2006年11月05日

◆死因は産経の特ダネ

              渡部亮次郎

<「恋はみずいろ」…指揮者ポール・モーリアさん死去

【パリ=島崎雅夫】「恋はみずいろ」「エーゲ海の真珠」などのヒット曲で知られるフランスの指揮者で作曲家ポール・モーリアさんが3日、仏南部のペルピニャンで死去した。 81歳だった。死因は不明。4日、関係者が明らかにした。>(読売新聞 5日)

あの軽快さが好きで、日本で発売されたレコードやCDは殆どを買った。81歳か。ま、歳に不足はないという人も居るだろうけれど、死因が不明と言うのは腑に落ちない。欧米では死因はプライバシーとして秘匿する例は多いのだが、

朝日新聞のAsahi Comはどうだろうかと見た。
<「恋はみずいろ」「オリーブの首飾り」などの編曲で知られるフランスのオーケストラ主宰者(指揮者)ポール・モーリアさんが3日、南仏ペルピニャンで死去した。81歳だった。近親者の情報としてAFP通信が4日伝えた。>2006年11月04日22時07分と素っ気無い。あとは生前のことを付け足してあるだけ。

毎日はどうだろう。
<日本の親しい関係者に入った情報によると、「血液の病気」を理由に夏ごろから通院。先月28日に入院し、今月2日に容体が急変した。6日に葬儀が営まれる方向で、妻は近親者のみでの密葬を望んでいる。詳細は葬儀後に公表するという。>5日「スポーツ・ニッポン」とある。

ところが、やはり産経新聞パリ支局の山口さんだ。長く駐在しているのは伊達ではない。抑えるべき人脈はちゃんと抑えてあった。急性白血病で、検査で分った時は手がつけられなかった、ところまで突き止めている。以下に全文を引用する。

< 【パリ=山口昌子】世界的にヒットした「恋はみずいろ」で知られるフランスのイージーリスニングの第一人者、ポール・モーリアさんが3日、仏南部ペルピニアンの病院で急性白血病で死去した。近親者が4日、明らかにした。81歳だった。

近親者の話によると、モーリアさんは先週、ペルピニアンの別荘に滞在中、体調不良を訴え、近くの病院に検査入院したところ、急性白血病であることが判明したが、手の施しようがなかったという。

6日に近くの火葬場で荼毘(だび)に付す。葬儀はイレーヌ夫人の意向で近親者だけで営まれる。


モーリアさんは1925年3月4日、仏南部マルセイユに生まれた。4歳の時からピアノを学び、 41年にマルセイユ国立音楽院を卒業。18歳ごろからミュージシャンとして活躍し、65年にポール・モーリア・グランド・オーケストラを結成。

68年、編曲した「恋はみずいろ」が世界的にヒット。米国でもヒットチャート1位を記録して、グラミー賞を受賞した。

69年に初来日して以来、度々来日し、軽快なリズムにフランス的なロマンチックな要素が加わり、多くのファンを獲得した。98年のジャパンツアーを最後に指揮者としては引退し、最近は構成や演出を手がけていた。

芥川賞作家で版画家の故池田満寿夫さんが監督を務めた日伊合作映画「窓からローマが見える」の音楽も担当した。

主なヒット曲は「エーゲ海の真珠」「涙のトッカータ」「オリーブの首飾り」「そよ風のメヌエット」「果てしなき願い」など。>(11/04
23:16)

これが“取材"と言うものじゃないか。朝日も毎日も読売もさらっと撫でているだけ。ニュースの急所に肉薄していない。推測だが、ポール・モーリアとその周辺に「人脈」を得てなかったのだ。

産経新聞は他社から引き抜くか何かした大記者を海外に固定して配属している。他社はせいぜい3年で交代させている。産経はワシントンに元毎日の古森義久、北京に元共同通信の伊藤正、ソウルにやはり元共同通信の黒田勝弘記者をそれぞれ貼り付けている。いずれも他紙を圧倒する記事と解説を送って来る。

外国での取材をした事はないが、聞くところによると、政治家や役人の取材は昼食を共にしながらのことが多いそうだ。ワシントンで政治家や役人を昼食に引き出せる記者は数えるほどしか居ないという話を聞いたことがある。

ただ長いだけで、会社の仕事よりの仕事よりアルバイト原稿や小説の取材に忙しいと言う記者も居るらしいが、長ければ昼食に付き合う人脈は増えるだろうからニュース源はそれだけ豊富になる。

外国勤務の順番を待つ若い記者の立場をどう確保するのか、という問題もあり、難しいところだろうが、産経のやり方は一つの見識であろう。

それだけにパリの山口さんの記事は光った。彼女はもう何十年もパリに駐在しているような気がする。送ってくるのは記事はもちろんあるが、長い経験からにじみ出る文化論が光る。その一端がポール・モーリアに関する人脈の豊かさだったのだろう。敬服するばかりだ。(文中敬称略)2006・11・05


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