毛馬一三
今年の4月には統一地方選が行われる。政権後初の統一地方選挙だが、結果が次の国政の行方にも影響を与えるのは間違いなく、成り行きは見逃がせない。
こうした中で、今年の大阪地方選は、別の渦が巻き起こっている。
大阪の統一地方選は、「大阪都構想」を掲げる橋下徹大阪府知事が党首の地域政党「大阪維新の会」によって、大阪府議選と大阪市議選での過半数を確保することを最大の狙いとしていることだ。
しかも、橋下知事が両議会会派の過半数を確保できた場合、2012年2月の任期満了前に知事を辞職し、自ら大阪市長へ鞍替えする意思があることを、至る所で幾度も示唆する発言をしている。大阪にとっては驚くべきことで、単なる思い付きとは思えない。
知事としては、府・市議会党派の過半数を地域政党「大阪維新の会」で確保できれば、その勢いと実績を背景に、統一選後の今年11月に予定される大阪市長に出馬・当選して、念願の「大阪市解体」を果たし、「大阪都構想」を一挙に実現させたいという腹積りのようだ。
既に,「大阪維新の会」に入党した20余人の府議も、知事と顔写真を並べたポスターを選挙区内に張り出し、知事の人気にあやかった宣伝に乗り出している。知事も、各地でシンポジュームを開き、「都構想」と「市長出馬」を披瀝し、府民の賛同を呼びかけている。4月からの統一選挙から11月の市長選まで視野に入れた選挙戦が本格的に動きだした。
この知事と大阪維新の会の動きに対して、他会派は緊張感を強めており、4月の統一地方選の対抗策を練り直してながら、正月返上で攻勢に出ている。
一方、標的に晒されている平松邦夫大阪市長は、知事の「大阪都構想」をめぐって激しいバトルを続けてきたが、「大阪市政だより・1月号」(1月2日各戸配布)に、「都構想」を暗に批判をした下記記事を掲載した。
<大阪市のあり方をめぐって、市域を分割・解体する案があります。これは地域間の格差や市民サービスの低下を生じさせるばかりか、関西の発展をリードしてきた大都市大阪市の力削いでしまう案であります。市民、企業、誰にとってもマイナスにしかなりません。
市民の暮らしを守る。大阪・関西に輝きを取り戻す。大阪市は徹底的に改革する。これが、新年にあたっての私の決意です>。
平松市長が、知事の「都構想」を暗に批判する記事を「公報」に敢えて掲載すること自体異例のことで、知事の主張する「市解体」の不合理を市民に理解してもらう思い切った決断だったに違いない。
しかも大阪市政運営は、自ら3項目を実行する決意を明らかにし、知事が市長へ鞍替えする動きにも、間接的ながら切り捨てている。
となると、「大阪維新の会」が府・市議会の過半数を取れるかが焦点になってくる。
そこで産経新聞が昨年12月10日〜12日に行った最新の「知事の府政運営などをめぐる府民意識調査」に触れておく。
<知事の支持率は計76.8%。前回調査時(昨年1月)に比べて6.4ポイント下がったものの、依然高率を保った。(略)
一方、政党支持率は自民が11.4%で最も高く、民主10.4%、みんなの党7.1%の順。維新は3.0%で、共産の2.9%と拮抗(きっこう)し、公明1.8%、社民1.4%。(略)
橋下氏は「大阪都構想」実現のため、4月の大阪府議選、大阪市議選、堺市議選で維新の過半数獲得を目指しているが、現状では厳しい状況もうかがわせた。>という見方を示している。
知事は、統一地方選で府・市議会などで過半数の議席を獲得することに敗北した場合は、「退陣する。そして自宅に引き籠もる」と言い切った民放のテレビ番組で、昨年の暮にじっくり拝見させてもらった。
この発言は、番組の雰囲気の盛り上げに合わせた過発言なのか、それとも多少なりとも本音の一部なのかは判然としなかった。
いずれにしても、始まった今年の大阪の一連のバトル選挙選の行方は未だ見えてこない。(了)2011.01.03
◆本稿は、1月5日(水)刊の全国版メルマガ「頂門の一針」2145号に
掲載されました。
◆<2145号 目次>
・中東でまた戦争不可避の様相:宮崎正弘
・どうなる大阪バトル選挙:毛馬一三
・若者も捨てたものじゃない:徳久 勲
・旗幟を鮮明にした「再編成」を:須藤文弘
・老人は死して年金を残す?:平井修一
・話 の 福 袋
・反 響
・身 辺 雑 記
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