真鍋 峰松
もう11月。 例年なら秋も深まる絶好の行楽シーズンだが、一向にその感じがしない。 わずか二週間ほど前まで、暑い暑いと言い暮らしていたのに、一転、この寒さ。
一体、秋はどこへ吹っ飛んで行ったのか、と思う昨今。 それもこれも、最近、地球の各大陸・各地域で災害をもたらしている世界規模の異常気象のせいだろうか。
そして、中国・上海では、今春から開催された上海万博もどうやら無事終了。過去最大の入場者数だった1970年大阪万博の6400万人を凌駕する7300万人を記録したとのこと。別にケチをつける気持はないが、それも日本の10倍以上もの国内人口を有する中国にしては、という気もするのだが。
前月末のテレビ報道によると、温家宝首相は閉幕挨拶で、わざわざ70歳前後の大阪の日本人女性が148回も入場したとの話題を披露した、とのことである。
その温家宝首相。つい先日のテレビ報道では、日・中・韓三国首脳の会見の場で管総理大臣と気の無い嫌々とも見える握手をするなど、終始一貫すげない態度でいたのと対照的。
それも全てが中国国内の反日運動への配慮からというのだから、外交に関して温室育ち・平和ボケの現在の日本人にとって、その無礼無作法は世界的異常気象なみの驚きだ。如何にも老獪極まりない中国としては下手な遣り口としか思えない。
ところで、現在、書店の売れ筋第7位かにランクされている石 平氏の著書「私はなぜ「中国」を捨てたのか」を読んでみた。同氏は四川省成都市出身で天安門事件前の民主化運動が最も盛んな1980年前後に北京大学に学び、事件当時には神戸大学へ留学中だったそうだ。
最終的には中国民主化への絶望の末、2007年に故国中国を捨て日本国籍を取得するに至るのだが、詳しくは同書をお読み頂くとして、最も印象的だったのは、80年代に中国に存在した温かい対日感情が、90年代には日本に対する中国人の姿勢と感情が急速に悪化し、しかも、その原因は決して日本にあるのではなく、むしろ中国自身にあるのは明々白々だとの断定。
中国においては、真っ赤な大ウソと悪意の捏造を内容とした国家規模の反日宣伝と教育(それが江沢民政権下の1994年8月の「愛国主義教育実施綱要」)が、一つの統一した主題と台本に基づいて、学界やマスメディアを総動員する形で組織的に行われてきたのである、との記述である。
同氏は、2000年8月帰国の折の大学1年生の甥との会話を交えながら、その実情を自身の体験として記述する。
過去何度も訪中経験を持つ私には、果たして一体、かくも短期間に中国人の対日感情が根底から激変するものなのか、容易には理解し難い。北朝鮮の実例を引くまでもなく、また、身近な所でも日本の明治維新後の皇民教育を考えても、数十年単位の教育による結果だと思うのだが。
つくづく人間の弱さと共に、共産主義中国の徹底した手法には驚愕させられる今日である。