
「まちを変える」
「くらしを変える」
「市政を変える」
〜新しい自由都市・堺ルネサンス計画〜
堺市長 木原 敬
この4月1日、本市40年来の念願である「政令指定都市・堺」が実現いたしました。これはまさに、堺の歴史の新たなスタートであり、堺が未来に大きく飛躍する絶好のチャンスであると考えております。
わが国は今、国・地方を問わず厳しい財政状況の下、急速な少子高齢化に加え、人口減社会の到来など、かつて経験したことのない激動の時代を迎えております。このような中、本市では、これらの課題に対応し、都市の持続的な発展を図るため、「政令指定都市・堺」の市政運営指針となる「自由都市・堺 ルネサンス計画」の案を策定いたしました。
今後は、全国で15番目となる「政令指定都市」移行を大きな推進力として、市民の皆様との協働により、更なる「市政改革」を断行するとともに、本市の輝かしい歴史と伝統を踏まえて『オンリーワン』のまちづくりを進め、「市民福祉の向上」はもとより、大阪府、さらには関西圏の発展にも貢献して参る所存であります。
◆<政令指定都市・堺の基本姿勢>
堺は、古代、中世から現代に至るそれぞれの時代において、常に新たな時代を切り開き、発展をみてきた歴史を持つ都市です。
本市は、政令指定都市として新たなスタートを切るのを契機とし、輝かしい歴史と伝統を基礎に、個性、創造性、先進性をもったオンリーワンのまちを築き、「新しい自由都市・堺」としての再生〜ルネサンス〜を進めます。この実現に向けて、次の3つの基本視点に立って、まちづくりや市政運営に取り組みます。
1、都市の魅力や活力を高め、近畿圏の拠点都市と して発展します。都市の魅力や活力、存在感を高めることによって、人や企業を誘引し、都市を再生するとともに、地域経済基盤の強化や税源の涵養を図ります。
また、大阪府や近隣自治体との連携を図りながら、都市活力を一層高め、経済、文化・学術、交流などの面で拠点性を発揮することにより、近畿圏の拠点として発展するとともに、圏域全体の発展に貢献します。
2、「自由と自治」の伝統を活かし、公民協 働により市 民自治を実践します。開かれた市政を進め、市民、NPO、企業、行政など地域の主体が協働関係を維持することにより、民間の創意や活力を最大限に活かしたまちづくりを推進するとともに、区役所を拠点に地域や市民生活に密着した行政サービスを提供し、市民と協働して地域の特色のあるまちづくりを推進します。
3、時代の変革に対応できる持続的な都市 経営基盤 を確立します。社会の変化や市民ニーズの多様化・高度化に対応して、効率的な行政運営や施策の再編・再構築を図るなど、行財政改革を一層推進するとともに、自ら主体的に政策を立案し、限られた経営資源のなかで効果的に業務遂行できるよう、経営システム改革や職員の意識改革に取り組みます。
◆<「新しい自由都市・堺」の再生
〜ルネサンス〜に向けて取り組む重点施策>
「政令指定都市・堺の基本姿勢」を踏まえ、本市の持続的な発展を図るため、平成18年度から平成21年度までに、次の8つの施策体系に沿って、重点的に施策・事業を推進していきます。
1、人権尊重社会、男女共同参画社会の実現
■人権尊重社会の実現
平和で人権を尊重する地域社会や世界平和に貢献する都市の実現をめざすため、「人権条例」の制定や「国際平和貢献賞」の創設に取り組みます。
■男女共同参画社会の実現
女性の雇用機会の拡充や就業環境の整備に努めるとともに、市においても審議会等への女性の参画機会の拡充や女性職員の管理職への積極的な登用を図ります。
2、歴史と文化を活かした都市魅力の創出
■堺の個性・魅力の創出
平世界遺産登録を視野に入れた仁徳陵古墳・百舌鳥古墳群の保存・活用など、歴史文化都市づくりを推進するとともに、都心のシンボルとなる「文化芸術ホール」の整備など、芸術文化による都市魅力づくりに努めます。
市民のスポーツや健康づくりの拠点となる「サッカー・ナショナルトレーニングセンター」の整備など、魅力ある「スポーツタウン・堺」を実現します。
■観光魅力と都市ブランドの形成
観光・周遊の拠点施設となる「文化観光拠点」を整備し、観光資源を結ぶネットワークを形成します。また、定住人口や交流人口の増加、企業の立地促進等を図るため、堺の魅力を磨きアピールする「堺都市ブランド戦略」を展開します。
3、都心の活力創出と都市拠点の形成
■都心のにぎわいづくり
堺市を中心に形成される広域的な経済・生活圏での拠点性を高めるため、市街地再開発事業等を通じて、商業・文化・行政・交流機能等を強化し、安全で賑わいのある中心市街地の再生を図るとともに、市内を東西に結ぶ鉄軌道をLRTにより整備することにより、沿線の賑わいづくりや地域商業の活性化を促進します。
■都市拠点の形成
臨海部における岸壁・埠頭用地・緑地・道路等の大規模地震対策施設の整備を促進するとともに、中百舌鳥地域における産業拠点の形成、美原地域の中核施設としての複合シビック施設・市民駐車場等関連施設の整備を推進するなど、都市拠点の形成を図ります。
