2011年10月28日

◆中東で髭無しはホモ扱い

渡部 亮次郎

中東では男という男のすべてが濃く髭を蓄えている。男のしるしなのだそうだ。伸ばしていない俺のような奴はどうなんだと尋ねたらしばし沈黙の後小声で「ホモ」。

男女共に休日(金曜日)の前日に体毛を抜くか剃るかする。男は顔に髭を蓄えるが、女性は外出時は顔を隠す。われわれには無気味だよ。

生まれて初めて中東を歴訪したのは1978年、もう33年前。日本の外務大臣が産油国を歴訪するのは、このときの園田直が初めて。それに秘書官として随行したのである。

正月のことで、モスクワは零下20度だったが、中東各国では真夏のような暑さ。イランで仕立てたエール・フランスの小型ジェットの特別機で、クエートに到着。

宮殿を訪れると、番兵たちがみな、日本刀を腰に差している。しかも鞘は金で巻いている。石油は取れても金は取れない。最高の気位を示しているのだ。

翌朝、ホテルのロビーでコーヒーを飲んでいたら、周りで「タスケテクレー」時ならぬ日本語。一緒に旅行中の外務省高官が、アラブ人男性に追いかけられている。どうも「アイラブユー」といわれているらしい。

高官は髭剃り跡も青々としたハンサム、清潔そのものなのだが、中東では美女に見えるのか纏いつかれてしまったのである。所変われば品変わる。今後、中東を訪問する時は髭を伸ばしてから来るべきと心得た。件の高官は後年、事務次官になった。

クエートでは道端の花壇に水をホースで撒いているのが、政府の高官だった。真水は石油より高価な国。それをばら撒くのだから政府高官であって当然と言うわけだろう。

だから野菜作りもままならない。すべて欧州からの輸入。それを洗う水は海水をろ過した水。どういうわけか日本人のハラには合わないからと、中東各国でサラダを遠慮させられた。このときの秘書官は鞄持ちならぬ水持ち。段ボールに何十本も詰めて運んだ。

サウジアラビアでは、日本から通産大臣は来た事はあるが、外務大臣は初めてと、大歓迎され、空手を導入したいという話も飛び出した。これはすぐ実現した。

石油大臣が歓迎パーティを開いてくれたが、参った。柱に吊るした羊の丸焼き。その目玉を主賓が食べるのだという。大臣は遠慮。結局誰が食べたんだったか、33年も前のこと、忘れてしまった。

砂漠の国。国旗が殆ど月が入っている。日の丸なんて考えられないのだ。歌の「月の砂漠」は中東ではなく千葉県の御宿海岸で作詞されたものだ
そうだ。

サウジ上空をヘリで飛んでみたが、砂漠とは山あり谷あり、ただ広いだけではないのだ。途に迷ったら遭難確実、命を落とすことだろう。「月の砂漠」は歌えた物じゃない。

水が貴重。宿酔いの水をお間なくてもよいように、コーランは飲酒を禁じたのかとのん兵衛は愚考した。酒を呑んでいるのが外国人であろうとも、どこかは確かめなかったが届けなくてはならない。

時効だろうから白状すると、某国の迎賓館ではこっそり持ち込んだウイスキーを飲んだ。その痕跡を発見されたら、コトだから消すのに神経を使った。酒の粉という物はできないものかと夢見た。2011・10・23
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