2012年04月24日

◆自民党は原発再稼働・消費税で逃げるな

杉浦 正章

 

「ここ数年で最も賢明なリーダー」と米ワシントン・ポスト紙が首相・野田佳彦を褒めているが、総じて何も知らない米特派員も倒閣宣言の大阪市長・橋下徹よりは物事が分かっているようだ。古来賞賛されるリーダーは一にも二にも責任感があって、ぶれないことが最重要条件だ。


野田にはこけの一念のような愚直なところがある。反面最近の自民党の体たらくを見ると、野党3年でここまで落ちぶれるものかと哀れに見えてくる。わずか4日で全面審議拒否の撤回だ。執行部の判断力の欠如を見事に物語った。もっとひどいのは消費税から逃げ、原発再稼働は見て見ぬ振りをするずるがしこさだ。
 

自民党総裁・谷垣禎一は確かに早期に交代させた方がいいかもしれない。ワシントン・ポスト流に言えば「ここ数年で最低のリーダー」なのだろう。全面審議拒否など“最後の手段”を早々と打ち出して、肝心のポイントで状況を大きく見誤った。問責閣僚の更迭は一挙に遠のいた。これでは将来たとえ野党第一党になって首相に選出されても、難局を乗り切れまい。


誰が見ても2閣僚の問責決議などを、会期末までまだ2か月もある時点で提出するのは無理がある。いまや猪突猛進の関東軍と化した参院自民党を押さえられない。友党であり正論を述べている公明党を「邪論」と決めつけた参院国対委員長・脇雅史や、執行部の方向転換も知らぬまま23日記者会見して「参院が暴走して何が悪い!」という画用紙パネルを掲げ、息巻いた山本一太レベルの政治家に、政局をろう断させてしまった。
 

2大政党の一方を担うという責任感もない。その象徴が原発再稼働と消費増税という重要政治課題に真っ正面から取り組もうとしないことである。まず原発再稼働では野田政権が、洞察力に欠けるテレビメディアや自治体トップの総スカンを食らって苦境に立たされているのを見て、しめたと舌なめずりしているのだ。


「安全性をきちんと確認し、地域の理解を得ることが前提で、再稼働すべきだ 」という党の方針が決まっており、谷垣も「現状では再稼働を認めざるを得ない。そうしないと工場などの操業もできず、雇用が失われていくことになりかねない」と容認する考えを表明している。


それにもかかわらず反対の嵐のなかで一転、拱手傍観しているのだ。根底には民主党政権に難題を押しつけて、選挙を有利に導こうという思惑がある。
 

しかし、原発推進政策はそもそも自民党政権時代以来のものであり、民主党が引き継いで総電力の53%mで高めることで一致していた。田中内閣が電源3法を成立させ、地元を財政支援する体制を敷いて以来、選挙基盤として活用してきたのは自民党に他ならない。


現在でも原発の地元は国会議員も、自治体トップや議員も自民党系が強力な発言権を持っているはずだ。それにもかかわらず、自民党が再稼働へ向けて民主党政権を応援するという動きは一切ない。


早期稼働の是非は政争を超越して、「亡国か興国か」をかけた戦いであると認識すべきだ。財界も政治家任せで黙っているべきではない。民放テレビ番組や、反原発で急先鋒の新聞の広告スポンサーを拒否するべきだ。これが1番効き目がある。
 

一方で消費増税法案についても、マニフェストで10%への引き上げを明記しておきながら、賛否をあいまいなままにしている。最大の焦点である「引き上げ率10%」で一致しているのだから、政治的には9割は歩調が合うはずだ。

要するに原発再稼働も消費増税法案も、たとえ自民党政権になってもけりをつけざるを得ない。政党を超越した国家の大計なのだ。野田政権に協力して実現を図るべき時は今をおいて他にない。それにもかかわらず原発反対、消費税反対の大阪の“あんちゃん”橋下にこびを売るように接近する。自民党は、早期解散を実現するため党利党略の亡者になってしまったのだろうか。
 

衆院の任期までは余すところ1年余。参院の山本一太に解散に追い込んでもらわなくても、延長通常国会末か遅くても秋の臨時国会冒頭解散は実現する流れだろう。野田は解散も辞さない方針を正月以来度々表明している。自民党が重要課題で協力しても食い逃げされて解散を先延ばしにされるのを恐れているとすれば、洞察力がない。


どっちみち選挙は近いのだ。この際、消費増税法案と原発再稼働で政権に協力姿勢を示すことこそ、自民党の政権担当能力を世に示すことになるのだ。これが責任政党として生き残る道なのだ。自民党は小沢一郎と“政局ごっこ”を競っているひまはない。

<今朝のニュース解説より抜粋>  (政治評論家)
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