2011年03月12日

◆気になる大阪府庁職員の自殺増

白浜良太

大阪府庁知事部局職員の自殺者数が昨年4月からの僅か1年間に、6人にも達していることが、今開会中の大阪府議会総務委員会で明らかになった。

過去5年間の職員自殺者は、年1〜2人だったそうだが、僅かこの1年間にこれを遥かに上回る増え方に皆が身震いしている。

一体自殺の原因は何だったのか。なぜそんなに急増したのか、肝腎なこの点について、大阪府は明らかにしていない。

この事態について、府議会総務委員会で大阪府企画厚生課は、次のように回答している。

<知事部局職員6人の自殺の理由を特定するのは難しい。現段階では公務災害認定の請求は家族から1件も出ていない。

従って職員の健康管理対策に努めたいとして、職員向けの相談窓口や産業医、保健師らによる相談の充実を図るほか、ストレス解消法を解説した冊子を職員に配るなど、精神衛生対策にあたっている>。<読売新聞>

この答弁で注目されるのは、家族が自殺そのものを「公務災害」という認識は持っていないことだ。となれば自殺の原因は他に存在するという意向を持っていると推察することが出来る。
となると、まずは家族が認めていない「公務災害」とは、何かということになる。

<公務災害とは、公務員が公務遂行中に「労働災害」に遭遇すること。公務災害による損害は国家公務員災害補償及び地方公務員災害補償法によって補償されるという。

その公務遂行中の「労働災害」(労災)とは何かというと、労働者が業務中、負傷(怪我)、疾病(病気)、障害 死亡する災害のことをいう)のだそうだ。
<参考:ウイキぺディア>

つまり、6人の自殺者の原因について家族は、「労働災害」で規定している「疾病(病気)」が、自殺の原因ではないと府側に暗示しながら、その一方で起因となった真の自殺原因の追求に全力を上げてくれるよう、府側に求めていることになる。

ここで思い出すのは、これら6人のうちの1人で、昨年10月14日に行方不明となり、大阪淀川で水死体で発見された大阪府商工労働部経済交流促進課の参事(課長級)のことだ。

職場の仲間職員らが調べたところ、この参事の机の中から「頑張っても頑張っても出口が見えない」という遺書が見つかった。府側は、この「遺書」の存在と内容の開示を禁じた。

警察が参事の死を自殺と断定したことから、庁内で大騒ぎとなり、結局「遺書」の存在は、あっという間に広まった。しかも、この遺書の意味が何を指すのかということが取り沙汰されるようになった。

そののちに、参事自殺に繋がると見られる背景が浮き彫りとなり、自殺の原因が、「遺書」と重ね合わせられたことから、職員の間で大きなショックを誘った。

その背景とは、自殺の半月ほど前の部長会議で、台湾出張を計画中の橋下徹大阪府知事が、「同出張では、中国への配慮にかなり慎重にならなくてはならないのに、参事が担当する商工労働部ではこのリスク管理が全く成されていないと、上司の商工労働部長を厳しく叱責したという。

メンツをつぶされ怒りの収まらない部長は、当初の日程などを組んだ参事を呼びつけ、「どうしてくれるんや」などと激しく罵倒したというのだ。この間当の参事は一言も抗弁せず、以後精神的に大きく追い込まれていたという。

この一連の追及が参事を追い詰め、「遺書」の「頑張っても頑張っても出口が見えない」という精神的な往き詰りの吐露となっているというのが、職員や府会議員の一致した見方となった。

この参事以外の5人の自殺の詳しい原因は分からない。しかし複数の府議会議員と現職職員に「原因」を聞き取った処、持病・負傷によって自殺に追い込まれたたというケースは皆無のようで、どうも前記の参事自殺原因と極似した状況のようだと口を揃える。

実際、橋下知事は、相互に庇い合い馴れ合う役人慣習を打破し、事務の質の向上と効率化を図るため、知事の方針に異論の唱える課長級以上の幹部職員には、配置換えや降格も辞さない厳しい姿勢で臨んでいるといわれる。これは行政推進の上で批判も否定もできるものではない。

しかし厳しさに対応する幹部職員にとっては、自由闊達に上申も出来ずに萎縮状態に追い込まれ、日常心理的不安に駆られている者が出ているのは事実という話は、よく耳にする。

となると心理に溜まったストレス解消できず、結局自殺の道を選択して仕舞ったのが「原因」ではないかという、今庁内を飛び交っている噂もまんざらでないような気もする。

大阪府企画厚生課が、「職員向けの相談窓口や産業医、保健師らによる相談の充実を図るほか、ストレス解消法を解説した冊子を職員に配るなど、精神衛生対策にあたっている」と述べているのも、案外内実を知っての回答と受け取れないこともない。

だが、自殺に至った真の原因はまだ不明だ。その究明とともに、最悪の事態回避のために、大阪府庁は最善を尽くしてほしいものだ。(了)  2011.03.11

◆本稿は、3月11日(金)刊の「頂門の一針」2207号に掲載されました

◆<同号目次>
・東北地方太平洋沖地震はM8・8、国内最大規模:渡部亮次郎
・今度は菅首相に外国人献金!:花岡信昭
・「辞任はまったく考えていない」と菅首相:古澤 襄
・石原都知事が4期目出馬を正式に表明:渡部亮次郎
・気になる大阪府庁職員の自殺増:白浜良太
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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