2006年02月08日

◆危ない!?マーガリン

          石岡 荘十(ジャーナリスト)

この時期、年末年始の休暇をハワイで過ごした知り合いからチョコレートをお土産に貰った人もいるだろう。私も友達のお嬢さんのハワイでの結婚式のお土産に貰った。

マカデミアン・ナッツ入りの、ハワイ土産の定番のあれだが、私の関心はそのラベルだ。食品の栄養表示成分の表示に、「トランス酸」含有量の表示があるか、それを確認したかった。アメリカでは、今年1月1日からその表示が義務付けられたからだ。

「トランス酸」とは何か。

普通のバターに較べマーガリンに多く含まれている自然界には存在しない成分で、それが狭心症や心筋梗塞のリスクを高めるというアメリカでの研究成果が2003年発表されている。
研究は、アメリカの女性8万人を対象に行われ、トランス酸を摂ったグループは、摂取量が最も少なかったグループに較べ、心筋梗塞を起こすリスクが30パーセント高かったと報告されている。

で、どうするか。

2004年の夏、FDA(米食品医薬品局)は、トランス酸の含有量を食品のラベルに明記することを決め、猶予期間を置いて今年から規制が実施されたというわけだ。
 
日本では、動物性のバターより、植物性のマーガリンのほうが健康にいい、特に心臓に不安のある高齢者は、マーガリンのほうがいい、と信じられている。わが家も数ヶ月前まではそうだった。

ところが、常温では固まるバターに較べ、植物性の油は常温では液体である。そこで、常温でも一定の硬さを保てるように、水素を加えて化学的な処理を行う。その過程で出来るのがトランス酸という副産物なのだ。

こいつは、動脈硬化のリスクを高める悪玉コレステロール(LDL)の値を高める一方で、善玉コレステロール(HDL)を低下させる、と報告されている。

ドイツをはじめヨーロッパでもマーガリンの使用規制が始まっている。

この問題をはじめて報じたのは、私の知る限りでは、週刊朝日の昨年8月5日号だった。このことを日本政府のセクション、厚生労働省が知らないはずはない。

「アメリカのホテルではすでにマーガリンが姿を消した」という記事もネットに見えるのに、厚生労働省が対応策を打ち出したという話は聞いたことがない。だから私たちは自己責任で、自衛するしかない。

トランス酸はマーガリンだけでなく、クッキーに使われる「ショートニング」にも含まれている。ショートニングは「サクサクさせる、ポロポロにする」という意味だが、植物油を固形油にする過程でトランス酸を抱え込む。

だからトランス酸から身を守るのは容易なことではない。どこにでも売られているパン、ケーキ、クッキー、ドーナツ、スナック菓子、フライドポテト、------挙げればキリがない。トランス酸が潜んでいる。

となると、業界団体「日本マーガリン工業会」の言い分も聞かねばならないだろう。ホームページ(HP)での反論の趣旨はこうだ。

「欧米に較べ日本人はマーガリンやこれを使った食品の摂取量が少ないので、心配ない」そうだ。

細かい数字を挙げた反論は、HPでご覧頂くとして、食の問題は、BSEだけではない。

まだ十分な研究成果は出ていないようだが、マーガリンを使った食品を
“常食”のようにしているこども、若い女性、妊婦への影響を懸念する研究者もいる。

しかし、古くはHIV,最近では建築確認の信頼性やBSE問題、アスベスト問題などに見るように、国民の生命や安全を本気で守ろうとい迫力がこの国には感じられない。
 
日本では年間100万人が死んでいる。死因の第1位は癌、ついで心臓病、脳疾患の順だが、アメリカでは死亡原因のチャンピオンは、心臓疾患だ。飽食→心筋梗塞→天国、これが1番多い。

マーガリンやショートニングがこれに貢献している。日本は、その傾向を確実にたどっている。

ガキの頃からマクドナルドやケンタッキー、ミスタードーナッツで飼育されているようでは、心臓病が癌を追い抜く日は近い。
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