2012年04月17日

◆公選断念して首相になれた中曽根

渡部 亮次郎


首相公選制(しゅしょうこうせんせい)は首相を国民が選挙によって直接的に選ぶ制度である。

イスラエルでは1992年から2001年まで首相公選制を導入していたが、現在(2011年)実施している国は存在しない。

日本では中曽根康弘が若い頃主張し、全国の鉄道沿線に看板を建てていたが、日米安保条約反対と首相公選論を言わなくなったところで、自民党内で首相候補とようやく認められて、実際総理総裁になった。

知事を辞めて大阪市長になった橋本徹が最近唱えだした。これを世間は「自分が手っ取り早く首相になる為の便法だろう」と冷たい。そのあたり私には逆に橋下が若い頃の中曽根にみえる。

私が河野派担当した頃の中曽根は、「これは自分の為ではない」と言っていた。あるいは、国民の人気は絶大ながら党の元老吉田茂元首相に阻まれている河野一郎を首相にするため、といったこともあったかもしれないが、河野自身は彼を死ぬまで信用してなかった。

首相職を設置する国家では議会による選出かが一般的である。しかし、国民の多数が首相就任を望む人物が必ずしも首相に就任するとは限らず、国民の意思と乖離する可能性がある。

首相公選制は首相を選挙により直接的に選出することで、国民の意思に基づいた首相による行政運営が行われることを主眼とする。

敗戦後、最初に首相公選論を提唱したのは、1945(昭和20年12月に幣原内閣の憲法問題調査委員会において「憲法改正に関する意見書」を提出した野村淳治東京大学名誉教授であるといわれる。

その後、中曽根康弘が1961年に直接の国民投票による首相公選制度を提唱したことで広く知られるようになった。

2000年に発足した森内閣が自民党の一部の幹部の話し合いで誕生したこと(五人組)から、導入意見が一時盛り上がったことがある。

元首相の小泉純一郎は2001年6月26日に「首相公選制を考える懇談会」を開催し、首相公選制など、総理大臣と国民との関係を検討し、具体的提案をすることとした。2002年8月7日には12回にわたる会議の結果を踏まえ「首相公選制を考える懇談会」報告書が小泉に提出された。

首相公選制に積極的な意見としては次のような点を根拠として挙げる。

派閥、政治抗争、政情不安定などの要因はイギリス型の議院内閣制が日本に適合しないことに起因する。

国会と政府、議院と大臣との関係を断ち切り、派閥政治・族議員政治・国対政治の弊害を克服し、強力な首相権力の下で政治的統合を図ること
ができる。

首相の任期が保障される制度をとる場合には安定的な政権基盤による政権運営が可能となる。

民意を統合するもので主権在民の原理を前進させるものである。国民の政治意識・責任感を向上させるものである。

議会における野党側も首相候補を擁立できる。

国会議員に限らず民間人など幅広い人材を発掘することができる

ただし、立候補の資格要件については議論がある。

国民が選挙戦を通じて指導者としての資質をみる機会をうむ。

首相公選制に消極的な意見としては次のような点を問題点として挙げる。

日本国および日本国民統合の象徴である天皇の地位と衝突する(#天皇制
との関係における問題)。

立法部と行政部の関係が疎遠なものとなり両者に不一致を生じたときに
国政の停滞を生じる(#議会制との関係における問題)

派閥、政治抗争、政情不安定などの要因が議院内閣制によるものとみるのは的外れである。

これらの問題の根因と考えられてきた問題は議院内閣制(内閣制度)の問題ではなく政党あるいは官僚機構にある(中選挙区制度、政党の利権共同体としての体質、派閥抗争、内閣と与党の二元構造、党運営上の平等主義、政権交代の欠如、官僚機構の分担管理原則、予定調和的な政策形成など)との指摘がある。

大統領制のアメリカとは政治的伝統や諸条件が大きく異なる。

イギリス型の議院内閣制が日本に適合しないという主張に対しては、イギリス以上にアメリカとわが国とでは政治的・社会的・経済的に異なるとの指摘がある。

ポピュリズムに陥り煽動的政治家の出現を招くおそれがある。


このほか議会が首相に対するチェック機能を果たせなくなり首相の強権的政治に陥るおそれがあるのではないかとの指摘もある。

国民による直接選挙により国政の最高指導者が選出されるとき、その指導者は極めて強い正統性を帯びることになる。アメリカ合衆国大統領のように、通常、共和制をとる国では大統領が元首とされる。

日本で首相公選制を採用する場合、国民が直接選出した公選首相と国民統合の象徴である天皇との関係が問題点として指摘される。

公選首相は国民を直接代表する地位にあるため必然的に大統領的な性質を帯びるものとなり、日本国及び日本国民統合の象徴であり事実上元首としての役割も担っている天皇の地位と矛盾するのではないかという問題がある。

首相公選制を採用する場合、首相も議会も国民からそれぞれ直接的に選出されることになることから、首相と議会多数派が一致するという保証はなくなり、首相の所属政党と議会の多数政党が異なるねじれ現象が常態化して国政の停滞を招くのではないかとの問題がある]。

首相が議会内に安定的な基盤を有しない場合には、立法権を有する議会との対立から国政が立ち行かなくなるのではないかとの懸念である。

問題はなかなか解決案を見出せないだろう。

関連して考えるのだが、今の小選挙区制実施の経緯を思い出す。記者時代の他社の友人たちは「政界の悪の根源たる派閥を解消するためを優先した考えも持ち主が多く、選挙制度審議会の委員になって、これを主張した。

現場の政治家たちも、これに引きづられてあっという間に小選挙区制が実施された。これに対してわたしは選挙区が狭隘化する結果、輩出する政治家が小粒になることを理由に反対したが、委員じゃなかったので意見は無視された。

それが最近になってよう焼く現実のものとして当の議会もようやく自分で気づき、考えるようになった。喜ばしい。敬称略 2012・4・14
       出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


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