オランダに赴任したとき、娘二人はまだ6歳と3歳。
寝る前に母親が一人ずつ抱きしめてやるのが習慣だった。
ベッドに入っている子どもを「ギュー」といって
力一杯抱きしめ、「チュッ」とキスするのである。
すると安心して眠りにつく。
ずいぶん大きくなるまでやっていたと思う。
父親嫌悪症が始まるまでは、ぼくも参加していた。
今思うと、とてもいい習慣だった。
大人になってからも、ふと誰かに抱きしめてもらいたいと
思うことがある。特に外国でがんばっている一人暮らしの
女性はそうではないだろうか。
意味もなく突然泣き始めた女性を、どうしてよいかわからず
ただ肩を抱いていたことがある。しばらく涙を流すと、
それですっきりしたらしかった。
25年前、3週間に及ぶ忙しいフランス出張で、ぼくも泣いたことがある。
ずっと一緒だった上司二人をシャルルドゴール空港に見送り、ホテルに
戻ってベッドに仰向けになった途端に、突然涙がこみ上げてきたのだ。
悲しかった訳でもない。辛かった訳でもない。ただ泣けてきたのだ。
脱力感で身体を動かすこともできず、肩を抱いてくれるひともおらず、
はらはらとただ涙を流し続けた。
2006年10月24日
<添付画像>:転んで泣き出した末っ子を優しくあやす母親。それを見守る長女。
2002年7月28日(日)の昼下がり。フォンテーヌブローの南、アヴォンにて。
後ろの河はセーヌ。Olympusのデジタルカメラ Camedia C-700.