2011年08月07日

◆秋田名物の恐怖・ボツリヌス

渡部 亮次郎

『秋田名物 八森鰰 男鹿(おが)で男鹿ぶりこ 能代春慶 檜山納豆 大館曲(まげ)わっぱ』というのが「秋田音頭」の出だしである。

その秋田名物に恐怖とは穏やかではないが、他郷の人にも美味と賞賛される名物「鰰鮓(はたはたずし)」に昔は「ボツリヌス菌食中毒」事件がつき物だった時代があった。

昭和30(1955)年代 にまだあった。5月に田植えをしていた一団が野良で昼食を済ませた夜、目を剥きながら戸板で次々に担がれて行くが、病院までの途中で悶絶。確実に死んだ。

前の年の師走に捕れた秋田名物の鰰を飯鮓にして保存。約半年後の田植えの時のご馳走に駆けつけた近所の老若男女に昼食に副えてふるまったわけだが、飯鮓は目に見えないボツリヌス菌で全面的に汚染されていたのだ。

ボツリヌス菌とは最近は生物兵器として話題に上る。記者になりたてのころは「青酸カリの2万倍の毒」と教育された。

ボツリヌス菌は世界中の土壌に広く分布しており、また、海や湖の泥の中にも存在する。缶詰やびん詰、真空包装食品など酸素が含まれていない環境下で増殖して、毒素を産生する。

特に飯鮓のように酸っぱくて密閉された状態を最も好んで増殖する。それがなぜ鰰にくっついているか。鰰が産卵する秋田海岸のヘドロに一杯いる。鰰を良く洗えばボツリヌス菌は落ちるわけだが、昔は水道が普及してない農村では、飲み水は近くの井戸で汲み上げ、天秤棒で担いで家に持ち込んでいた。だから貴重品。鰰洗いにもケチった。

しかも昔はボツリヌスなんて知らないから、黴菌がくっついているのも知らずに飯と塩で漬けて密閉するからボツリヌスにとっては天国なのである。最近は農村でも水道が普及したから鰰の飯鮓によるボツリヌス中毒は全く聞かれなくなった。

むしろこのような特徴を持った菌だから保存状態の悪いびん詰や外国産の真空パックされた魚の燻製、酢漬けや塩漬けなどから感染することもある。

日本では鰰鮓のほか、これまでに、自家製の野菜や果物のかん詰、輸入キャビア、自家製の魚の燻製、からしれんこん、ソフトチーズなどで発生例がある。

ボツリヌス菌に感染するとどうなるか。8〜36時間の潜伏時間の後に、吐き気、嘔吐、便秘などの症状が現れるが、特に倦怠感、脱力感、めまいといった症状を示すのが特徴。

症状が進むと、意識はしっかりしているのに二重に物が見えたり、言葉が出にくくなり、時には、おしっこが出なくなったり、歩けなくなったりすることも。

治療が遅れると呼吸困難などから死亡することもあり、恐ろしい細菌として知られている。

以下は出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ボツリヌス菌(学名Clostridium botulinum)は、クロストリジウム属の細菌である。グラム陽性の大桿菌および偏性嫌気性菌。土の中に芽胞の形で広く存在する。菌は毒素の抗原性の違いによりA〜G型に分類され、ヒトに対する中毒はA,B,E,F型で起こる。

ボツリヌスの語源はラテン語のbotulus(腸詰め、ソーセージ)であり、19世紀のヨーロッパでソーセージやハムを食べた人の間に起こる食中毒であったためこの名がついた。1896年、ベルギーの医学者エミール・ヴァン・エルメンゲム(Emile van Ermengem)により発見・命名された。

ボツリヌス菌が作り出すボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)は毒性が非常に強く0.5kgで全人類を滅ぼす事が出来ると考えられていたため、生物兵器として研究開発が行われた。

炭疽菌を初めとする他の生物兵器同様、テロリストによる使用が懸念されている。

ボツリヌス毒素の致死量はヒトに対しA型毒素を注射した場合、、ボツリヌス毒素1gの殺傷力は約1000万人とも言われる。自然界に存在する毒素としては最強。

2006年12月8日、厚生労働省は飲料水による症例を世界で初めて確認した、と発表した。

ボツリヌス毒素は主に四肢の麻痺を引き起こす。重篤な場合は呼吸筋を麻痺させ死に至る。その他、複視・構音障害・排尿障害・発汗障害・喉の渇きがみられる。一方、発熱はほとんどなく、意識もはっきりしたままである。

ボツリヌス菌は芽胞となって高温に耐えることができるが、ボツリヌス毒素自体は加熱することで無害化する。A、B型菌を死滅させるには100℃で6時間、120℃で4分間の加熱が必要である。

しかし寿司は生で食べなきゃスシでなくなる。煮たり焼いたりしたスシは見たことが無い。

ボツリヌス毒素自体は100℃で1〜2分の加熱で破壊できる。このため、ボツリヌス菌による食中毒を防ぐには、食べる直前に食品を加熱することが効果的である。(しかし飯鮓の加熱は考えられない)。

中毒になった場合、毒素の中和剤はウマ血清しかない。(ただし、乳児ボツリヌス症では致死率が低いこともあり、一般的に使われない)ワクチンは研究者用にボツリヌストキソイドが開発されているが、中毒になってから用いても効果がない。 また、米国においてボツリヌス免疫グロブリンが開発されている。

日本では、いずしなどのなれずし、きりこみなどによる中毒が北海道・東北地方を中心に報告されている(E型による)。

1984年、熊本県で製造された真空パックの辛子蓮根を食べた36人(1都12県)がボツリヌス菌(A形)に感染し、内11名が死亡した。

原料のレンコンを加工する際に滅菌処理を怠り、なおかつ真空パックし常温で保管流通させたために、土の中に繁殖する嫌気性のボツリヌス菌がパック内で繁殖したことが判明した。

2006年12月8日厚生労働省は、井戸水の飲用から宮城県の0歳男児に乳児ボツリヌス症が発症したと発表。同省によれば、飲料水による同症が確認されたのは世界で初めてとのこと。

1995年、イラクにおいて20,000リットルのボツリヌス毒素が見つかり、廃棄された。

オウム真理教(現アーレフ)も研究していた。1993年に東京・亀戸の新東京総本部(登記上の主たる事務所)で発生した悪臭騒動の原因とされる。

2006年7月12日、警察庁と産業技術総合研究所とでボツリヌス毒素を10分で検出する方法を共同開発した。(従来の方法では1-4日を要した。)新技術は糖とボツリヌス毒素を結合させ、レーザーで検出する。
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