2012年03月07日

◆野田・小沢会談でも“融和”は無理

杉浦 正章
 


水と油どころか水と重油を合わせても混ざり合うわけがない。かき回してもすぐに分離する。民主党内で首相・野田佳彦と元代表・小沢一郎の融和を求める声が7日相次いだが、会談しても合意は極めて困難だろう。「それが出来れば世話はない」と官邸筋は漏らしているという。


なぜなら、消費増税と解散という政局の核において野田と小沢は決定的に対立しているからだ。野田は早ければ13日にも消費増税法案を閣議決定する方針であり、ここまで来ると決定に先立って会談が実現して急転直下決着ということは極めて困難だろう。
 

7日の常任幹事会では小沢系の副代表・田中慶秋や参議院議員・川上義博から、「野田首相と谷垣総裁が会談するのもよいが、まずは党内が一致結束して、事に当たっていくことが非常に重要だ」などと、野田・小沢会談で党内対立回避を求める声が起きた。「誰とでも会う」という小沢の発言を背景にした要求だ。


幹事長・輿石東は「挙党一致が非常に重要だ。ただ、会談を行えばよいというよりも中身が重要であり、もうしばらく時間をもらいたい」と即答を避けた。輿石にしてみれば会談のアレンジをしたはいいが、両者激突のうえ物別れでは無意味と感じているのだろう。
 

実際、小沢の最近の発言は妥協が成立する域を超えている。端的に言えば野田が「不退転の決意で消費増税」なのに対して、小沢は「絶対反対。今その時期ではない」。野田が話し合い解散に前向きなのに対して、小沢は「やるなら再編」と倒閣を宣言する始末だ。だから野田は自民党総裁・谷垣禎一との極秘会談で、小沢より自民党を選択する流れを作ってしまったのだ。それを会談で調整できるだろうか。


小沢は極めて自己主張にこだわる政治家である。2010年12月、小沢の政治倫理審査会招致をめぐって野党から追い詰められたに首相・菅直人が、小沢と会談して招致を実現しようとしたが、一蹴された。小沢は田中角栄の政治を“習得”しているのだ。


1983年、田中がロッキード裁判の一審判決で有罪となったのを背景に、首相・中曽根康弘が議員辞職を迫ろうと会談したが、田中の逆襲に遭って、ぼこぼこにされている。小沢はそれを見ている。小沢はグループ内に13日の閣議決定を前に上京して備えるよう臨戦態勢の指示を出している。
 

一方、野田は6日の国会答弁で「小泉元首相のように党内に抵抗勢力を作り、物事を進めるやり方は今回はふさわしいとは思わない」と述べた。この発言は、党内融和を達成したい願望の表れだが、本心はどうか。小沢を「抵抗勢力」と位置づけていること自体が相当な言い回しであるうえに、その抵抗勢力排除の発言を新年早々にしているのだ。


1月16日に野田は、「法案を参議院に送って、『この法案をつぶしたらどうなるのか』と考えてもらう手法も、ときには採用したい」と、開き直った。一見野党へのけん制のように受け取られたが、参院で郵政法案を潰された小泉が、衆院を解散、抵抗勢力に刺客を立ててこれを打ちのめした先例を意識しているに違いない。党内もけん制しているのだ。
 

野田の小沢に対するポジションは、谷垣との極秘会談を背景にしており、もし会談があれば小沢に対して「民・自連携」の切り札を持っており優位に立つことが出来る。従って消費増税断念はあり得ないし、政局での譲歩も困難だろう。


要するに極秘会談で自民党との距離が縮まったのと反比例して、小沢との距離は広がっているのだ。野田・小沢融和のキーマンは、小沢に近い輿石だ。輿石は早期解散反対を公言して、この点では野田と割れている。


しかし消費増税については今のところ推進の姿勢を変えてはいない。ちょうど野田と小沢の中間に位置する立場だ。だから会談を実現させるには輿石が裏で動くしかないが、両者の立場の強硬さにさすがに動くに動けない状況であろう。輿石は両者の間で“また裂き”に遭いかねないのだ。

<今朝のニュース解説から抜粋>   (政治評論家)
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