2011年06月05日

◆橋下「大阪維新の会」の「数の力」

毛馬一三

橋下徹大阪府知事が率いる地域政党「大阪維新の会」が、5月大阪府議会でこの春の統一選挙で勝利獲得した議会定数の「単独過半数」にモノを云わせ、暴れまくった。

5月定例府議会では、まず、大阪維新の会が提出した「公立校の教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例案」を賛成多数で可決させたのに続き、4日未明には、「議員定数109を21削減して88にする条例改正案」も可決させた。

削減幅は全国でも最大規模とみられ、公明、自民、民主、共産の各会派が、「数の横暴」と激しく抵抗する姿勢をみせたが、結局「数の力」にはどうしようもなかった。

また「大阪府監査委員の議員枠を2から1に削減」する議案も、可決させた。この1枠には「維新」議員を充てる心積りらしい。

一見すると、「公立校教職員に君が代の起立斉唱を義務づける全国初の条例」成立で全国的注目を集めるのが、最大の目標だったように見られているが、実はそうではない。

残るもう1つの条例案を、さりげなく、しかも穏便の内に可決させるのが、最大の狙いだった。

その条例案とは、「大阪府と大阪・堺両市再編に向けた各党協議会の設置条例案」を可決させることだった。この可決の際にも、公自民3会派は退席したものの、結末は思い通りの結果を引き出した。

なぜこれに傾注したのか。

それは橋下知事自ら政治生命をかけて挑む「大阪都構想」の実現のために、まずはこの条例を活かし、しかも「数の力」を背景に、大阪府議会全会派を巻き込み議論し合意の形を取るのが狙いだ。

そうする事が、府民に対し、大阪府議会全体で纏まった「合意」だと訴えることによって、理解と賛意を求めることが出来る、いわば構想実現にむけた最善の近道と考えたようだ。

しかも、この動静が、本陣の大阪市や大阪市議会へジワリと圧力を加えて行くと共に、この秋の大阪市長選挙に出馬意思があるといわれる知事自身の出馬決意に資することになると考えたためではないかとも思える。

ところが、そうはスムーズに行かない局面が、突如あらわれだした。

5月府議会で強行策を行使した維新の一連の「数の力」行動に、公・自・民等他会派の反発と警戒感が一段と強まり、知事と「維新の会」とに、今まで以上の距離を置く厳しい行動が際立ってきたのだ。

ということは橋下知事が、「大阪都構想」実現には他会派の協力が不可欠だとして、5月議会で「秘策の条例」を可決させ、特に第2会派の公明との友好関係を堅実なものにさせたいとの願いだったことが、そうは問屋が卸しそうにないことになってきたということだ。

むしろ事態は、今度の異例の“数の力による強行可決”によって、他会派との繋がりが完全に暗礁に乗り上げ、知事が願う友好関係樹立の道は一層険しくなったのは間違いないことになる。

「大阪都構想」実現に道付けをつけたい橋下知事は、秋に想定される大阪市長選迄に、他会派との連携を「数の力」を活用しながら、さてどのように巧く画策して行くのだろうか。

他会派の壁は厚い。それをどう崩していくのか。9月府議会に向けたこれからの4ヶ月の間が、「数の力」をバックにした知事と「維新の会」の勝負処だろう。 (了)
             2011.06.04

◆本稿は、6月5日(日)刊の全国版メルマガ「頂門の一針」2282号に
掲載されました。他の著名な寄稿者の卓見を、お手続きしてご拝読ください。

◆<著名寄稿者卓見の目次>
・朝日新聞に切り捨てられた菅首相 : 阿比留瑠比
・復興利権と原発推進・欲ボケの攻防:山堂コラム 372
・橋下「大阪維新の会」の「数の力」:毛馬一三
・講談社の“サドンデス”:平井修一
・素人(native) の感覺こそ國語の基本:上西俊雄
・社説は空しい:渡部亮次郎

・話 の 福 袋
・反     響
・身 辺 雑 記
◆「頂門の一針」の購読(無料)申し込み御希望の方は
下記のホームページで手続きして下さい。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
 

この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック