2011年11月01日

◆鍵を握るのは大阪府知事選

早川 昭三

大阪府の橋下徹知事が10月31日知事職を正式に辞職して、11月27日の大阪市長選に鞍替え出馬することになり、いよいよ知事選と共に同日にダブル選が行われることが決まった。

橋下氏は、31日午後2時5分から退任会見に臨み、「知事をしてよかったか」という記者の質問に次にように答えた。

「良かった。自分の大阪府への思いや考えを少なからず実現することができたからだ。弁護士時代やメディアで仕事をしていた時代もいろいろ発言はしたが、それが実現することはなかったから、そういう意味では知事になって良かった」。

その上で、3年9カ月にわたる知事職を振り、「府の財政改革は僕が知事だったからできた」と述べた。
<31日16.59 サンケイニュース>

ところで、大阪での知事・市長選のダブル選は、革新府政が誕生した昭和46年4月以来、約40年ぶりとなる。

ところで今回のバブル選で気になるのは、一方の大阪府知事選の方だ。

結果次第で、橋下氏が敢えて市長選へ鞍替えをして市長になったとした場合でも、相棒の知事が不在となれば、公約の「大阪都構想」が頓挫する可能性もあるからだ。

当初知事選は、橋下徹氏と同氏が代表を務める地域政党・「大阪維新の会」が、同会幹事長の松井一郎氏(47)を知事候補として擁立した時は、維新の会の人気や勢いのある党勢から、松井府議の優勢を疑う府民は少なかった。

ところが、対抗馬の出馬は31日まで二転三転したものの、結句、大阪府下の市町村の首長の支援を受けた府下池田市の倉田薫氏(63)が立候補したことで、選挙情勢はおおきく変動し、維新の会陣営にも動揺が走り出した。

当の倉田市長に、早くから府知事出馬への思いがあったことは事実。それは「橋下氏と平松市長の対決は、こどものけんか」と宥め、府下の首長と連携して、これを諌めるシンポジュームを開いて助言したものの、知事に黙殺された経緯が原因だった。

そこで、「橋下氏の方針は、日本の地方自治体の進め方とは違うので、闘う」として、府下首長群との連携を図り、「卒維新」を掲げ、人脈と経験を生かした選挙戦を展開したい」と決意した。

しかも民主・自民の政党レベルでも、他候補を推薦する動きもあった。しかし、倉田氏を推薦・支援することを31日の朝に、「反維新の会」に対抗することを最終的に決めた。ただ公明は、未だ態度を決めておらず、おそらく「自由投票」になる可能性が高い。

一方、市長選に出馬する平松市長も倉田市長と連携してダブル選で共同して戦うことを申し合わせている。

こうした不利な情勢を受け、春の統一地方選挙で優勢をきわめた「維新の会」とはいえ、府下20以上の首長の支援をうけて出馬し、且つ民主・自民の政党からも推薦・支援を受けた倉田氏に対し、強い衝撃をうけつつ、対応策を模索している。

こうした中、31日の退任会見で、橋下知事は「府の財政改革は僕が知事だったからできた」と述べたことには触れた。しかし大阪府には「不当な赤字隠し」があるという厳しい指摘の書籍が既に出ている。

<大阪府が出資する5法人に、それまで長期で貸し付けていた資金を年度末の3月31日に一旦全額返済させ、翌日の年度初めの4月1日に再び貸し付けていた。総額は1193円に達していたもの。

つまりこの「2日間の返済」がなければ、決算での一般会計決算額は、大赤字となっていたのだ。これは、2009年殿包括外部監査で判明し、「不当な操作」だと指摘されている>。(講談社刊・大阪自治を考える会)

上記記述が正当な指摘であれば、「府の財政改革は僕が知事だったからできた」という橋下氏の言葉は、首を傾げたくなる。

しかも大阪市住之江区の高層ビルWTCの「咲洲庁舎」へ本庁舎を移転する問題や市営地下鉄インフラと組織の民間委託問題などを含めた「大阪都構想」が、市民の利益にどう繋がるかも、まったく分からず「宿題」のまま残されている。

とすれば、「都構想」推進の松井府議は守勢を余儀なくされ、「府・市は協力していこう」という倉田氏の主張の方が、府民には分かりやすいことになる。

しかし、橋下氏が「改革派」だという期待は依然高く、それが府知事選にどう反映されていくかは分からないのが実情だ(了)2011.10.31


◆本稿は、11月1日(火)刊・全国版メルマガ「頂門の一針」2420号に掲載され
ました。目次をご覧になり、他の寄稿者の卓見をご拝読ください。(編集部)

◆< 2420号・目次)>
・米国経済はTPPでも助からない:宮崎正弘
・大阪、鍵を握るのは知事選:早川昭三
・韓国が出来たパチンコ全廃:古森義久
・私の韓国論:前田正晶
・酒飲みの自己弁護:平井修一

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