パソコンの普及と相まって政治批判の言論が高まっているのは結構なことである。しかし何でもかんでも直接有権者の要望が受け入れられないから「民意が反映されない」とか「暴挙だ」などと非難するのは可笑しい。

憲法や法令を無視した批判や非難は却ってするのは見苦しい。

衆参両院の運営に当っては一般国民に知らされていない「先例」が優先することになっているので、批判には注意が必要である。

例えばある大臣が答弁要求が予め出ていないのに雛壇に坐ってるのは先例違反だし、必要な答弁を済ませた首相か閣僚が、雛壇から途中退席するのは失礼ではない。それなのに「失礼だ」と言う投書があったので特に触れた。敬称略。2010・6・11

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・勘違いするな「民意」殿:渡部亮次郎
・菅首相、勝敗ライン見直さず:古澤 襄
・精神の無政府状態に陥った日本:宮崎正弘
・「・・思います」は仲々厄介(続):須藤文弘
・夢の対決「橋下 vs 石原」:平井修一

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