2011年12月10日

◆増えるPTSDの損害賠償訴訟

川原 俊明


近時、交通事故や事件の被害者が、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負ったとして、その損害の賠償を求める訴訟が増加しています。

訴訟において、被害者はPTSDとの診断書を出すことになりますが、裁判所はそれをそのままPTSDと認定しないことがあります。

その理由の1つとして、訴訟では、事実の有無が厳格に判断されるのに対し、臨床においては、治療の観点から、事実の真偽を追求せずに患者の主観的訴えを支持しているという点が指摘されています。

京都地裁平成15年12月18日判決では、「精神医学的な、あるいは臨床の現場におけるPTSDの概念及び判断基準(例えば、ICD−10やDSM−W)を満たしているか否かという観点のみで、精神的打撃の大きさを測ることが適切かというと、必ずしもそうとはいえない。

PTSDの判断基準を満たさないからといって直ちに何ら精神疾患に罹患していないということにもならない。」としたうえ、「損害の算定に当たっては、原告の症状がいかなるものであり、どのような精神的打撃を被ったかという事実を端的に考察することに重点を置くのが相当である」としています。
 
PTSDに該当しない場合でも、外傷性神経症として損害賠償を認められる場合もありますので、結局、被害者の精神状態、持続期間、発症原因(他原因の可能性)など、損害賠償請求の原則的な判断基準を意識することが肝要です。


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