2011年03月30日

◆盛会だった「蕪村俳句講座」表彰式

仲村友彦

大阪毛馬生誕の俳人、与謝蕪村(1716〜1784年)にちなんだ市民講座第2期「蕪村顕彰俳句大学」の「表彰式」が27日、大阪市都島区の市立淀川中学校で行われ、つづいて近くの「蕪村公園」に設置された「入賞句のプレート碑」の除幕式が行われた。

同「表彰式」内容を、大阪日日新聞28日朝刊が次のように伝えている。

<俳句文化の活性を図ろうと昨年4月から始まった講座。今回は10月開講の第2期講座を受講した約100人が出句し、4句が各賞を受賞した。新たに市立小・中学校の国語教諭を対象とした講座も設けられ、その児童・生徒から集まった約500句の中から2句が入賞した。

表彰式では大阪市立大の村田正博教授が記念講演し、「2016年は蕪村生誕300年。記念事業の実行委員長として、大阪と世界をつなぐ一大句会の開催と、蕪村や俳句の情報基地の開設を目指したい」と力を込めた。

児童・生徒の部は大阪府知事賞に山本清和君(市立昭和中2年)、大阪市教育委員長賞に中田匠哉君(市立鶴見小5年)が選ばれ、「見たままをすっきりと詠み、若々し「健康的」などと評された。
同俳句大学の川原学長は「教育現場での取り組みもさらに広げ、大阪から文化を発信し続けたい」と挨拶した>。

ところで、今回表彰された「入賞者の作品と選評」の詳細を紹介したい。

◆まず「児童生徒の部」の表彰句。(三村純也大阪芸術大学教授 選)

〇大阪府知事賞 
・太陽が高くなりゆく春隣                     
               大阪市立昭和中学校  二年   山本清和

「春隣」は、もうすぐ春がやって来るという季節をあらわす、冬の季題。実際にはまだ寒いのかもしれないが、春の息吹を感じている感性が若々しい。太陽の高度が高くなったという発見かもしれないし、朝日がのぼってゆくところなのかもしれない。いずれに解しても、健康的なところがいい。

〇大阪市教育委員会委員長賞
・水面をさくらの花が流れてく                  
               大阪市立鶴見小学校  五年   中田匠哉
 
例えば、桜ノ宮あたりの情景。風に散った桜の花びらが、水面を流れてゆくのである。非常に単純明快な内容だが、俳句という文芸形式の枠をきっちり満たしている。何でもない素材を、何の技巧もなく詠んでいるところに、子ども俳句としての良さが感じられる。

続いて「児童生徒の部の佳作集」(三村純也教授 選)。
  
・蒲公英がわた毛をとばし野原へと  大宮中学校 一年  久保 湧己
・ゆっくりと小さなちょうが空をまう 鶴見小学校 五年  清  大輝
・青空にはり絵のような蝶ふたつ   神路小学校 五年  広田  愛
・たんぽぽの綿毛とかけっこつかまえた 神路小学校 五年 長尾 梨子
・たんぽぽにそつと蝶々が飛んできた  神路小学校 五年 永井 美帆
・青虫も夢見ているよ空飛ぶ日    神路小学校 五年  三島ふうか
・春風にゆらゆらしてる僕の胸    神路小学校 五年  竹綱 都生
・テキストに数式うめる冬の日や   昭和中学校 三年  三杉 大雅
・顔だして辺りうかがうつくしの芽  築港中学校 二年  大野  優 
・雪だるまくもりガラスにえがく朝  歌島中学校 三年  宮前 杏子 

◆「一般受講生の部」入賞作品

〇大阪府知事賞
・夕波のきらめく淀や雲雀東風     生駒市  中川 晴美
 
雲雀の鳴き声が聞え、東風が吹いている光景。夕波のきらめく淀は、毛馬堤あたりであろうか。目には西日にきらめく川波、耳には雲雀の声、そして肌にはいかにも温かさを感じさせる風。俳人にとっては贅沢すぎる場面とも言える。五感のうちの視覚・聴覚・触覚をさりげなく使いこなした点に共感した。(朝妻 力審査委員)

〇大阪市長賞
・西寺址そびらに京の葱畠       奈良市  朝長ユリ子
 
東寺と共に二大官寺として羅生門の西に造営され西寺。やがて衰退し、今はその跡地に礎石を残すのみとなった。近くは住宅地だが、宅地の間にでも畑があるのだろう。葱は九条葱だろうと鑑賞した。蕪村の∧葱買て枯木の中を帰りけり∨∧易水にねぶか流るゝ寒かな∨を思わせてくれる作品。
(朝妻 力審査委員)

〇大阪市長賞
・笹子くるいつもの薬飲みをれば    吹田市  田中 文治

「いつもの薬」とは常に服用している薬のことであり、作者は何らかの病を持っているのであろう。しかし、薬を飲みながら庭に来た「笹子」のチッ、チッという可愛げな声を楽しんでいる様子から、それほど深刻な病状でないことが窺い知れる。「笹子」はいつかは春が訪れることを告げながら、「一病息災、一病息災」と作者に告げているのかも知れない。(山尾玉藻審査委員)

〇川原学長賞
・茶の花のひときは白く描かれけり   明石市  真殿 律子
 
「茶の花」は本来目立たない花である。しかし、他の木々が落葉する季節だけに目をひき、小ぶりの白い花は見る者のこころを仄々と温かくする。「ひときは白く描かれけり」とは、茶の花を写生する人物が殊更白く描いた訳ではない。茶の花にこころ満たされる作者自身の思いが「ひときは白く」と感じさせたのである。「茶の花」らしい一元句である。(山尾玉藻審査委員)

ところで、今回の「表彰式」で参列者の耳を欹てさせたのは、村田正博大阪市立大学文学部長が、記念講演の中で「大阪と世界をつなぐ一大句会の開催と、蕪村俳句の情報基地の開設を目指したい」と述べことだ。

村田学部長は、当俳句大学の講師であると共に、この1月に立ち上げた「蕪村生誕300年記念事業委員会委員長」もつとめて頂いている。

それだけにこの決意の披露こそ、「蕪村生誕地毛馬の存在」と「俳句文化」を、この大阪から世界に向けて発信していくという意味に他ならない。既にドイツの大学と連携し合い、具体的な取り組みに着手されているという。

これが実現すれば、大阪と世界が一挙に「俳句文化」によって繋がっていくという、画期的な夢が実を結ぶことになる。「五七五に集約」された古来からの日本文化が、世界の共感を得る時代が到来すると思うだけでも、胸は高鳴る。

そのことからも、今回の「蕪村顕彰俳句大学2期講座の「表彰式」は、盛会であり、有意義であった。
                              <蕪村顕彰俳句大学 事務局長>
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