2012年03月12日

◆衆院選狙う「維新八策」

早川 昭三


橋下徹大阪市長の率いる地域政党「大阪維新の会」が、次期衆院選を睨んで策定し10日公表した「維新八策」原案を巡り、各界に大きな波紋を投げかけている。

橋下市長は、大阪で取り組む自治体改革の意義を訴えながら、その一方で「日本の方向性を決めるのが我々の仕事」と強調。「既成政党の混迷を正し、政策、政治、行政の哲学をしっかり固めていく」として、維新の国政進出への意欲を示したのだ。

「維新八策」は、中長期の目標も含めた抜本改革「日本再生のためのグレートリセット」としており、目指す国家像に個人や地域、国家の「自立」を掲げ、「決定でき、責任を負う民主主義の確立が不可欠」を基本としている。

この原案を、この24日開講の維新政治塾で議論し、成案をまとめることにしている。

「維新八策」が掲げている「グレートリセット」とは、2月に示した「たたき台」を基本に纏めたもので、項目は下記の8つの柱で構成されている。

(1)統治機構の作り直し
(2)財政・行政改革
(3)公務員制度改革
(4)教育改革
(5)社会保障制度
(6)経済政策・雇用政策・税制
(7)外交・防衛
(8)憲法改正。

8つの柱には具体的な内容が記されている。中でも年金、失業対策、生活保護の一本化、憲法9条改正の是非を問う国民投票の実施、首相公選制導入、参院の廃止検討を基本政策として追加している。実はこのことが各界に大きな波紋を広げる要因となっているのだ。

特に最も波紋を呼んでいるのは、「憲法9条改正」をめぐるスタンス。橋下市長は2月、改正の是非について2年間国民的議論を経て国民投票にかける方策だとしていたが、今回のこの維新八策に盛り込んでいる。

<「9条について決着をつけない限り、国家安全保障についての政策議論をしても何も決まらない」という思いがあるからだ。

「9条は、他人が本当に困っているときに自分は嫌なことはやりませんよという価値観だ」。橋下氏は9条に対して一定の考えを持ちつつ「国民が決める価値観に従いたい」と述べている>。産經新聞

この「憲法9条改正」には、与野党だけでなく、早くも国民の間からも是非論の反響が出始めている。

ところが、現下の課題となっている消費税等の増税や、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題、年金制度改革などは、まだ議論が必要だとして盛り込んでいない。肝腎な国策実施策なのにこれを先のばしするのは、巧く体をかわしたのではないかと首を傾げる向きもある。

その背景には橋下氏自身が、衆院選への準備を進める維新に対し、既成政党に広がる警戒感を和らげる狙いから、慎重な対応ものぞかせている所為ではないかとの判断もある。

確かに永田町も「維新八策」に翻弄されているという見方がある。「首相公選制の導入」「参院の廃止」など極端な八策が飛び出しとことに、通常なら既成政党は「地域政党のざれ言」と断じて切り捨てて仕舞う筈だが、それが出来ない事情があることを、橋下市長が判断した上での戦略だと読みもあるのだ。

ところで地元大阪では、橋下市長の政治改革政策を評価する雰囲気が高いのは事実。

しかし、府知事から市長に代わった以上、「まずは大阪のことに集中すべきではなか。国と地元両面を改革していくのは無理。橋下さんには何か特別な意図があるのではないか」と期待感が変わってきた有権者の声が聞こえ出すようになってきた。

「橋下市長に期待していた生活感の向上の気配が見当たらない。まずは大阪市から実績をつくるべきだ」との議会筋での意見も高まって来ている。

どうやら、橋下市長の率いる「維新の会」は、政局をにらみながら「維新八策」の実現性の模索の取り掛かる準備の必要も出てきたようだ。(了)2012.03.11





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