2006年10月03日

◆巴里だより「さっぽろラーメン」

               岩本宏紀(在仏)

巴里の中心にサンタンヌ( Sainte Anne)という、バス1台がやっと通
れる一方通行の道がある。両側に日本食レストラン、ラーメン屋、うど
ん屋、すし屋、カラオケスナックが並んでいる。日本語の看板の下を日
本人が行き交う光景を眺めていると、まるで日本かと錯覚してしまう。

サンタンヌから一本入った道に、赤ちょうちんがぶらさがった「ラーメ
ン屋」がある。店員は中国人だが、ここの「さっぽろラーメン」は美味
い。ぼくがいつも注文するのは塩ラーメン餃子セットとハイネケン。ボ
リュームのあるどんぶりに胃も心も満たされる。

すっかり日本人気分で店を出るのだが5メートルも歩くと、ここは巴里
だったと我にかえる。百年は経っている石造りのアパルトマンと、それ
よりも古そうな重厚な国立図書館。そのあいだの小さな四角い空間が、
公園になっているのだ。

まわりを大きな樹に囲まれ、中央に女性の立像でできた噴水がある。女
性はセーヌとかロワールとかフランスの大きな川の名前の入った台座の
うえに立っており、その頭上の円盤から水が溢れ落ちるという趣向だ。

もうひとつ感心するのは色遣いだ。ベンチも街頭も深い緑色に統一され
ている。注意書きの立て札まで同じ色という徹底ぶりだ。樹との折り合
いがいい。この色のおかげで、淡いピンク色の女性の像が映える。

噴水を眺めるように数個のベンチが据えてあり、天気のいい日は読書を
するひと、お昼のサンドウィッチを頬張るひと、ぼんやりと時間を潰す
浮浪者を見かける。巴里の財政がどうなっているのかは調べていないが、
こんなふうに税金を使うのも悪くない。(了)

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