4、地域の発展を支える経済基盤の形成
■企業の経営革新の促進と次代を担う企業づくり
「さかい新事業創造センター」等を核に産学連携の促進による地域企業の競争力を強化するとともに、新事業創出を促進するための「(仮称)堺特許流通センター」を開設します。
臨海部において成長産業の誘致や競争力の高い中小企業が集積する「堺浜中小企業クラスター」の整備を図るとともに、規制緩和等により市内外企業の投資を促進します。
■雇用の促進
若年者と女性を中心に意欲と能力に応じて働くことができるよう、「ヤングJOBステーション」の事業拡充や、女性の職業能力開発支援、団塊の世代・高齢者のキャリア開発などに取り組みます。
5、子どもたちを健やかに育む環境づくり
■安心して子どもを産み育てられる環境づくり
保育所待機児童を3年間で解消することを目標として、民間幼稚園と連携した幼保一体の総合施設の整備や認証保育所の拡充など、保育サービスの充実を図るとともに、地域での子育て支援拠点やネットワークづくり、乳幼児医療費助成の拡充などに取り組みます。
「子ども相談所」の設置など子どもの療育環境の整備に努めるとともに、地域と連携して子どもを犯罪や事故から守るための活動を拡充します。
■子どもたちがいきいきと育つ環境づくり
子どもたちの「確かな学力」の定着を図るため、「学力向上研究協力校」の指定による実践的な研究や、学力調査に基づく授業改善、学校評価システムの導入などに取り組むとともに、優秀な教員の確保、教員の資質向上に努めます。
子どもたちの豊かな心と夢を育むため、各学校の独自性を活かした特色ある教育活動を推進するとともに、子どもたちの放課後の活動を支援する「子ども教育文化センター」や、放課後活動の場となる「放課後ルーム」を設置します。
6、支えと協働による安全で生涯安心なくらしづくり
■生涯安心で健康なくらしづくり
高齢者や障害者が安心・自立し、いきいきとした生活を送ることができるよう、「(仮称)高齢者総合相談センター」や「(仮称)健康福祉プラザ」を整備し、総合的な相談・支援機能を充実するとともに、小学校区ごとのボランティアや地域住民の交流・情報の拠点を設置するなど、市民の支えあいによる地域福祉の推進に努めます。
■安全・安心が確保された都市づくり
犯罪の少ない安全・安心な地域社会を築くため、地域の自主的な防犯活動や防犯灯の設置を支援するとともに、市民や警察などの関係機関と連携して地域の防犯力の向上を図ります。
公共施設の耐震補強の推進や、自主防災組織の育成など、防災力の強化に努めます。
7、住みよい生活環境の創出と環境との共生
■定住魅力ある日常生活圏づくり
地域の生活拠点として、鳳駅南地域及び北野田駅前地区、美原新拠点の整備を推進します。また、LRTによる東西鉄軌道の整備のほか、自動車から公共交通手段を含む総合的な交通ネットワークの形成を推進します。
民間での良質な住宅供給の促進をはじめ、下水道や生活道路の整備、地域コミュニティと連携した商業機能の充実など、良好な住環境の創出に努めます。
■環境と共生する快適都市づくり
ごみの分別拡大や減量化、省資源・省エネルギー対策など、環境問題への取り組みを推進し、環境共生社会の形成を図ります。
快適な都市環境を市民と協働して創出するため、ごみのポイ捨てや歩行喫煙の禁止など、まちの美化を図る取り組みを拡充します。
8、市民とともに取り組む市政・まちづくり
■市民に開かれた市政の推進
市政への市民参加を促進するため、「(仮称)市民参加ガイドライン」を制定するとともに、「区民まちづくり会議」や区長の公募制をモデル区役所で実施します。
各種申請・届出手続の電子化を図るなど電子自治体の構築を推進し、市民の利便性向上と業務の効率化を図ります。
■区域の特色や市民の創意を活かしたまちづくり
市民との協働による区域の特色や資源を活かしたまちづくりを進めるため、市民参加により「(仮称)区域まちづくりビジョン」を策定するとともに、「(仮称)区民まちづくり基金」の創設などにより、市民の主体的なまちづくりやコミュニティ活動を支援します。
区役所において市民生活や地域に密着した行政サービスを充実するため、休日の住民票・戸籍等の証明書発行業務を実施するとともに、区や小学校区を単位に市民サービスの向上や市民協働のための拠点を設置します。
以上述べてきたまちづくりを着実に進めていくためには、「選択と集中」の考え方にたって、既存施策・事業の再編・再構築を図りながら、重点施策への財源等の配分を行うことが重要です。
また、「まちづくり(政策)」「財政健全化」「行財政システム改革」相互の連携や総合調整を図り、財源や人材などの経営資源の効果的な配分を行うことによって、新しい「自由都市・堺」の再生〜ルネサンス〜を実現していきます。(了)
<雑誌「ジュピターVOL53」より転載許諾済>