2011年08月06日

◆カギの隠れたニュース

渡部 亮次郎

菅首相の進退を占うキーワードは「左翼との繋がり」であって「単なる我欲」ではない。それを無視して取材していても間違いを繰り返すだけだ。菅は我欲でしがみついているのではない。世界の左翼からの指図に従ってしがみついているのだ。岡田幹事長やマスコミは勘違いをしている。

東北の県境の町では子供2人殺し事件で町の評判はガタ落ち。そこで風評だから新聞やテレビは表には出さないが、地元の人たちは初めから「商売」の邪魔だから娘も殺したべ、と言い合っていたようだ。

んだ、警察も客だったんじゃねが。んだがら事件を事故にして封印しようとしたのだべ。なんたて、玄関におどごの靴あったら、家さ入って来るな、といわれていて、夜でも外で待っている幼い娘。気の毒でみていられねがったな。

「商売」の事件のキーワード(かぎ)は「売春」。「次々に男をくわえ込んで自宅に連れ込むんだもの、娘は邪魔になる。まして別れた亭主とのこどもだもの、可愛くないときだってあるべさ」となれば殺人の動機は露呈していた。

だが、人々は見て見ぬふり。集落同士ならいくらでも喋るが、それ以外のマスコミや警察からは尋ねられても絶対語らない。都会での捜査とは違った壁に阻まれるわけだ。住んで見なければ理解できない。

そこで手馴れた記者なら記者は一種の「色めがね」を被せて考える。この場合はキーワード。直訳すれば「鍵となる言葉」だ。この事件の場合は、犯人が実は売春をしていたのではないかとの疑いで言動を洗いなおすことである。

関西で若い男が小学校に刃物を持って侵入し、何人もの児童を殺傷する事件があった。東京の感覚では、精神異常を疑るが、関西ではいわれなき「被差別」を疑う。だが口は絶対つぐむ。昔、部落出身を理由に入学を拒否されたことへの仕返しだった、

ニュースには絶対「被差別」は出ないまま犯人は望んで刑死を早めた。被差別を知らない人には未だに不可解なニュースであった。

金大中事件の政治決着を田中政権がなぜ急いだか。これは証拠はないが大統領の犯罪に違いない。だとすれば現金で決着を図るだろうと大阪で見ていたら、その通りになった。あれこれ法律や正義や面子を持ち出して騒ぐと、韓国の政権そのものが危態に瀕する。

そこでこの事件のキーワードは「現ナマ」。日本で生まれて財を成し、朴政権の財布と言われていた在日韓国人が用立てたのだ。

現ナマの紙袋は2つあり「一つは奥さんに」といったら総理は「そうだ、1つは外務大臣にだな」と答えた。これを知っているものといないものとでは、解説記事に雲泥の差が出る。

取材に当たって、こういうメガネを何枚も用意して政治家を観測しろと教えてくれたのは若い頃の島桂次記者(のちにNHK会長・故人)である。「角栄が福田に勝つものは学識ではない。それは現ナマと人情だけだ。そうやって個々の政治家を洗ってみろ。結論はすぐ出る」。確かにその通りだった。

福田康夫は安倍の対立候補たりうるか。識見が邪魔して立てない。康夫さんと私は福田内閣で大臣秘書官同士で働いた仲だから、他人よりは康夫さんを分かる。彼は元から立つ気は無いのだと判断できた。

この際のキーワードは「面子」である。なるほど中国、韓国との関係で靖国参拝不要の主張はインテリの自分としてはいまさら翻すことはできない。しかし、だからと言って反安倍勢力に乗り、森派を割って出ても勝ち目があるか。

ない。だから出ない。初めから決まっていた話だ。だから「私が出ると言いましたか」との科白も予測できたのである。マスコミは証拠もなしに「出るだろう」と決め、終いには外国に行くことが決意の証拠などとワケの分らぬことを流して、読者、視聴者をだました。

福田康夫の性癖、置かれた立場、旧田中派への支援要請の屈辱等々を考慮すれば、立候補の可能性は初めからゼロである。しかも勝てない勝負は絶対しないという知識人としての含羞がある。ムードや煽てに乗るようなバンカラでもない。立つといいましたかは決まっていたのだ。

先輩は「政界一寸先は闇」という嘗ての副総裁川島正次郎の言葉を引いて諌めてくださる。その通りだが、だからと言ってどこかのTV局のように「不透明」を連発していたのでは、オアシを取れない。

う。つまり色眼鏡をいくつも用意して、流動的に変化する人心の中に必ず存在する「原則」を掴み取れと諭しているのではないか。

それにしても○○とぼかした記事の如何に多いことか。○が多くなると○○は却って顕在化するのが原則だ。触ってはいけないから○○にするのでは○○は更に多くなってゆくだろう。読者や視聴者は自分でカギを持たなければ分らないニュースだらけの世の中だ。(文中敬称略)


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