2010年08月08日

◆お帰り小沢さん、待っていますサザン

石岡 荘十

食道がん治療のため講演活動を休止していた世界的な指揮者・小沢征爾さんが帰てきた。今年1月、食道がんと診断され、音楽活動を休止するというニュースが世界を駆け巡った。

1935月9月1日生まれ。私とは年齢的に同級生だからなおさら心配だった。

よく知られている通り、彼のサクセスストーリー、同年代の星である。恩師ゆかりのサイトウキネン・フェスティバルホール(長野・松本市)でタクトを振る姿がテレビニュースで放送されたのはつい先だってのことだ。嬉しかった。

そこへ、サザンオールスターの桑田圭佑さんの同じ食道がん報道である。その3日の本メルマガで、いつもは卓見を披露されている常連の執筆者がこう書いている。

<桑田圭佑なる茅ヶ崎出身の歌手がガンに倒れた」という愚にもつかないニュースをどの局でも朝から晩まで、あの歌手の下品な歌声とともに垂れ流している>と罵倒している。これには滅多にないことだがカチンときた。

愚にもつかないニュース、だろうか。彼の“いとしのエリー”は、もう30年以上前になるだろうか。まだカラオケのないころからの私の愛唱歌である。後に国連の平和大使、盲目のスティーヴィー・ワンダーが名曲ベスト10に選び、必ず歌う名曲である。

にもかかわらず「下品な歌声」としか聞こえないメルマ常連筆者のお耳、そんな感性しかお持ちでない。お気の毒としか言いようがない。

勿論、<私は昔から流行歌が嫌いですし、評価しておりません。ファンなる連中やテレビ局が礼賛する歌手は、ロックであれ何であれ、皆演歌を別な形で歌っているだけです>と思い込むのは勝手です。でも、ここに書くべきではないでしょう。

小さいときは父親の影響でクラシックを徹底的に聞き、中学生時代ラジオで「バナナボート」に傾倒。群馬交響楽団で第九を歌い、教会で聖歌隊を経験し、上京して大学時代にジャズに衝撃を受けた。

いろいろ聞いて、最近では、リアン・ライムス、ジョー・コッカー、ハート。今期待しているのは18歳になったフィリピンのシャリーン---、の濫読ならぬ“乱聴”のキャリアからいうと、節操がないともいえるが、<私の偏見では「美空ひばり以外は皆下手」です>は、そうです偏見です。聞く側に問題がある。

パソコンが手近になったころ「情報リテラシー」という言葉が流行った。あふれる情報を読む能力というほどの意味だったろう。どんな音楽が好きか。それは聞く側の音楽を聴く感性の問題だ。

「バナナボート」がはじめてラジオから流れたのは昭和28年ごろだったろう。「第九」を原語で覚えるのに必死だった高2のあのころの衝撃を今でも忘れない。「こんな歌があるのか、世界の中には---」

3日の本誌の筆者は桑田の歌を槍玉に挙げている。<あのような低俗な歌を「良い歌だ。良い歌手だ。歌手様命」とばかりに朝から晩まで、何処にいてても何とか言うAppleがこの世に「日本人を骨抜きにしよう」と送り込んできた小さな機械で聞き続ければ、頭の中は空になります。低俗なものしか受け入れられなくなります>と断じている。偏見で
あると思う。

私の頭は別に空にはなっていない。何よりも、病に倒れたミュージシャンをネタに、そんな桑田はいなくてもいいというような論調を展開する神経が、私には理解できない。

私は、「小沢さんの帰りなさい。待っています、サザン」と言いたい。桑田さんの手術はうまくいったと伝えられている。癌の体験を乗り越えた桑田さんが“TSUNAMI” を凌ぐ名曲を送り出す日を楽しみにしている。
      20100805
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