2010年08月28日

◆8月15日に思ったこと

真鍋 峰松
    
人間、65を超す年齢ともなると、あと何年生きられるかを真剣に考える。考えざるを得なくなる。その延長線上に死を自覚する。

その考えは、次の二つの点に絞られる。死後の世界があるのかどうか。神は存在するか、人間に仏性はあるのか。人類始まって以来の永久の問である。

急に妙なことを言い出したなと思われたかも知れないが、これこそが、誰しも持つ窮極の疑問であり、おのれ自身のこれまでの生き様の中で、各人それぞれが持つ信条、体験や見聞の中で判断する外のない問題であろう。

まぁ、言ってしまえば、霊的な体験や見聞を信じるかどうかの問題、とでも言え替えられようか。 そして、これを今次大戦で帰らぬ人となった幾多の英霊・戦没者への、真正面から向き合うせめてもの契機としたいと思ったのである。

8月15日の終戦記念日の直前のある日、何気なしにつけたテレビで黒柳徹子さんの「徹子の部屋」を見た。この日の客人は裏千家の前家元 千玄室氏(先代の宗室氏)。この方はいわゆる特攻隊帰りの元海軍中尉。 

同志社大学2年生で徳島海軍航空隊に入隊、訓練後同期210数名が全て特攻隊へ。その中にはテレビの水戸黄門役で知られた西村晃氏が居られた由。鹿児島県鹿屋特攻基地からの、同氏は沖縄戦での米艦船への特攻出撃前の偵察機乗りのため、西村氏は出撃したものの機体不良で不時着のため、お二人とも無事終戦を迎えられたそうである。

今でも数多の同期生が戦死した中で、内心では死に損なったという忸怩たる想いで一杯、特に84歳を迎えた今日、寝床に入ると当時の戦死した仲間の顔が浮かび、グルグルと回って見える、という。

また、戦後度々沖縄へ赴き、記念碑の前や海辺で献茶されてきたそうだが、その度に記念碑前では献茶される同氏の周りに、それまで風も無かったのに、必ず一閃の風が同氏を取り巻くように吹き、海辺では海に注いだお茶が渦を巻き、何処からかお母さんという声が聴こえてきます、とのこと。ただ、この種の体験を、身近な所で私自身も味わったことがある。

パスカルの「瞑想録」の中の有名な言葉として、神さまを信じない人に向かって「あなたは神さまを信じていない。信じてはいないけれど今幸せだ。しかし、神さまを信じる方に賭けたらもっと幸せになるだろう。だからあなたは神さまを信じる方に賭けなさい。もし神さまがいなくても、もともとである。もし神さまがいたら、もっと幸せになれる」というのがある。

確かに、この言葉には欧米風の功利主義的思想がプンプンと匂ってあまり好きではないのだが、ある一面の真理を表している言葉だ、とは思う。

この類の話は、人により受け止め方も千差万別。信じる人、全く信じない人、半信半疑の人。繰り返しなるが、前に述べた通り、おのれ自身のこれまでの生き様の中で、各人それぞれが持つ信条であり、体験や見聞の中で判断する外のない問題だろうし、個人的な霊的体験・見聞を信じるかどうかの問題、とでも言え替えられる。

また、論語の述 而 第七には「子、怪・力・乱・神を語らず」とある。

孔子は奇怪なこと・勇力のこと・逆乱のこと・鬼神のことは、人と語らなかった、というのであり、通説では論語にいう怪・力・乱・神を語らずとは、否定するべきものではないが、語るべきものではない、というのである。それは、なお鬼神の存在を認めて、それをはばかる信条が、理性とは別のこととして、残されていることを意味している。

それではお前はどうなんだと問われたら、やはり、私には、身近な所で感じた体験からして、到底否定し難い世界の話、こうした未知の世界は残されると信じる。

その世界は、ただ人間の経験の積み重ねによってのみ自然に解明される事柄である、としか言えない。かの有名な養老孟司氏もどこかでお書きになったように、「当人にとって、これ以上本当の事はないというほど本当のことだって、他人が信用するとは限らない。私は神を見るという宗教体験があることを疑わない。

でもそれを私が見るかどうか、その保証はないのである。だから、私は科学の分野なら立ち入るが、宗教の分野には立ち入らない。別な表現をするなら、感覚の世界には入り込むが、他人の心の内部には入り込みたくない。

それは個々人の世界であって、他人があれこれ言うべきことではない。そんな気がするのである」ということであろうか。 

親が子を殺し、子が親を殺し、挙句の果てには、己が死にたいから誰でもよいから道づれに、というような殺伐たる世の中。このような世の中だからこそ、このような話を語り継ぐことが必要だと改めて思う。 

今次大戦で尊い命を失われた幾多の英霊・戦没者のご冥福を心からお祈りしながら・・・ 合掌。



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