2006年09月03日

加速する大阪ドクターヘリ導入検討

              毛馬一三

      (東京発メルマガ「頂門の一針」557号に掲載)

大阪で「ドクターヘリ」の導入に向けた動きが、俄に活発になりだした。大阪でのドクターヘリ導入の動きは、05年の府議会から始まったものだが、曲折を経ながらようやくこの秋から本格的な展開を見せ始めてきた。

ドクターヘリは、消防が運用する救急ヘリとは違い、医師をはじめ医療スタッフが搭乗して事件・事故、急病患者の現場に駆けつけて救急処置を行った後、急病患者を「最寄」の病院ではなく、「最適」の医療施設へ空から搬送するというもの。

このオペレーションで、一分一秒を争う多くの患者が救われることは勿論、地上の救急車との連携で、事故・事件・急病患者、少なくとも三分の一の命が助かることが、先進諸外国のデータが示している。だが、わが国で同機を導入しているのは、9道県10施設に過ぎない。
さてこの大阪ドクターヘリ導入のきっかけだが、NPO・「Hem-net」の理事長で、もと警察庁長官国松孝次さんと親交のある大阪府議(公明会派・副政調会長)の光澤忍議員が、同理事長の助言を受けて05年の定例大阪府議会本会議で太田房枝知事に同機導入を提案したことから始まったものだ。

これを受け大阪府は、06年4月、大阪大学医学部付属病院高度救命救急センターの杉本壽教授を委員長に、21名学識経験者らからなる「ドクターヘリ調査検討委員会」を発足させた。そしてこの9月1日に3回目の会合を開くなど、同機活用による救命効果や運行に関する諸問題について本格的な検討を続けてきている。

同委員会では、ドクターヘリに関する法令運用の仕方や同機導入済みの他府県の実績の調査、それに同機常駐場所・着陸場所・無線使用の方法・高速道路における同機の活用など、基礎となる調査をまず行った。

この調査に基づいて議論を開始し、特に救急病院の整備が行き届き、道路網が完備した大阪府のような大都市部では、救急車の出動の方が効率的であると考えられるところから、むしろドクターヘリの運用は大阪の都市部に集中させるより、滋賀・京都・兵庫などとの広域的連携に積極的に取り組むべきだなどとの議論がなされている。

ところでこうした中、この検討委員会に参加している大阪医師会が、9月7日に「救急医療週間大阪集会」を開催し、ゲストに招く国松孝次理事長から「ヘリコプター救急のシステム設計」の基調講演を聞くことにしている。導入が現実的になってきたドクターヘリに対し、医師会として対応の検討に真剣に取り組む姿勢を見せ始めたことになる。

一方、懸案となっている大田知事と国松理事長との会談も伸び伸びとなっていたが、検討委員会の審議の状況がある程度見えてきたことから、大田知事自らこの9月中にはこれを実現させたいという強い意向を示し、事務当局を通じてNPO・「Hem-net」と日程の調整を、今週から急ぐ方針だ。

同知事は、この会談で同機活用に健康保険の使用や、同機所有に民間活用が可能かを巡り、諸外国の例示に明るい国松理事長に意見を求めるなどして、導入への足がかりにしたい考えのようだ。

また、府議会側独自の動きも活発だ。この8月には光澤議員らが05年に同機を導入し運用開始した札幌市の手稲渓仁会病院救命救急センターを訪ね、関係者から直に同機運用の実情を聞き取っており、続いては運行実績を上げている和歌山県などにも調査団を派遣する。

この秋の臨時国会には、「ドクターヘリを全国に配備するための法案」を提出されるといわれており、こうした動きが出てくれば、これと合わせながら大阪のドクターヘリテークアウトも一段と加速するのは確実だ。(06.09.03)

◆ドクターヘリ調査検討委員会 委員等名簿

委 員(◎委員長)
◎大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター教授 杉本 壽
・大阪府済生会千里病院千里救命救急センター所長 甲斐 達朗
・大阪府三島救命救急センター所長代理 福本 仁志
・関西医科大学附属滝井病院高度救命救急センター教授 中谷 壽男
・大阪府立中河内救命救急センター所長 田伏 久之
・近畿大学医学部附属病院救命救急センター室長 坂田 育弘
・大阪府立泉州救命救急センター所長 松岡 哲也
・大阪市立総合医療センター救命救急センター部長 鍛治 有登
・国立病院機構大阪医療センター救命救急センター長 定光 大海
・大阪府立病院機構大阪府立急性期・総合医療センター救急診療科部長 池内 尚司
・大阪赤十字病院国際医療救援部長 中出 雅治

・大阪市消防局警防部救急課長 二宗 伸介
・堺市高石市消防組合消防本部警防部副理事兼救急救助礁長 奥野 佳秀

・大阪府医師会理事 山本 時彦

・近畿管区警察局大阪府情報通信部機動通信課次長 横山 豊
・大阪府警察本部交通部交通総務課管理官 今井 康雄
・大阪府警察本部交通部交通規制課管理官 南口 宗治 
・大阪府警察本部交通部高速道路交通警察隊補佐 休波 悟
 
・西日本高速道路株式会社関西支社管理事業部部長 西井 秀行

・大阪府総務部危機管理室消防防災課長 正井 昭夫
・大阪府健康福祉部医務・福祉指導室副理事兼医療対策課長  伊 藤 裕康


専門委員
・大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター助教授 嶋津 岳士

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・総務省近韻総合通信局無線通信部陸上第二課
・国土交通省大阪航空局保安部運用課
・阪神高速道路株式会社業務部
・阪神高速道路株式会社保全施設部
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