2011年02月09日

◆墜ちた果実・一粒の麦

渡部 亮次郎

(再掲)日米中関係について「正三角形」を唱えながら、2006年7月4日午後、北京の人民大会堂で胡錦濤主席と会談した民主党の小澤代表(当時)について「北京へご用聞きに行った野党代表も醜態でしょう。胡錦濤の虎の威を借りて大物政治家ぶろうとしたんですから」といったのは宮崎正弘氏のコメント。

私の尊敬する宮崎さん。政治を直接取材した経験の有無は承知しないが、故三島由紀夫研究の第一人者だからこそ、政治家の月旦は正鵠を射ている。

「自民党を割って、新進党あたりまで、多少の期待をもった時期も有りましたが、小生、この小沢一郎氏に一度も国士の風格を感じたことがない」。

一方、北京側から看れば、のこのこやってきた小沢を使って、胡錦濤は“反江沢民”のメッセージを日本国民に送ったと考えられる。中国の政治家はよく使う手だ。

ただし5日のテポドン発射7発で、すべては無駄に終わりそうだ。ソ連崩壊のプロセスまでに擬するとすれば、胡はアンドロポフあたりまで深化したかも。

“中国のゴルビー”の登場を促す段階ですか。前向きに解釈すればそうなる。日中関係改善を望み始めたのは明らかに胡政権の方です」と「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成18年(2006年)7月5日(木曜日)貳通巻第1500号 で述べている。

全くこの通りで、正三角形論を今頃唱えるあたりからして、平衡感覚を疑う。さながら党内の旧日本社会党残滓グループの気でも引こうというのか、或いは浪人中に毛沢東選集でも読みすぎたのか。日米安保条約をテンから忘却している。

そもそも日米中の3国が正三角たることが望ましいと言う事は、日本からアメリカへの政治的距離と中国へのそれが同じだと言うことだから、軍事同盟国であるアメリカと、そうではない中国との関係が同じだと言うことからして、文法的にも破綻している。

小澤氏は訪中直前の2006年7月2日、民放の報道番組に出演し「日中の政治家(小泉総理を念頭?)レベルで本当に信頼関係があるとは思えない。(日中米が)正三角形になって日本が扇の要になる関係で無ければならない」と語った。(5日付産経新聞)

そこで日本戦略の研究会 npslq9@yahoo.co.jp通算第238号2006/07/05の中で柳 良真氏 flcl@csc.jpは、「China の北京共産党政権に喜ばれる如き人間は、反日の売国奴」と題して以下のように断じている。

<・・・日本の政治家の中には、古代China の秀でた古典に惑わされてか、 China (北京共産党政権)に擦り寄る連中が多数存在しています。福田康夫・河野洋平・山崎拓・加藤紘一・小沢一郎の諸氏のほか、公明党・社民党・民主党の中にも大勢が確認されています。

・・・日本の首脳陣が媚中・親中に傾斜すれば、「日米同盟」は形骸(事実上の意義なき亡骸)と化す可能性が高いのです。この時、日本国防は危機に瀕します。

China による尖閣諸島の占領(実行支配)が現実のものとなり、沖縄占拠への圧力(沖縄は旧来China の属国という主張)が高まります。>

正三角形論は自民党の問題児加藤紘一氏の持論として知られる。2006年7月5日付けの産経新聞によれば、加藤氏がそのホーム・ページで展開している論は子供騙しのように幼稚である。

<米国が我(が)を通そうとしたら日本は中国と共に抑制、中国が覇権主義になったら米国と物申す。日本は正三角形の頂点になることで平和外交を通じ、世界に貢献できる>

馬鹿も休み休みにしてもらいたい。それなら米中が組んで日本をやっつけにきたら誰が抑制してくれるのか。強大な武力を有している国より、法制上は再軍備すらしていない弱小国たる日本がどうして三角形の頂点に立てるというのか。

それが不可能だからこそアメリカと安全保障条約条約(軍事同盟)を結んで、二等辺三角形の今日があるのではないか。確かに中国とは1978年8月に日中平和友好条約を結んだが、軍事同盟は結んでいないし、結ぶ構想もない。むしろそれをいいことに日本の属国化を目論んでいるのが今の中国ではないのか。

今頃、のこのこと中国を訪れる小澤氏の神経も良く分からないが、忘れ物でもしたように正三角論を手土産にする神経もなおさら分らない。胡錦濤をカサに自民党を脅そうとでもいうのか。

何も歴史を知らないマスコミは田中角栄氏を最近は尊敬するのか、畏怖するのか、「小澤は角栄の秘蔵っ子だった」として小澤氏に箔をつけて見せるが、そもそもこれが故早坂茂三氏の贋作。

角栄氏の秘書しか能の無かった早坂氏は角栄氏が脳梗塞で倒れても角栄氏に縋るしかなかったが、そこを真紀子さんに見透かされて追放を食らった。仕方無しに自民党から逃げていった小澤氏に縋るべく、また、それを大きくして正当化すべく、小澤=角栄を描いてみせただけ。贋作甚だしい。

最近の加藤氏や小澤氏を見て、京都大学の中西輝政教授が「正三角論は一貫した中国の外交方針であり、日米分断の論理だ。このような虚構の論理を説く政治家は、党利党略に目が眩み、国家的立場を見失ったか、北京と特殊な関係が出来たか、と勘繰らざるをえない」と嗤ってしまった。(5日付産経新聞)

小澤氏は若くして幹事長として大自民党を束ね、一時期は総理総裁を望まれながら、これを固辞して自民党を去った。いうなれば熟して地に墜ちた一つの果実に過ぎない。或いはすでに「一粒の麦」である。墜ちた果実は再び枝に輝く事はあり得ない。

1粒の麦はそのままでは1粒だが、地に落ち死んで芽を出せば、やがて多くの実がなる。死んだほうが世の為人のためというキリストの教え。他人の幸せのために犠牲になれる人に幸あれ。
2006・07・06


◆主宰者よりー<2月8日刊「頂門の一針」に掲載された主宰者稿の「どうなる大阪都構想」に下記のような<反響>が寄せられました。拝読下さい>。

◆<反響の内容>

毛馬氏の「どうなる大阪都構想」を拝読して、名古屋の河村氏の「中京都構想」と比較して思うのですが、河村氏の構想には「減税」の実行を通じて行政改革を、という大義名分がありますが、それに対して、「大阪都構想」には大阪府と大阪市を解体して二重行政を排するというもので、それによって効率化が進んでも、更に木目細やかな住民サービスが出来て、豊な住民生活が実現するのか、また財政健全化が進むのかが分かりません。

二重行政を止めて何をしたいのかが分からないのです。大阪都構想の、何を実現しようとしているのかその先のビジョンが分からないのです。大阪都構想だけが目的化してはだめだと思うのです。

河村氏にはビジョンがあります。既存政党を壊すというだけでは、そんなことを有権者は望んでいないように考えますが。(匿名希望)(以上)


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