2010年10月07日

◆気高い「きだかい」

渡部 亮次郎

2007年12月19日NHK正午のニュースでアナウンサーが気高い(けだかい)と読むべきを「きだかい」と読んだと呆れて電話があった。記者の先輩だった人からである。

気高いがなぜ「きだかい」になったのか理由は調べようがない。深夜便に出るようになった男のアナウンサーは股引(ももひき)を「またひき」と読んだことがある。

私がNHK国際局でデスクをしていた時、女子アナウンサーは民社党の春日「はるひ」委員長と読み、内科、外科(がいか)と読んでこっちを仰天させた。

アナウンサーとは難しい商売である。間違って覚えてしまっている言葉もあるかもしれないが、つい咄嗟に口を出てしまう誤りがあっても、聴取者には言い訳が利かない。因果な職業であり、同情する。

しかし政治家の日本語誤用は許されない。額賀福志郎財務大臣(当時)の言語道断を「げんごどうだん」には呆れた。彼は早稲田大学を出て産経新聞の政治部記者だった。角栄番から茨城県議を経るという経歴豊富な教養人であるはずが、様にならない。

論功行賞を「ろんこうぎょうしょう」と連発した大臣がいた。なんとかコンチェルンの一族だったが、どの学校で何を習ったのか、早くに死んだから恥を長く曝さないで済んだと言うべか。

自民党のある国対委員長は「がっぽうてきてだん」をとって野党の議事妨害を排除するという。記者団はみんな首を捻ったが、長老があとで「合法的手段」と助けてくれた。

それ以前には本会議場(全議員が一堂に会する会議)での演説で「ここで水を飲む」とト書(とがき)まで読んでしまった代議士がいたそうだし、追加更正予算を「おいかさらまさよさん」といった代議士もいたそうだ。

以後は学歴も向上したからこうした話題は少なくなったが、額賀氏の「げんごどうだん」は久々の事だったので言語道断の日本語と話題になったわけだった。

しかしわが大臣も旗幟鮮明を「きしょく」鮮明というものだからさぞかし外務省は陰で笑った事だろう。私も注意する勇気はなかった。殺陣(たて)をさつじんとも言った。

こういう話題は探せばいくらでもあるはずだ。しかも今は学歴は高いが勉強は全くせずに社会に出てくる子供が益々多くなっていることだから「きだかい」は序の口かと思う。多分「じょのくち」は分からないだろう。2007・12・21

追記:最近では国連で、菅首相が「疾病(しっぺい)」を「しつびょう」と読んだ。
2010・10・5

◆本稿は10月7日(木)刊の「頂門の一針」2058号に
掲載されています。

◆<同号目次>
・気高い「きだかい」:渡部亮次郎
・国防省創設を:MoMotarou
・中国監視船、尖閣沖を離れる:古澤 襄
・不埒なマスメディアを糾弾する:東郷勇策
・電車内読書と居丈高な女たち:須藤文弘
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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 http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm


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