2012年05月30日

◆野田は原発再稼働を直ちに決断せよ

杉浦 正章


一茶の句に「蝸牛そろそろのぼれ富士の山」があるが、首相・野田佳彦が大飯原発3,4号機再稼働で「そろそろ」といいだして10日以上立つ。しかし、いまだに「そろそろ」と言っている。


夏の電力確保が間に合わないと関電社長がしびれを切らして対応の遅れを批判し始めた。29日には原子力規制庁関連法案も審議に入り、与野党修正で今国会成立のめども立ちつつある。前首相・菅直人がくしゃくしゃにした再稼働問題の環境は整ってきている。この機会を逃さず、月内にも判断すべき時だ。
 

野田の「そろそろ」の始まりは17日。再稼働を最終判断する時期について、「そろそろ、その判断の時期は近い」と述べた。28日にはインタビューがあるから再稼働を発表するかと思ったら「福井県のご意見などもお伺いしながら、もうそろそろ判断をしていかなければならない時期に近づいていると思う」と「そろそろ」に「もう」を付けただけだ。


原子力規制庁の審議入りや国会の事故調査委員会、小沢との会談などをにらんでのことだろうが、慎重も度が過ぎると民主党政権の「決められない政治」がまたまた露呈する。
 

夏の需給見通しを見れば、7月からの電力消費のピーク開始にはもう間に合わない状態となりつつある。というのも3号機を動かすのに3週間、それに続く4号機も3週間、合計で1か月半が不可欠だからだ。今稼働を決断してもフル稼働は7月中旬になってしまう状況だ。


関電社長の八木誠が「時間がずるずるとたっている」と、遅遅として出ない野田の最終決断にいら立ちを表明するのも無理はない。「ただちに再稼働できても、7月2日からの節電期間に間に合わない」と指摘して、「早急に、国のご英断をお願いしたい」と述べているのは責任者として当然のことだ。


原発を抱える地方自治体や京都、滋賀、大阪など周辺自治体の長からも要望の強かった原子力規制庁の創設を柱とする原子力規制庁関連法案と、自民、公明両党による対案が衆院本会議で審議入りした。同法案に関しては既に政調会長代行・仙谷由人が自民、公明両党と水面下で根回しを続けている。


民主党は自公の対案に盛り込まれた国家行政組織法3条に基づく「原子力規制委員会」の創設を受け入れ、政府案を大幅修正する方向である。来月12日にも衆院を通過する可能性が出てきた。再稼働に向けての障害の1つが取り除かれる方向にある。
 

現地もおおい町議会が圧倒的賛成多数で再稼働容認を決めた。独自に安全性を検証してきた福井県の専門家委員会も、安全性を確認している。福井県知事・西川一誠も野田が原発の重要性を国民に自ら訴えることを条件として求めてきたが、29日の本会議では野田が「電力供給の3割を担ってきた原子力を直ちに止めては日本経済、国民生活は成り立たない」と強調した。


これは知事に対するシグナルと受け取られている。ただ野田は「最終的に政府として責任を持って判断する」とも付け加えている。国民への電力供給確保は「エネルギー政策基本法」でうたわれた政府の根幹的な義務であり、地元の「理解」は「政治」としては必要であるものの、国はむしろ地方自治体をエネルギー政策に沿って指導しなければならない立場にある。原発再稼働はまず「国の判断ありき」なのだ。
 

自民党も29日の総務会で、今後のエネルギー政策を了承したが、原発再稼働についても「安全第一主義の徹底」を前提に容認している。同党は、ずるがしこくも選挙を意識して原発再稼働で前面に出ず政権任せの姿勢を取っている。しかし、さすがに大飯原発再稼働で反対する方向にはない。国会の事故調査委員会も菅直人らからの聴取を終え、山を越えた。


マスコミも読売、日経、産経、NHKが再稼働推進または容認であり、表だっての反対論は少数となってきた。要するに再稼働を取り巻いて鼎は静かに煮えたぎってきたのだ。野田はこのチャンスを逃すべきではあるまい。ここでためらえば、またまた大阪市長・橋下徹のように、すきあらば自らの得点にしようという“疝気筋”の“活用”を許すのだ。


国家百年の計を考えるなら、大飯原発再稼働を地域住民の生活確保はもちろん、国のエネルギー政策再構築への突破口と考えて早急に踏み切るときだ。


<今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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