2010年08月01日

◆野次り屋は戦略を組めぬ

渡部亮次郎

武道の合気道の極意と菅首相の政治行動がよく似ている。予め、戦略を立てているのではなく、相手の出方、相手の攻めてくる力己のものとして、相手を倒すと言うやり方である。

柔道では逆手を取ったりするので相手を怪我させることがしばしばあるが、合気道には無い。合気道8段だった故園田直に良く教えられた。

<菅氏は1980年の第36回衆院選で初当選。土地問題や税制などを中心に、政府を鋭く追及する市民派の論客として知られるようになっていった。

1981年には丸山ワクチンの不可思議な不認可問題を追及し、後の薬害エイズ事件につながる官僚との対立姿勢を見せた。

1992年6月13日、PKO国会において、衆議院本会議で中西啓介・議員運営委員長の解任決議案に賛成の討論を行ったが、制限時間を過ぎても演説を続け、衛視に壇上から押し出され降壇させられるなどPKO協力法の成立に激しく抵抗した>。(「ウィキペディア」)

相手を厳しく追及してゆくことで人気を呼び、それを次の攻撃の糧にしてゆくのが菅流。何をおいても自らの主張を掲げ、その実現のために邪魔するものを排除して理想を実現するのではないのだ。

まず、攻撃に耐えてくれる強烈な敵(嘗ての自民党)がいないと仕事にならない。これを繰り返しながら人気を得てゆく戦略しか立てられないから初当選まで3度も落選する必要があった。

なにせ「追及」が仕事。市井の「当たり屋」か「いちゃもん屋」か「野次り屋」みたいなものだから必要なのはタイミング、当意即妙の野次である。

今度の参院選で民主党敗北の原因とされる消費税率引き上論のやりかたがこれを良く物語っている。

自ら10%と言ったわけではない。財務省の役人に「第二のギリシャにならぬ為には消費税の引き上げしかない」とおそわったものだから、谷垣発言にそれツとばかり乗った心算で発言したが、戦略が確りしていなかったので落馬してしまった。

識者は「菅政権には戦略が無く、その場限りのパフォーマンスばかりだ」と批判して恰好をつけるが、「野次り屋」はすべてパフォーマンスだから、すべてはその場限りなのだ。パフォーマンス以外に出来ることは無いのだ。

どこかでも主張したが、昔の「全共闘」(左翼学生)は弁護士、医者、松下政経塾に潜り込み、いま民主党と名乗る「体制」派になったのが現実。彼らは戦略を持っているが、官房長官が時々みせるように衣の下に鎧を隠している。

戦略的に考えれば、小沢を徹底的な悪者に仕立て、小沢に菅が徹底的に虐められる戦略を練れば、小澤は世論に嫌われ、逆に菅は同情を惹き、堂々と代表選挙で再選されることになる。

しかし、度胸が据わってないから、このような作戦は取れないだろう。作戦に戦略が無い以上、やることなすこと、その場限りなものになるから民主党は、結成以来、最大の危機を招くだろう。

国民の90%に嫌われている小沢。それを味方につけようとしていること自体誤りだ。小澤は健康上、総理は務まらないから、代表選挙には絶対立たない。さりとて変わるべき役者は育てていないから、
勝てない候補を出し、菅を苦しめるだけ苦しめて再選を許す。

その結果、組閣は徹底的に小沢色に染まったものになり、世論の反発を食らうだろう。これでは、日本がやりきれない。

小沢の起死回生の策は代表選挙などワシャ知らん決め込み「大連合」実現に奮励努力することなのだが。(文中敬称略)2010・7・31

■本稿は8月1日の全国版メルマガ「頂門の一針」1996号に
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 ◆<目次>
・野次り屋は戦略を組めぬ:渡部亮次郎
・自信喪失の菅首相、意気軒昂な小沢前幹事長:花岡信昭
・鳩山が9月訪露予定だった:山堂コラム 329
・仙谷官房長官の個人的思い入れ:阿比留瑠比
・楽しい数字の語呂合わせ:平井修一
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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