川原 俊明
Q 先日、歩行中に乗用車と衝突し引きずられる事故に遭い、そのため顔面、頚部、上腕、胸部など広範囲にケロイド状の瘢痕が残ってしまいました。
私は、工場作業員(21歳、男性)ですが、加害者からは、男性は女性に比べて見た目についての関心が低いので、損害は少ないと主張されています。このような主張が認められますか?
A 認められません。
以前は、外貌醜状傷害(外見に醜い傷痕が残ること)について、男女の間で労災保険や自賠責の障害等級に差が設けられていました(差別的取扱い)。そのため、同じ程度の外貌醜状でも、損害賠償額に大きな開きが出る事態がありました。
しかし、労災保険について、京都地裁平成22年5月27日判決は、この差別的取扱いによって損害賠償額に開きが出ることは、合理的理由なく性別による差別的取扱いをするものとして、この差別的取扱いを違憲(憲法14条1項違反)としました。
上記判決は労災保険に関するものですが、これを受けて、交通事故についても平成23年5月2日に自賠法施行令の後遺障害別等級表が改正されました。
この改正により、外貌醜状について男女間の障害等級の差はなくなりました。
もっとも、外貌醜状の内容や程度は多種多様ですので、外貌醜状によってどの程度仕事に制限を受けたのか(労働能力喪失割合)や慰謝料については、被害者ごとの個別事情を踏まえた判断となります。