2010年07月07日

◆NHKに相撲協会断罪の資格があるか

大谷英彦(ジャーナリスト)

NHKは11日から始まる名古屋場所の中継をやらないと発表した。この発表はマスコミ各社に「午後5時半に福地茂雄会長が記者会見する」と会長以下理事を含め4名の名前で予告され、その顔ぶれから「中継はするようだ」と放送し観測を誤った民放もあった。

これまで今のNHK幹部の思考性癖を見てきた私には、そもそも日向放送総局長が最初に「名古屋場所は『中継中止も視野』に検討する」と記者会見で述べた時から「おや、いつものNHKと違うな」と違和感を覚えた。続いて日向総局長は、これが福地会長の「指示」であることを明言した。

台湾の歴史捏造に始まる「シリーズJAPAN」問題で、時には「ぬらりくらり」時には「ずうずうしいし嘘」を述べてきた彼が珍しく「視野に入れて」と踏み込んだ表現をした理由が、福地会長の意向にそったものと明らかになった。

彼の発言を「ずうずうしい嘘」と呼ぶ理由は、浜崎憲一PDが番組放送後も4回台湾に出張している理由を問われ「NHKは放送後も相手を訪ねる のは当たり前」と嘯いた会見発言がNHKホームページに掲載されている。浜崎PDは「息子が学校でいじめられている」「右翼暴力団に狙われている」などと、嘘のでっち上げで同情を引き証拠隠滅工作をしたことは台湾から証言が寄せられている。

日向氏は福地会長の指示を公開することで、間違ってもわが身は安全、その保身に加え、会長へのゴマすり効果もという計算が、彼の珍しい「明快会見」になったと観測する。

福地会長は、中継中止を決めた記者会見で、NHKに寄せられた意見の6割は「中止せよ」だったと述べた。

たまたま寄せられた意見が中止というだけの話だ。当然「中継せよ」という意見もある。中止せよという意見は、NHKに「裁判官的役割」を求めている層と「あんな相撲は見たくない」という2層に分類できると見る。
見たくない層は、中継があっても見なければよい。中継止めさせる理由にはならない。
NHKが相撲中継をしないことで日本相撲協会の改革に、どうな効果があるのだろう。

そもそもNHKに相撲協会を断罪できる資格はあるのか、と問いたい。

福地会長は何ゆえか任期1年余を前に辞意を表明し、アサヒビールの相談役になる予定だったのが、民主党の代表交代の政局急変で後任会長が決まらず、いわば家出を図ったお父さんが脱出失敗、「出戻り」的に床の間に座っている形だ。

その会長が急に「職務に目覚めた」ような図式に私は違和感を感じる。何か下心があるのではないか。

心を入れ替え本来の「職務に目覚めた」のなら「シリーズJAPAN」第1回「台湾」の番組を、もう1回見直し日本唯一の放送局の会長として勉強しなおしてもらいたい。

福地会長は「私は3回見たが問題ない」と語っている。私と同年の昭和9年生まれの福地会長が、戦後教育で吹き込まれた川崎憲一的自虐史観に同調、擁護するのは滑稽だ。

NHKは日本で唯一の公共放送だ。受信料という特権は、正しい放送をするという義務に裏打ちされた特権なのだ。

NHKと共通性の多い相撲協会に「教えをたれる」前に「わがふり」を直す方が先ではないか。

今月9日には「台湾番組」の捏造を訴えた「1万人訴訟」の第3回公判が東京地裁で開かれる。毎回の公判にはNHK広報のグループが傍聴席を埋めているが、番組を制作した面々も、その放送責任者たちの顔も見たことがない。

自分たちが作った番組に愛情・自信を持つ放送人は、批判をじかに聞き徹底的に反論する。己に誤まりあれば謝罪し訂正する。ジャーナリストの常識だ。

福地会長は「出戻り会長」ではない「意欲を示したい」と思うなら、他所のことより先ず自分のとこの姿勢を正すほうが先ではないか。

9日の東京地裁でNHKを告発する原告の主張に耳を傾けることから始めてはいかがかな。

NHKを正す会
http://nhk-tadasukai.iza.ne.jp/blog/
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