2011年04月10日

◆安全宣伝専念の東電

渡部亮次郎

良く黙っているものだ、東電に対して世の中は。福島第一原発を施工した会社の当時の責任者は「アメリカから取り寄せた設計図をそのまま施
工した。地震も津波も想定なんかしなかった」とどこかで告白していた。世間は津波の凄さにのまれていたからか、何の反応も起きなかった。

東北電力が作った女川原発は地震や津波については軽い被害で済んだ。さすがチリ地震津波の被災地に隣接しているだけあって、東北電力は津
波防波堤(9m)を築いていた。すべてを防げたわけではなかったが、軽くて済んだのは流石である。

東京電力の福島原発を実地に見学したことは無いが、施工した責任者の告白通りだとすれば、原発は太平洋に向かって下半身を晒して突っ立っ
ていただけだった。それなのに、東電も政府の保安院も地震と津波が「想定外」だったから、と逃げている。

「想定外」とはなんらかを想定していた者が発することの出来る言葉である。福島第一原発については東京電力も保安院も地震や津波を想定し
ていなかった。少しぐらい想定していたら少しぐらいの対策があったはずだ。

知人が経済産業省や電気事業連合会の予算で原子力発電の「安全」を宣伝する会社を経営しているから、内部事情を少しだけ知っているが、東
電は福島原発に関して「想定」などして来なかった。ただただ「安全」を「宣伝」していただけである。

言い方を変えれば、地震も津波も想定していなかったアメリカの設計図どおりに作ってしまった福島原発に今更、マグニチュード9・0や津波を想
定しても尽くす手段は無かったわけだ。

原発を作り直すなど気が遠くなるから、世論対策で事態を糊塗するしかなかったのだ。マスコミなどに飲ませ食わせて地震や津波を頭から消そ
うとしていたに過ぎない。

専門家の科学的な批判や世論の高まりを交わす為に、「安全」を宣伝するPR会社を設立させて、宣伝費をつぎ込むしかなかったのだ。知人こそ
「いい面の皮」だったわけだ。

こうした面は、原発を持っている国内のあらゆる電力会社に共通である。知人の案内で中部電力浜岡原発を視察したことがあるが、地震や津波対
策の実際について一言の説明も無かった。

今更、人類は原発を否定する事は不可能なところまで依存する体制に産業はある。しかし想定外の自然災害は必ず起きるのだから、安全対策に
莫大な資金をつぎ込む事はやむを得ない。その分を消費者は予め負担を覚悟する必要がある。      2011・4・9

◆本稿は、4月9日(土)刊の全国版メルマガ「頂門の一針」2226号に
掲載されました。
◆<2226号 目次>
・安全宣伝だけの東電:渡部亮次郎
・「義援金詐欺」に引っかかるな:平井修一
・復興案策定前にもたつく政治の機能不全:花岡信昭
・誰が二次災害を拡大させているのか :西村眞悟
・首相難色で消えた幻の「枢密院」構想:古澤 襄
・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記

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