2010年09月16日

◆円高 異聞

真鍋 峰松

最近の急激且つやや長期化しつある円高を観ていると、もともと経済音痴の私でも、少々心配になってくる。

株や公債等を多量に所有しているわけでもない我が身としては、本来、円高・円安による株価の乱高下等に一喜一憂する必要性は全く感じない。むしろ、一般消費者として、円高は本来、輸入品の値下げを通じ物価の下落を齎す歓迎するべき事柄、と昔に教えられた。

ところが、昨今のニュース等を見聞きすると、明日には日本の輸出産業が壊滅するが如き騒ぎで、我が国の製造業の外国移転が一層促進され、国内雇用の喪失を招来する危険性があるとのこと。果たしていつもの狼少年のような過熱報道なのかどうか、私には判断する知識とてない。

ただ、昔の経済学の知識では解析不能な現象が起こっており、それは20世紀末からの経済の急激なグローバル化に起因するのだ、と知るのみ。

ところがこの円高騒ぎの最中、ほん身近な処でも、一喜一憂している現実的な話を聞き驚いた。それは、日本の損害保険会社・A社の第一線営業マンからの話。
 
A社では、数年前から毎年某大ホテルの施設やホテル利用客に絡む事故に関する損害賠償責任保険を単独で取得してきたのだが、今年はライバル会社が参入し競争入札となった。そのライバル会社とは世界的に有名な某外資系保険会社のことだそうだ。
 
だが、A社は「この円高の中で非常に不利な立場になる」と、彼は説明する。何故なら、もし両者とも適切な応札保険料が100万円だと仮定すると、A社は100万円で応札。

しかしその某外資系ライバル社は85万円(1ドル=100円→85円の円高と想定)で応札するだろう、と言うのである。
 
つまり、両社の社内の内部協議の結果、そうならざるを得ない。A社は勿論のこと日本円で、ライバル社は外資系の故に内部経理上ドルを中心に考えるだろうから、と言うのだが・・・・。                          
この話、どうも余りにも専門的・特殊的に過ぎて、聞けば成る程と思わされるものの、私も一知半解の状態。
 
それでは、もし万一事故が発生し保険金支払いの場合には、円相場が現在より一層円高に振れていれば、ライバル社にとっては想定以上の出費を強いられ、逆に円安に振れれば予想外の儲けと言うことになるのであろうか。

とにかく、ややこしい社会になったものだ、と慨嘆するのみ。
  
(参考) 現在 1ドル=85円として、損害発生時の保険金支払いが1億円とする。
@1ドル=85円   1億円÷85円≒118万ドルの支払い
A1ドル=50円   1億円÷50円=200万ドルの支払い
B1ドル=100円  1億円÷100円=100万ドルの支払い
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