2010年11月05日

◆「お前の女房は元から俺の女房」

渡部 亮次郎

わが国の尖閣諸島に対して突如として中国が領有権を主張し始めたのは1969 (昭和44)年のことだった。佐藤栄作内閣の頃だったが、わが国メディアは無視した。

後日、外相秘書官になった時、この間の事情を外務当局に質したところ「自分の女房をオレのもんだ、と連日叫ぶ事は恥ずかしいじゃない」と諭された。

日本の常識ではそうだろう。だが中国にかかると全く違う。「あんたの女房は美人で金持ち。だから昔から俺のものだったのだ」というのである。餓鬼の論理、ならず者の理屈だ。

だから外交課題には適さない。理不尽を力で通そうとするのは布告なき宣戦とでも呼ぶしかない。菅首相、仙谷官房長官、前原外相らは、ここが判っていない。

しかも中国は昔は尖閣の海底に眠る石油とガスが欲しくて悪たれたが今や違う。尖閣の辺りを自由に航行できなければ、目指す太平洋支配が可能にならないので、一段と態度が強硬になってきているのである。

それなのに、日本のいう「冷静な話し合い」などに応じるわけが無い。応じていたら野望が挫かれかねない。菅首相や仙谷官房長官らは、すべて「事は大きくしたくない」から「穏便」ばかりを口にし、すべて下手に出れば大きくならないと決めているようだ。

しかし、日中平和友好条約の締結交渉に従った少ない経験からするところ、日本人と根本的に違っていて、当方が1歩譲歩すれば2歩踏み込んでくる。事はロシアをして北方領土問題にも関連するから、政府は命がけで踏ん張らなくてはいけない。

ところでジャーナリスト水間政憲氏が明らかにしたところに依れば、中国は7〜8年前から東京・神田の古書店で中国の古地図を買いあさって、今では出回らなくなった。(「週刊ポスト」10月15日号」。

それは「工作」に当って「証拠」となる北京市地図出版社1960年発行の「世界地図集」第1版を地上から消す為であった。この地図では尖閣諸島は日本の領土として、確り日本名の「魚釣島」「尖閣群島」と表記されているからである。 

「この地図はたった1冊、日本外務省中国課が所蔵している」と水間氏。

「政府はただ東シナ海に領土問題は存在しない、と言うだけでなく、この地図を中国に証拠として突きつけるべきだ」とも。それを受け入れる中国では無いだろうが、おまえの女房はいい女房だから昔からオレのもんだったというごろつきの一時的な口ふさぎには役立つかもしれない。


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