2011年06月30日

◆「狡猾」菅首相に解散の恐怖見透かされ

渡部 亮次郎

産経新聞は坂井広志記者をして以下の記事を書かせ「政治ニュース」として提供したが、わたしには「落語」にしか見えなかった。小澤派のヒヨッコたちが、いくら騒いでも「解散風」にまるで弱いところを見すかされて、菅首相にいたぶられている。それに気づかずに騒ぐから落語としか読めないのだ。

自民党は公明党と歩調を合わせて国会審議にブレーキをかけ続けるるだろう。参院から議院を牛蒡抜きされた以上、怒った振りをみせなければ嗤われるからである。だから民主党に「抵抗」するだろうが、世論との兼ね合いを考慮すれば、抵抗にも限度がある。国会のこれからはもっと可笑しい落語のタネだらけだろう。

何しろ、親分が党員資格停止とやらで表面に出てこれない小沢派。1年生だけに、反小沢を叫びながらの無知ゆえの右往左往が面白い。

<ここぞとばかりに「脱原発解散」をにおわし、民主党内の不満分子の動きを封じた菅直人首相。27日に記者会見で再生エネルギー特別措置法案の成立など「退陣3条件」を掲げたのも、28日の両院議員総会での「菅降ろし」を封じる狙いがあったに違いない。

しかも言いたいことだけを言い放ち、そそくさと退散したため、首相のつるし上げは不発に終わった。その狡猾(こうかつ)さは誰の追随も許さない−。

28日夕、衆院講堂で開かれた両院議員総会。冒頭に首相が脱原発解散をにおわせたことにより、首相をつるし上げようと手ぐすね引いていた出席議員は一気に腰砕けとなった。

「原発事故対応の決意を聞きたい」「自らの私心を捨てて退陣表明したことを評価する」…。

エールにも似た発言が続出。小沢一郎元代表に近い階猛衆院議員は「『私の顔を見たくなければ法案を通せ』という発言は国会を冒涜(ぼうとく)している! 首相は法案を通す前に辞めなければならない」と退陣を迫ったが、同調者はわずか。

安住淳国対委員長は「自公両党は私の顔も見たくないという。仕事はしづらい」と自虐的な冗談で受け流した。

両院議員総会に先立ち、小沢系グループ「一新会」「北辰会」の約60人は国会の会議室に集まり、「完無視」ならぬ「菅無視」作戦を練っていた。

「辞めることが決まっている首相をあえて追及しないという作戦はどうか…」

一人がこう提案すると一新会副会長の福田昭夫衆院議員が「無視して窮地に陥らせる…。いいアイデアだ」と称賛。追及の矛先は岡田克也幹事長ら執行部にだけ向け、首相を孤立させることになった。

ところが、作戦は完全に裏目に出た。首相は冒頭にあいさつした後、複数の議員の質問に1回だけ答え、「逃げるな」との罵声に振り向きもせず途中退席してしまったからだ。しかも「要注意」とされる小沢系議員はいくら挙手しても逆に無視された。

そもそも「菅無視」戦術という奇策に出たのは、両院議員総会で代表解任などの緊急動議を出しても可決される可能性が皆無だったからだ。選挙基盤が脆弱(ぜいじゃく)な民主党の中堅・若手にとって、それほど「解散風」は効果絶大なのだ。

岡田氏は失笑を覚悟でこう懇願した。

「われわれの選んだ首相だ。一定の敬意を持って3条件が満たされるまでは全員で後押ししてほしい」

ここに反菅勢力のジレンマがある。首相が固執する再生エネルギー特別措置法案などを早急に成立させても退陣する保証はないが、抵抗すればするほど首相の延命に手を貸すことになる。徹底抗戦し、否決に追い込めば、それこそ脱原発を旗印に解散しかねない。

過去に何度も落選を経験した首相はそんな議員心理を見透かしている。首相官邸に戻った首相は記者団に両院議員総会の感想を聞かれ、涼しい顔で語った。

「まあ、みなさん、いろいろと考えてもらっているんだなあと思いまし
た…」>(産経ニュース 2011.6.29 08:48 )

◆本稿は、6月30日刊(木)メルマガ全国版「頂門の一針」2307号に
掲載されました。下記の目次から他の原稿も拝読ください。
                        (本誌編集部)

◆<2307号 目次>
・「狡猾」菅首相に解散の恐怖見透かされ:渡部亮次郎
・菅さん、正常さを失いかけている:岩見隆夫
・原発事故とジャンボ機墜落事故:須藤文弘
・価値が100分の1になった塩漬け義捐金:泉 幸男
・ペルリ来寇と曲ろく:加瀬英明
・話 の 福 袋
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