渡部 亮次郎
小沢氏、今や「お荷物」と産経が書いた(10月4日)
世論の風冷たく、「ゆでガエル」の心境だという。産経とフジテレビが合同で行なった世論調査で世論の8割以上が「小沢ノー」を表明。
それに押されて産経も思い切ったことを書いたものである。しかし、それもこれも小沢氏が決断しなければ何の意味もない。ただただ政治不信が募ってゆくだけだ。
<剛腕でならした民主党の小沢一郎元代表も今やすっかり民主党の「お荷物」となってしまった。産経新聞社とFNNの合同世論調査では81・1%が小沢氏の議員辞職を求め、86・9%が国会での説明を求めた。
民主党内での求心力低下も著しい。「党内融和」を掲げる野田佳彦首相だが、小沢氏をかばえばかばうほど政権にダメージが及ぶ構図が浮き彫りになった。
「動乱の時代は私が死んでからにしてほしいと思っていたが、この半年か1年の間にその兆しがわれわれの生活の中に生まれてくるのではないか…」
3日、都内で開かれた小沢一郎政治塾で8カ月ぶりに講師を務めた小沢氏は、国会議員ら100人を前に危機感をあらわにした。
「現時点で総選挙を行った場合、どの政党も過半数を取れない。そうなると日本の政治は混乱の極みに達する」とも語った。小沢系グループは選挙基盤が脆弱な若手が多い。危機感をあおる発言の裏には「選挙に勝ちたいならば俺について来い」との思いがにじむ。
とはいえ、小沢氏に突き付けられた現実は厳しい。
世論調査では8割が議員辞職を求めたばかりか、民主支持層の69・8%が「小沢氏の問題が政権運営に悪影響を与える」と答えた。
小沢氏の期待値も大きく下がっており、「政治家として評価する」は8・3%、「首相にふさわしい」は4・5%にすぎなかった。
平成23年度第3次補正予算案に関する3党協議も、小沢氏の証人喚問問題が障害となっている。
おのずと小沢系グループの動きは鈍る。「一新会」「北辰会」など小沢系3グループを統合し、自らが会長に就任する計画は一向に進まず、このままならば来年秋の党代表選に出馬しても勝てるめどは立たない。
小沢氏と距離を置き始めた若手は「もう政局はうんざり。政権交代後3人目となる野田首相を潰すわけにはいかない」と打ち明ける。今月6日には小沢氏の政治資金規正法違反事件の初公判が予定されており、司法闘争が続けば、小沢離れはさらに加速する公算が大きい。
小沢氏の最近の言動には、そんな焦りも垣間見える。2日のインターネット番組では元秘書3人の有罪判決について「裁判官が独断、推測に基づいて有罪を決めるのは民主主義国家では考えられない。
一方的な意見に判決が左右されれば暗黒社会になってしまう」と猛批判した。周辺には「ひでえ話だ。権力はすごいな」と漏らした。
3日の講演で小沢氏は自らの公判には一切触れなかったが、唐突にこんな話を持ち出した。
「皆さんはゆでがえるの話を知っているか? カエルは徐々に温めていくと最初はそれに適応しながら活動するが、ある限界を超えるとゆであがっている」
日本の現状を憂えたのか。それとも自らの境遇を暗示したのか−>。(坂井広志、斉藤太郎)
産経ニュース 2011.10.4 11:27