2012年03月09日

◆“3月危機”直面で佳境に突入する消費税政局

杉浦 正章



来年度予算案審議が参院に送られ、いよいよ消費増税法案をめぐる攻防に政局の焦点が移行する。首相・野田佳彦の置かれた立場を端的に表現すれば、野田を真ん中に置いて自民党と民主党元幹事長・小沢一郎が自陣に引きずり込もうと引っ張り合っている構図だ。


自民党は消費増税税実現を誘い水として解散を勝ち取ろうとし、小沢は陣営崩壊に直結する解散絶対阻止だ。自民党幹部は「ここは参院関東軍の出番だ」と漏らす。野田を突き上げて、「話し合い解散」の腹を決めさせる必要があるのだ。


硬軟両様と言うより、当分「硬」重視となり、極秘会談で生じた融和ムードはリセットされる流れだろう。


今の政局の状況は自民党元幹事長・伊吹文明の8日の分析が一番当を得ている。伊吹は「話し合い解散の余地があるような印象を与えてしまったけれども、私はなかなかそうは簡単にいかないと思う。見るところキーワードの『解散』に野田さんの腹が決まってない。決めさせるためにはやっぱり追い込んでいかないとしようがない」と述べる。


ここはアメとムチのうちムチを使うときだというのだ。確かに野田は5日に、谷垣との極秘会談を受けていったん「国民のためにやり遂げなければならない時には、様々な判断がある」と消費増税法案成立を前提に話し合い解散に前向きの姿勢を見せた。しかし、7日には方向を是正。「出来るだけやり遂げた上で信を問うのが基本」とトーンダウンした。
 

野田の変貌の背景には、小沢との話し合いを模索する動きがある。副総理・岡田克也が何とか打開できないかと打診した元首相・鳩山由紀夫が変なことを言い出したのだ。鳩山は「賛成か反対かは法案の中身を見ないと分からない。政権を支えたいと思って行動している。経済の好転など前提条件をいかに書き込むかだ」と“条件闘争”をほのめかした。


鳩山の言わんとするところは法案のキーポイント「2014年4月に8%に、15年10月に10%に引き上げ」を「将来の景気動向を判断して引き上げる」方向にニュアンス変えることにあるのだろう。これなら小沢も納得するとの読みがあるが、事実上の骨抜きだ。まず野田は応じないだろう。しかし調整が“文言”となれば、妥協が成立する可能性がないわけではない。
 

従ってまだ解決策が見いだせないまま、野田と小沢は激突のコースを走っている。小沢は「出て行くのはこっちでなく向こうだ」「解散は今年の夏は越える。来年だ」とボルテージを上げ続けており、チルドレンらの落ちこぼれ防止と数の確保に懸命だ。週末から来週初めにかけての岡田らによる調整の動きが注目されるが、野田は中下旬にかけての閣議決定を目指している。
 

一方、自民党は極秘党首会談で生じた融和の流れは大切にしながらも、当面は野田を追い込む作戦を変えないだろう。野田とは話が通じても、強硬姿勢をとらなければ民主党内が動かないと判断しているからだ。主戦場は参院の予算委審議とする構えだ。


手ぐすねを引いて待ち構えているのが予算委筆頭理事・山本一太や爆弾質問で政局を揺さぶってきた西田昌司や森雅子らだ。山本は自身のブログで「今国会で、野田政権を追いつめられるかどうかは、参院での1ヶ月にかかっている。日本政治の興廃、この一戦にありだ。


参院では相手を利するようなことを絶対にやってはならない」と「Z旗」を掲げて、当たるべからざる勢いだ。衆院の追及を甘いと見ているのだ。12〜14日の3日間に決まった総括質疑を皮切りに政権を揺さぶる構えだ。


最終的には問責決議案の提出も視野に入れている。一方で野党は国会終盤までらちが明かなければ、内閣不信任案の提出も考慮するだろう。同不信任案の成否は小沢の動き次第だが、これに小沢が賛成に回れば不信任案は成立する。


その場合野田は総辞職でなく間違いなく解散を選択する。そうなれば総選挙となり、これも間違いなく“小沢人類”は“絶滅危惧種”となる。ここに小沢の動きの限界があるのだが、チルドレンはもとより、小沢自身も気づいていない。野田も、“急所”がここにあることに気づけば、消費税への直進が正しいことが分かる。
 

こうして消費税政局はいよいよ佳境に入る。まず民主党内で小沢らが法案阻止でときの声を上げ、相前後して与野党が火花を散らすという流れだ。間に立った野田はただひたすら消費増税実現を大義として対処するしかない。


既に社説で増税を支持している全国紙の大勢は野田を支持する流れだろう。自分だけを思う「小沢邪心」対、国家を思う「野田良心」との戦いを見抜いているからだ。新聞は最終段階では解散による問題解決を唱えるだろう。


この三月政局は激突の弾みで解散となる要素がないわけではないが、その可能性は未知数。本命の政局は六月だろうと思う。

<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)

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