2010年10月02日

◆記者会見、客の苦情への対応

渡邊好造

最近、企業などの不祥事でマスコミへの事情説明や謝罪の会見がよく目に付く。

私も広報担当として約10年間マスコミの取材、ヤクザの脅しや消費者の苦情への対応業務を経験し、最後は子会社の解散発表会見までやったので、これに携わる担当者の苦労の程は痛いほど分る。

不祥事発生に際して袋叩きに遭うし腹もたつだろうが、もう少しうまく喋る、好意的に受取られる態度をとればいいのにと感じることが、これまでの自身の反省を含めて数多い。

そこで、不祥事が発生した場合の記者会見、客の苦情などへの対応のあり方について、ガイドブックにはない「広報最前線の些細な15箇条」を記してみる。

1)インタビューを受ける際にしごく当り前のことだが、分っている事実は正直に答え、その場逃れの回答は絶対にしないこと。分らないことは分らないと言えばいいだけで、個人的な判断や意見を言わないこと、事実関係を正確に説明する。

2)目線を質問者に合せ、そしてできるだけ瞬きしない、キョロキョロよそ見しない。でないと、目が泳いでいた、落着かない様子、真剣さが足りないとなる。

3)何を質問されてもその内容に反応しないこと。不愉快でも我慢することはいうまでもなく、感情移入をせず淡々と答える。その場の記者やカメラの向こうに多くの大衆がいる。怒っても笑ってもいけない。

4)回答に窮したら黙りこまない。よく聞えなかった、意味が分らないとして「もう一度言って欲しい」と頼み、相手の質問が繰返されるその間に答えを考える。

5)インタビューで逆質問してはならない。質問者に対して「さっき答えたでしょう(小沢一郎・民主党元幹事長)」「答えなければいけませんか(武蔵川・元相撲協会理事長)」などと言うと開き直ったとなり、悪印象の事例として何回も、、。バカの見本。 

6)汗が吹き出しても絶対にハンカチ、タオルを使わないこと。「涙を拭いながらの謝罪会見」というタイトルがつくことになる。

7)両手は後ろでなく前で組まないと、態度がでかいととられる。テーブルがある場合はその上に両手を出し動かさないこと。手が動くと「落着かない様子」「手はかすかに震えていた」となる。テーブルの下でゼムクリップを繰り返し折り曲げているのをテレビカメラにキャッチされ、「イライラしていた様子」、、、。

8)頭の先からつま先まで全身に抜け目なく神経を集中させること。見えていないと思いズボンの裾を膝までたくし上げ、貧乏ゆすりしているのを映されていたことがある。テレビカメラが狙うのは前からとは限らない。

9)服装は派手でないこと。スーツ、ネクタイに気を配るのは言うまでもなく、スーツの裏地やワイシャツは単色の派手でないもの、ストライプが入っていたりすると「ヤクザっぽい服装」となる。

10)客やヤクザの脅しに「やれるものならやってみろ」は一番いけない。脅しだけで本当にやる気がないのにその気にさせる。"殺してやる"と言われた取調べ中の警官が「やれるものなら、、」と言い返して、拳銃を奪われ撃たれていた(週刊新潮)。「やって欲しくないし、あんたのなんの得になる、、」位に受け流せばいいこと。

11)「俺が怖くないか」と言ったり、未だに墨筆太文字の名刺を出す奴がいる。本当に怖がる必要はないが、「怖くない」と言ったり、強がったりしないこと。できるだけ怖い振りをして相手の要求を探る。

12)暴力を振るわれそうだとみたら、必ず二人で応対し証人をおく。相手が少しでもこっちの体に触れることがあれば、思いっきり大げさに倒れ、痛い痛いと叫ぶこと。それで暴力行為は成立、すぐに110番。

13)マスコミの会見要求や客の面会要求があれば素早く広報などの担当部長、又は役員クラスの責任者が応対する。質問を30分以内に終らせたいなら、「このあと予定がありますので20分位で、、」と初めに断り10分間延長したようにするのがいい。

14)会見、面会、電話を問わず「責任者に聞かせる」として録音する(要了解)。後で聞き直し相手の真意を探り、当方の発言に問題がなかったかチェックする。録音テ-プはすぐ取出せるよう整理して保管する。相手も記憶していることだから編集したりしてはならない。

15)記者、苦情客を問わず先方が席を立たない限りできるだけ最後まで対応する。質問を受付けない、メモを読上げるだけの会見ならやらない方がまし。

そこで一言。 記者、テレビカメラ、苦情客を前にして"余計なことを言ってはならない"、と思うと緊張して話しにくくなる。そして慣れるしかない。ただし慣れるとその後何年も担当させられるからその積りで、、。(完)

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